
目次
急いで知りたい人向けまとめ
- アスベストは飛散性の高さに応じて「レベル1〜3」に分類
- レベル1が最も危険性が高く、厳重な飛散防止措置が必要
- 解体・改修工事では、レベルごとの法的対応が義務付け
- 2022年以降は事前調査と報告が完全義務化
- 2006年以前に建てられた建物は、すべて調査が必要と考えるべき
アスベストとは?健康被害のリスク
アスベスト(石綿)は、耐熱性・耐久性に優れた繊維状の鉱物で、過去には断熱材・防音材・建築資材として広く使われてきました。
しかし、飛散したアスベスト繊維を吸い込むと中皮腫や肺がんを引き起こすことが判明し、2006年以降は製造・使用が原則禁止に。
そのリスクの大きさから、現在では建物解体時にアスベストの有無・種類・危険度(レベル)を事前に確認することが義務となっています。
アスベストレベルとは?
「アスベストレベル」とは、建材に含まれるアスベストの**飛散性(空中に拡散しやすいかどうか)**を示す分類です。
レベル | 飛散性 | 主な使用場所 | 特徴 |
---|---|---|---|
レベル1 | 高い(最も危険) | 吹付けアスベスト | わずかな衝撃でも粉じんが飛ぶ |
レベル2 | 中程度 | 吹付けロックウール、断熱材、保温材 | 一部固形化しているが、作業で飛散する |
レベル3 | 低い | スレート、石綿セメント板、床材 | 材料に固く練り込まれており、飛散しにくいが切断時は注意 |
✅ 危険性が高いのはレベル1 → レベル2 → レベル3の順です。
レベル別の代表的な建材例
レベル1(高リスク)
- 吹付けアスベスト
- 天井・梁などの防音・防火用断熱材に使用
- 1970〜80年代のビル・学校・公共施設に多く見られる
レベル2(中リスク)
- アスベスト保温材(配管まわり)
- 耐火被覆材
- 吹付けロックウール(アスベスト含有)
レベル3(低リスク)
- スレート屋根材(波板など)
- 押出成形セメント板(住宅外壁)
- ビニール床タイル(塩ビアスベストタイル)
解体・改修時の注意点と義務
アスベスト含有建材を取り扱うにはレベルごとに異なる法的措置が必要です。
レベル | 必要な措置 | 作業員の資格 |
---|---|---|
レベル1 | 密閉・負圧除じん・飛散防止剤の使用・届出必須 | 特別教育+作業主任者 |
レベル2 | 養生・湿潤化・飛散防止剤 | 特別教育(作業内容により主任者も) |
レベル3 | 集じん装置付き工具での処理・湿潤化 | 通常の取り扱いで可(粉じん対策必要) |
2022年・2023年の法改正で変わったポイント
✅ 2022年4月〜:事前調査が義務化
- 解体・改修工事前に、有資格者によるアスベストの有無調査が必須
✅ 2023年10月〜:調査結果の電子報告が義務化
- 工事の届出とともに、調査結果を労働基準監督署へ電子提出が必要に
アスベストレベルを見分ける方法
専門知識がないと、見た目での判別は非常に困難です。
そのため、以下の流れで調査を依頼するのが一般的です。
- 建物図面・仕様書の確認
- 現地目視調査
- サンプリング検査(分析機関による)
- 含有判定・レベル分類
✅ 「建築物石綿含有建材調査者」資格を持つ専門家に依頼するのが法令上も必須です。
よくある質問(FAQ)
Q. アスベストレベルは自分で判断できますか?
A. 基本的にできません。見た目や感触では判別できず、分析検査が必要です。
Q. レベル3でも除去作業に届出は必要?
A. 建材の量・範囲・場所によっては**届出が必要になることがあります。**専門業者に確認を。
Q. 解体工事の見積もりにアスベスト費用は含まれますか?
A. 含まれていないこともあるため、見積もりの内訳に「アスベスト関連費」があるかを確認しましょう。
まとめ
- アスベストレベルとは、建材に含まれるアスベストの飛散性の高さによる危険度分類
- レベル1が最も危険で、作業・届出・防護措置の義務が最も厳しい
- 2006年以前の建物には多くのアスベスト含有建材が残っている可能性あり
- 解体やリフォームの際は有資格者による調査+適切な処理が必須
- 安易に触れたり壊したりすると健康リスク+法的罰則の対象になることも
アスベストは「見えないリスク」。
レベルの違いと正しい知識を持ち、安全・適切に対処しましょう。