不動産を売買するとき、あるいは建物を解体するときに、地中埋設物が出てしまうと費用が増えたり、思わぬトラブルになるケースがあります。ここでは地中埋設物に関する情報(どのようなモノが出るか、撤去方法や費用の相場)を整理しました。

不動産の取引において、地中埋設物とは何でしょうか?地中埋設物とは、土地の所有者や売主が知らないまま、土地の中に埋まっているもののことです。地中埋設物が発見されると、土地の価値や利用方法に影響を与える可能性がありますし、知らなかったとしても不動産の取引で責任を問われる可能性があります。

また、地中埋設物の除去や処分には多額の費用がかかる場合もあります。そのため、不動産の取引においては、埋まってるものの有無や種類を確認することが重要です。

地中埋設物の種類はさまざまですが、一般的には以下のようなものが挙げられます。

コンクリートガラ、産業廃棄物、瓦、鉄筋、などの建築で出た廃材
井戸、浄化槽、建物の基礎、杭、庭石、樹木などの土地利用に関するもの
廃棄物、タイヤ、ブロック、自転車、金属、重金属など、元の所有者が捨てた埋めたもの

これらの地中埋設物は、過去に土地を利用した人々が残したものである場合が多く、現在の土地所有者や売主はその存在を知らないことがほとんどです。

地中からどのようなものが出てきて問題になる可能性があるかチェックしてみてください。

コンクリートガラや瓦、杭 建物解体時に排出されるコンクリートのがれき、瓦、レンガ、タイル、などの廃材。以前の解体工事で不適切に埋設された可能性がある。
鉄筋 鉄筋ビル・マンションなどの建設で使用された鉄筋。過去の解体工事で撤去費用を削減するために埋設された可能性がある。
大きな岩、庭石 自然に発生した大きな岩石。現代の住宅では基礎を深く掘ることが多いため、建築の障害となることがある。
井戸や浄化槽 使われなくなった井戸や浄化槽が埋まっている場合。浄化槽は不法投棄となる可能性があり、井戸は予測できない場合もある。
湧き水 地下に水脈がある土地で湧き水が出る場合。排水経路の確保が必要で、費用がかさむ可能性がある。
建物の基礎や杭 以前の建物で使用された基礎や杭。解体工事で撤去されずに埋設された可能性が考えられる
産業廃棄物 主に建築関連の廃棄物が埋設された可能性がある。使われていた土地の以前の所有者が事業者のようなケースでは、プラスチック廃棄物、化学製品の容器、石油関連、電子機器などの廃棄物が出る可能性がある。
医療廃棄物 医療機関から排出された注射器や医療器具。感染性廃棄物となり、適切な処理が必要なケースもある。
その他の物質 自転車、工具、タイヤ、衣類、庭石など所有者によって捨てられたものが埋まっている可能性がある。
地下文化財の可能性 埋蔵文化財包蔵地指定地域や周辺から文化財が出土する可能性がある。発見された場合は自治体に連絡し、対応が求められる。

地中埋設物が出てくる理由はいくつかありますが、主なものは以下の通りです。

  • 過去の開発や建設活動によるもの

例えば、建物を造る際に発生したコンクリートガラや瓦などの建築廃材をそのまま埋め戻したり、古い建物を解体した際に基礎や杭などを撤去せずに残したりすることがあります。古い時代の建築ほどこのような事例が見られます。これらの埋設物は、土地の所有者や利用者が変わったり、記録が失われたりすると、忘れられてしまうことが多いです。

  • 自然災害や地盤沈下によるもの

例えば、地震や豪雨などで地盤が動いたり、水位が変化したりすると、地中にある井戸や浄化槽などの設備が露出したり、移動したりすることがあります。また、地盤沈下によって、地中にある岩石や廃棄物などが表面に近づいたり、出てきたりすることもあります。

  • 不法投棄や故意の埋設によるもの

例えば、タイヤや家電などの不法投棄物を土地の所有者や利用者が知らずに埋めたり、敷地内で発生したゴミ類を処分するために故意に埋めたりすることがあります。これらの埋設物は、環境汚染や火災の原因となったり、土壌や地下水の品質を低下させたりする危険性があります。

地中埋設物の調査方法にはいくつかありますが、ここでは代表的なものを紹介します。

掘削調査 掘削調査は、土地の一部を掘って埋設物の有無や種類を確認する方法です。掘削調査は最も確実な調査方法ですが、費用や時間がかかるという欠点があります。また、掘削した跡が残るため、土地の景観を損なう可能性もあります。
地中レーダー調査 地中レーダー調査は、地中に電磁波を送り、反射波を受信して埋設物の位置や形状を推定する方法です。地中レーダー調査は非破壊的で迅速な調査方法ですが、精度や解像度に限界があります。また、電磁波が届かない深さや電気伝導性の高い土壌では効果が低いという欠点があります。
地歴調査 土地の歴史的な変遷を調べることで、地中埋設物の存在を推測する方法です。歴史書や古地図を調べることで、地中埋設物の可能性を把握できます。
物理探査・非破壊工法 地中に穴を掘って、地中埋設物を探査する方法です。地中レーダー探査や掘削調査よりも正確な結果を得られますが、費用が高く、時間がかかることが欠点です。
電気探査 電気探査は、地中に電流を流して電気抵抗や電位差を測定し、埋設物の存在や位置を推定する方法です。電気探査は比較的安価で広範囲の調査が可能ですが、精度や解像度に限界があります。また、電流が流れない非金属の埋設物や電気伝導性の高い土壌では効果が低いという欠点があります。
音波探査 これは地中に音波を発射し、反射波を受信することで埋設物の位置や形状を推定する方法です。音波探査は地中レーダー調査よりも深い層まで探査できる利点がありますが、粘土質や水分の多い土壌では効果が低下します。
磁気探査 これは地中に磁気センサーを設置し、埋設物の磁気異常を測定する方法です。磁気探査は鉄筋や鉄製品などの金属類の埋設物に対して有効ですが、非金属類の埋設物に対しては検出できません。

以上が地中埋設物の調査方法の一部です。不動産の取引においては、土地の特性や目的に応じて最適な調査方法を選択することが必要です。

それぞれの調査方法や広さによって費用相場が異なります。調査方法によっては、費用が高額になる場合もあります。しかし、見つからない場合もあるため業者とよく相談することをお勧めします。

掘削調査 10万円~30万円
地中レーダー調査 10万円~20万円
地歴調査 5万円~20万円
物理探査・非破壊工法 10万円~50万円
電気探査 10万円~30万円
音波探査 10万円~30万円
磁気探査 10万円~30万円

不動産を売却するときに地中埋設物があることをすでに認知している場合、売主側で撤去義務があるかどうかは買主との交渉によります。

売買代金を安くする代わりに買主側で撤去してください、という契約にすることもできます。しかし買主にしてみれば、どれぐらいの地中埋設物があるか不明で不安なため売主側で撤去してから土地を引き渡してください、という着地になる場合もあります。

不動産の売買において、買主に所有権を移転した後に地中埋設物が出てしまうと以下の点で問題になるケースがあります。

・地中埋設物がある状態では建物を建築しにくくなる場合がある
・地中埋設物が出てしまった場合、撤去するには追加の費用がかかる

この時、買主は売主に「契約不適合責任」を問えることがあります。不動産売買における契約不適合責任とは契約内容における「種類」や「品質」や「数量」が異なっていた場合に売主が買主に負う義務責任のことです。

例えば建物に重大な不具合(傾き、雨漏り、白アリ等)がある場合ですし、土地に関して言えば地中からコンクリートガラや浄化槽が出てしまった、土壌汚染が発見されたような場合もです。

買主には次の権利があります。

追完請求 売主は地中埋設物を撤去する義務があります。
代金減額請求 売主が地中埋設物を撤去しない場合は、売買代金を減額するよう求められる場合もあります。
損害賠償請求 契約不適合があり買主に損害が出た場合は損害賠償を請求される場合があります。
契約解除 売主が対応しない場合、買主には契約解除の権利があります。

地中埋設物を撤去するには、専門的な知識や技術が必要です。そこで、解体業者が行う撤去方法について、以下に説明します。

  • コンクリートガラや瓦

コンクリートガラや瓦などの硬い物質は、重機による掘削作業で撤去します。重機とは、ブルドーザーやショベルカーなどの大型の機械です。これらの重機は、強力な力で地中の物質を掘り起こし、砕いたり運び出したりします。この作業は、地中埋設物の種類や量によって異なりますが、一般的には数日から数週間かかります。

  • 建築廃材

建築廃材などの軽い物質は、同じく重機による掘削作業で撤去します。ただし、こちらは硬い物質よりも簡単に掘り起こせるため、作業時間は短くなります。また、建築廃材は再利用可能な場合もありますので、その場合は分別して回収します。

  • 井戸、浄化槽

井戸や浄化槽などの水関係の設備は、やはり重機による掘削作業で撤去します。しかし、こちらは水が出てくる可能性があるため、注意が必要です。水が出てきた場合は、ポンプで排水したり、処理施設に送ったりします。また、井戸や浄化槽は周囲の土壌や地下水に影響を与える場合もありますので、その場合は環境調査や浄化処理を行います。井戸の場合は穴を土や砂利や砂で埋めていく作業をします。

  • 医療廃棄物

医療廃棄物などの特殊な物質は人体や環境に危険を及ぼす可能性があるため、厳格な法律や規制に従って廃棄しなければなりません。そのため専門的な知識や技術を持った業者に依頼します。

以上が地中埋設物の撤去方法についての解説です。

解体業者が行う地中埋設物の撤去費用と相場について、ご紹介します。

地中埋設物の撤去費用は、その種類や量、場所、深さ、形状などによって異なりますが、一般的には以下のような相場があります。

コンクリートガラ 1m³あたり12,000円~
瓦、レンガ 1m³あたり22,000円~
木材 1m³あたり5,000円~
石膏ボード 1m³あたり12,000円~
カーペット 1m³あたり16,000円~
タイル 1m³あたり25,000円~
井戸解体埋め戻し 1式あたり30,000円~100,000円
浄化槽撤去 1基あたり50,000円~100,000円
庭石、岩石 1m³あたり20,000円~
プラスチック廃棄物 1m³あたり5,000円~
電子機器廃棄物 1台あたり1,000円~

これらの費用には、撤去作業や運搬作業の人件費や車両費、処分場への搬入料や処理料などが含まれています。また、地中埋設物の撤去には専門的な知識や技術が必要な場合もありますので、安全かつ適切に行うためには、信頼できる解体業者に依頼することが重要です。

地中埋設物の撤去費用と相場は以上です。

解体や地中埋設物のご心配はありませんか?

解体Do!は茨城県全域で活動する解体工事専門店です。建物の解体に関して地中埋設物が出た場合は、当然に追加費用が発生しますが、その場合は事前に報告・相談させていただいていますのでご安心ください。その他、お困りごとがあればご相談ください。

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