家の解体工事前に近所の方へのご理解とご協力をお願いするべくあいさつ回りをします。
挨拶回りは解体工事の円滑な進行、理解と協力を得ることにつながりますし、近隣住民の不安や不満を解消し、工事への理解を深めることができます。
また近所付き合いの良好化や、もし万が一トラブルが起こっても円滑に対応することができるようになるでしょう。
この記事では、挨拶回りの準備から実践、効果までを紹介したいと思います。
家の解体工事にかかる挨拶回りの準備
以下の準備をすすめていきましょう。
挨拶状の作成
挨拶回りをする前に、挨拶状を作成します。挨拶状は工事の目的と期間、工事中の注意事項、連絡先などを記載したものです。挨拶状は近所の方々に直接手渡すだけでなく、ポストに入れたり、解体現場に貼ったりすることもできます。挨拶状は以下のような内容で作成します。
- 自分の名前と住所:当然に名前と住所を伝える必要があります。昔からのなじみの近所の方の場合はご存じかもしれませんが、改めてお伝えしましょう。
- 工事の目的と期間:「この度、築40年の家を解体して新しい家を建てることになりました。解体工事は○月○日から○月○日まで行われます。時間帯は朝9時~夕方5時までです。」のようなイメージです。
- 工事中の注意事項:「工事中は振動や騒音、粉塵などが発生する可能性があります。また、ガレキや重機が通ることで道路や駐車場の利用にも影響が出るかもしれません。ご迷惑をおかけしますが、ご理解とご協力をお願いします」
- 連絡先:「工事に関するご質問やご不明な点がありましたら、私または工事業者(電話番号)までご連絡ください」
- お詫びとお礼:「この度は大変なご迷惑とご不便をおかけしますことを心からお詫び申し上げます。工事が無事に終了するまで、どうぞよろしくお願いいたします」
このような内容でよいと思います。
挨拶品の選択
挨拶状と一緒に、挨拶品も用意すればより良い印象を持ってもらえるはずです。挨拶品は近所の方々に感謝の気持ちを伝えるためのものです。
挨拶品は高価すぎるものや個人的な好みが分かれるものは避けます。一般的にはタオルや洗剤、最近ですとマスクなどが適切です。
食べ物は使われない傾向があります。挨拶品は包装やラッピングをきれいにして、挨拶状と一緒に袋に入れます。あまり近所付き合いがないエリアでは挨拶品はなしで挨拶状のみの場合もあります。
挨拶のタイミングと方法
・何日前に行くか?
挨拶回りは工事の1週間前から始めます。工事が始まる前に近所の方々に知らせることで、予め対策をとることができます。また、工事が始まってからでは忙しくなる可能性があります。
・挨拶に行く時間帯は?
挨拶回りは午前中や夕方など、相手の都合の良い時間帯を選びます。挨拶回りは玄関先で行います。インターホンを鳴らして、相手が出てきたら笑顔であいさつします。「こんにちは、お隣の○○です。この度は大変なご迷惑とご不便をおかけしますことをお詫び申し上げます」と言って、挨拶状と挨拶品を手渡します。
相手が忙しそうな場合や不在の場合は、ポストに入れたり、玄関に置いたりします。施主様と工事業者と一緒に行く方が効果的ですし、工事業者に任せてもらう場合もあります。事前に解体業者と相談して決めましょう。
解体工事の挨拶回りの実践
では、実際に近隣に挨拶にいってみましょう。
工事中の注意事項を伝える
挨拶回りをすることで、工事中の注意事項を伝えることができます。工事中は振動や騒音、粉塵などが発生する可能性があります。これらは近隣住民にとって不快なものです。工事中の注意事項を伝えることで、相手に配慮や理解を求めることができます。
また、工事中に起こりうるトラブルや問題に対しても予防策や対処法を伝えることができます。工事中の注意事項を伝えるためには、挨拶回りの際に挨拶状に記載した内容を口頭でも説明します。また、工事中にも何かトラブルがあれば連絡したり、報告する場合もあるでしょう。
相手の様子や反応に対応する
挨拶回りをすることで、相手の様子や反応に対応することができます。近所の方々は工事に対して様々な感情や意見を持っています。中には理解や協力的な方もいれば、不満や反対の方もいるかもしれません。相手の様子や反応に対応することで、トラブルや摩擦を避けることができます。
家の解体にかかる近所挨拶の効果・メリット
メリットというよりも挨拶しないときのデメリットの方が大きいと思います。
挨拶すれば工事トラブル、クレームの防止につながる
工事中に近所の人から苦情が来た場合、解体業者はすぐに対応することができます。トラブルを早期に解決し、悪化させないために有効です。挨拶なしで解体工事を始めた場合、近隣住民からの苦情やクレームが発生する可能性が高くなるのは言うまでもありません。
挨拶回りすれば近所付き合いの良好化につながる
挨拶回りによって工事の目的や期間、工事業者の連絡先などを伝えることができます。近所の人はあなたに対して好意的な印象を持ち、近所付き合いが良好になるでしょう。特に建て替えにかかる場合は今後もその地域で生活する訳ですから挨拶しておいて損はありません。
解体工事で発生する近隣への影響とは
解体工事は、家を建て替えるために必要な工程ですが、近隣にもさまざまな影響を及ぼす可能性があります。解体工事で発生する近隣への影響には、以下のようなものがあります。
振動の影響
解体工事では、重機やハンマーなどで壁や柱を壊したり、ガレキを運び出したりします。これらの作業によって、地面や建物に振動が伝わります。振動によって人間の体にもストレスや不快感を与えることがあります。また、ずさんな解体業者の場合、振動によって近隣の建物のひび割れや傾き、家具や食器の落下、電気機器の故障などを引き起こす可能性があります。
騒音の影響
解体工事では、重機やハンマーなどで大きな音が発生します。騒音は、近隣の住民の日常生活や睡眠を妨げるだけでなく、心身の健康にも悪影響を与えることがあります。騒音は、聴覚障害や高血圧、ストレス、イライラなどを引き起こす可能性があります。
粉塵の影響
基本的には水を使って粉塵が飛ばないように対策することをお伝えします。しないと壁や柱を壊したり、ガレキを運び出したりする際に、粉塵が発生します。粉塵は、風に乗って近隣に飛散し、空気や水質を汚染することがあります。粉塵は、呼吸器や皮膚に刺激を与えたり、アレルギーや感染症などを引き起こす可能性があります。また窓や洗濯物などに付着し、清掃の手間を増やすことがあります。
ガレキの影響
解体工事では、ガレキをトラックやダンプカーなどで運び出します。ガレキは、重量があるために道路に負担をかけたり、落下したりすることがあります。道路の破損や渋滞、事故などを引き起こす可能性があります。また、処分場に持ち込まれる際にも環境問題を引き起こすことがあります。
車両や重機が通る影響
解体工事では、車両や重機が作業場所と処分場との間を往復します。車両や重機は、道路に負担をかけたり、悪質な業者は交通ルールを守らなかったり道路の破損や渋滞、事故などを引き起こす可能性があります。排気ガスや騒音などで環境汚染や住民の不快感を引き起こすことがあります。
隣家の破損の影響
下手な業者の場合、壁や柱を壊したり、ガレキを運び出したりする際に、隣家の建物に接触したり、衝撃を与えて壊してしまう場合があります。隣家の破損は、隣家の建物のひび割れや傾き、窓やドアの破損などを引き起こす可能性があり危険です。修理費用や賠償費用などの費用負担や、トラブルや訴訟などのリスクを高めることがあります。
以上のようなことを防ぐためには、解体工事の業者選びが重要です。業者の信頼性を判断するには、免許や許可証、登録番号などの資格や法令遵守の確認、見積もりや契約書などの契約内容の確認、口コミや評判などの実績や評価の確認をすることです。
解体でアスベスト含有が確定した場合の近隣挨拶
戸建の解体工事の前にアスベストがあるか調査することが義務付けられています。事前の検査でアスベストの含有が確定した場合はしっかり説明すべきです。
これはアスベストの健康被害や飛散防止のために、どのような対策を行うかを具体的に伝えます。例えば、養生シートや散水、湿潤化、真空圧縮などの方法を用いることを説明し、安心してもらうようにします。解体業者の詳しい説明があるとよいです。
工事終了後のフォローアップ近所挨拶
工事が無事に終わったら、近所の方々にもう一度お礼の挨拶をしましょう。工事中にはご迷惑をおかけしたこともあったかもしれませんが、最後にきちんと感謝の気持ちを伝えることで、良好な関係を保つことができます。
挨拶には、工事の様子や結果、今後の予定などを簡潔に説明することも含めましょう。また、工事中に発生したゴミやホコリなどが近所の方々の家や庭に飛んでいないか確認し、もし汚れていたら清掃しておくことも忘れないでください。
工事終了後のフォローアップ挨拶は、家の解体工事をスムーズに進めるために欠かせないマナーです。近所の方々との信頼関係を築くことで、今後も安心して暮らすことができます。
家の建て替えにかかる、近所への挨拶の場合
両親が亡くなって家を相続したなどで、建て替えを検討しているケースが該当します。解体から建て替えまでは工期が長くなりますので、解体と家を建てる前のタイミングとで挨拶に伺うのがよいでしょう。
挨拶のタイミングと方法
挨拶のタイミングは、解体工事の開始日の少なくとも1週間前に行うのが望ましく、直接訪問か、もし不在だった場合は手紙を投函するのでもOKです。昨今は顔見知りならドアを開けてくれる人も多いのですが、顔見知りじゃなければドアを開けて面会してくれないこともしばしばあります。
そんな時も想定して、解体業者と一緒に挨拶にいってもよいですし、業者に任せることもできますが、ご自身で伺った方が丁寧な印象になるでしょう。
挨拶の内容と注意点
挨拶の内容と注意点は最初の章の「挨拶状の作成」のところで書いた通りです。解体工事が終わった後&建て替え開始のタイミングで、同時に挨拶に行けばよいでしょう。
以上です。解体時の挨拶は不安を払拭するために工事の内容にかかる話もあると思いますので、業者に任せるか一緒に行くことをお勧めします。