不動産登記法によれば、建物が滅失したときは、滅失の登記を申請しなければならないことになっています。
第五十七条 建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、その滅失の日から一月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。不動産登記法e-Gov 57条
また申請を怠った時は10万円以下の過料に処せられることがありますので確実に申請するための注意が必要です。
この記事では建物を解体したあとの滅失登記に関するアレコレを記事にしました。以下のメニューからご覧ください。
建物滅失登記とは
登記簿を見ればその不動産(土地や建物)が誰の所有なのか等が記録されています。
建物滅失登記とは不動産登記の1種です。建物を解体した場合や、火災等で焼失した場合に建物が滅失しましたよ、ということを申請する登記のことです。
通常、建物滅失登記は土地家屋調査士に依頼して行います。費用としては3~5万円が相場です。
滅失登記は自分自身で行うこともできますので、費用を抑えたい方は挑戦してみてもよいでしょう。
建物滅失登記の申請の流れ
滅失登記を自分で申請する場合、以下の手続きが必要です。
② 必要書類を集めて記入する
③ 法務局に建物滅失登記申請書を提出する(郵送も可能)
④ 法務局から登録完了証を受取る
滅失登記の申請から登記完了までは、通常1週間から10日程度かかります。登記が完了したら、法務局で「登記完了証」を受け取りましょう。
滅失登記は誰が申請する?申請できる人とは
建物滅失登記の申請は基本的にはその建物の所有者、あるいは依頼した土地家屋調査士になります。
建物の登記名義人が亡くなっている場合は、相続人が申請を行います。
建物が複数人の共有となっている場合(兄弟で共有してる等)は、所有者のうち1人が代表で単独で申請することもできます。
滅失登記は土地家屋調査士に依頼してもよい
滅失登記を行うには、その建物の住所を管轄する法務局へ申請するため、申請者が遠隔地に住んでいる場合は、委任したほうが手間が無く良いと思います。土地家屋調査士に依頼しましょう。
または多少費用が掛かっても構わない、滅失登記をやるのが面倒だと思う方も委任してしまった方が確実です。
土地家屋調査士に依頼する時の流れ
①解体業者の紹介か、自分自身で物件近くの土地家屋調査士を探す
②土地家屋調査士に依頼し、必要書類を渡す、あるいは作成してもらう
③土地家屋調査士が法務局に滅失登記を申請し
④登記完了証を受取る
このような流れです。
滅失登記を自分で申請することも可能
建物滅失登記は土地家屋調査士に依頼してもよいですが、それほど大変な手続きではないため自分自身で行う人も少なくありません。
自分で滅失登記を申請する流れ
①建物のエリアを管轄する法務局を確認する(→茨城県の法務局一覧はこの章に記載しました)
②法務局で建物の登記簿謄本を取得しておく
③建物滅失登記申請書を取得(法務局あるいはホームページからダウンロード)
④建物滅失登記申請書に必要事項を記入
⑤その他の必要書類を用意(次章参照)
⑥法務局へ申請書を提出(郵送も可能)、登記完了証を受取る
必要書類を揃えて法務局に申請するだけですので、次の章の必要書類をご覧ください。
建物滅失登記の必要書類をそろえよう
滅失登記を申請する際の必要書類は以下の5つ(必要に応じて6つ)です。
No | 書類 | 備考 |
---|---|---|
1 | 建物滅失登記申請書 | 法務局からダウンロード可能 |
2 | 登記事項証明書 | 法務局 |
3 | 建物滅失証明書(取り壊し証明書) | 解体業者から取得 |
4 | 解体業者の登記事項証明書 (会社代表の資格証明書/法人番号) |
解体業者から取得 |
5 | 解体業者の印鑑証明 | 解体業者から取得 |
6 | 建物現地の位置図 | ネットの地図(Googleマップ等) |
7 | 状況によって必要になる書類 | 住民票、戸籍謄本、委任状、除籍謄本 |
詳しく解説していきます。
建物滅失登記申請書
建物滅失登記申請書は以下のような申請書です。こちらに必要事項を記入して法務局にて申請します。
あらかじめ法務局のホームページから様式をダウンロードして印刷して記入するとよいでしょう。(→ こちら)
様式を見ればわかりますが、建物の登記簿謄本に記載されている事項を転記することになるので、あらかじめ登記簿謄本を用意しておくとよいです。
・不動産番号
・建物の所在
・家屋番号
・種類(居宅、など)
・構造(木造、平屋、など)
・床面積
・登記原因(令和〇年〇月〇日、取り壊し)
を記入します。
建物滅失証明書(取り壊し証明書)
建物滅失証明書(取り壊し証明書)は解体業者から発行してもらう書類です。この業者が取り壊しをしたことを証明する書類になります。大昔に業者から解体してもらった場合などで建物滅失証明書がない場合は、所有者が上申書を作成して登記することができます。詳細は法務局か土地家屋調査士にご確認をください。
あわせて以下の書類を用意します。
解体業者の登記事項証明書および印鑑証明
登記事項証明書は業者の登記の所在地、住所、代表者、役員などの氏名が書かれている書類です。法務局に行けば誰でも取得できますが、基本的には解体業者から受け取ります。
つまり、
「建物滅失証明書」
「登記事項証明書」
「印鑑証明書」
を併せることで証明が正当であると認められます。
建物現地の位置図
建物が所在する場所を明確にする地図です。現在はネット上のGoogleマップを印刷して提出すればOKとする法務局が多い傾向があります。
状況によって必要になる書類
以上5つが必要になる書類ですが、場合によって以下の書類を用意する場合があります。
建物の登記名義人が既に亡くなっている場合で、相続人の1人が建物滅失登記を申請する場合
→登記名義人が亡くなったことを表す除籍謄本
→滅失登記の申請人の戸籍謄本
建物の登記名義人の代理で申請したい場合
→委任状
滅失登記はどこで申請する?茨城県の法務局一覧
滅失登記を申請するのは所有者の住所の最寄りの法務局ではなく、「解体した家の所在地を管轄する法務局」へ申請することになります。
ご自身のエリアを確認してみてください。
庁名 | 不動産登記管轄区域 | 住所 |
---|---|---|
本局 | 水戸市,那珂市,ひたちなか市,笠間市,東茨城郡茨城町,城里町,大洗町,那珂郡東海村 | 〒310-0061 水戸市北見町1番1号 |
日立支局 | 日立市、高萩市、北茨城市 | 〒317-0072 日立市弁天町2丁目13番15号 |
常陸太田支局 | 常陸太田市,常陸大宮市,久慈郡大子町 | 〒313-0013 常陸太田市山下町1221番地1 |
土浦支局 | 土浦市,石岡市,かすみがうら市、小美玉市,稲敷郡阿見町,稲敷郡美浦村 | 〒300-0812 土浦市下高津1丁目12番9号 |
つくば出張所 | つくば市 | 〒305-0031 つくば市吾妻1丁目12番地1 |
龍ケ崎支局 | 龍ケ崎市、稲敷市、稲敷郡河内町、北相馬郡利根町 | 〒301-0822 龍ケ崎市2985番地 |
取手出張所 | 取手市,牛久市,守谷市,つくばみらい市 | 〒300-1514 取手市宮和田1784番地1 |
鹿嶋支局 | 鹿嶋市,潮来市,神栖市,行方市,鉾田市 | 〒314-0032 鹿嶋市宮下五丁目20番地4 |
下妻支局 | 古河市、下妻市、常総市、坂東市、結城郡八千代町、猿島郡境町、五霞町 | 〒304-0067 下妻市下妻乙1300番地1 |
筑西出張所 | 結城市、筑西市、桜川市 | 〒308-0031 筑西市丙116番地16 |
滅失登記にかかる費用
まず書類さえ用意してしまえば法務局へ支払う費用はかかりませんので0円です。印紙代も0円です。
申請費用以外では土地家屋調査士に依頼する場合で、3~5万円を見越しておいてください。
イレギュラーな事がなければ追加の費用はかかりません。
イレギュラーな事象とは例えば、建物を解体したのが昔過ぎて建物滅失証明書がない場合や、相続人から申請を行う場合などが該当します。
土地家屋調査士に依頼してプラス1~3万円程度の費用を考えておけばよいでしょう。
滅失登記は解体後1か月以内に申請すること
建物を解体した後1か月以内に滅失登記をすることとなっています。
それを怠ると不動産登記法には以下のように書かれており、10万円以下の過料に処せられる場合があります。
申請をすべき義務がある者がその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する
解体以外での建物滅失登記が必要なケース
火事や自然災害によって家屋が滅失してしまった場合も滅失登記が必要です。ただしこの場合は解体業者が介入していませんので「取り壊し証明書」は不要となります。
火事で家屋が滅失して、その後新たに建物を建てようとする場合も、最初の家屋の滅失登記が必要です。(また新築工事の際には建築確認申請を行う必要があります)
滅失登記しないとどうなる?デメリットとは
建物滅失登記を怠ると、以下のようなデメリットが生じる可能性があります
-土地の売買が困難になる。
-固定資産税が解体した建物にも課税される。
-建築許可が得られず、再建ができない。
-建物の所有者が死亡した際、建物滅失登記の手続きが複雑になる。
解体したらすぐに申請するようにしましょう。
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