急いで知りたい人向けまとめ

  • アスベスト(石綿)の全面禁止は2006年(平成18年)から
  • 段階的に規制が強化され、最終的に0.1%を超える含有も禁止
  • 現在も2006年以前の建物にはアスベスト含有建材が多く存在
  • 解体・リフォーム時には専門業者による事前調査と届出が必須
  • 自己判断で壊すのは非常に危険。健康被害リスクが高いため法令遵守が必要

そもそもアスベストとは?

アスベストとは、天然の繊維状鉱物であり、耐火性・断熱性・絶縁性に優れることから、20世紀後半まで建築資材として広く使用されてきました。

特に使われていた場所:

  • 吹付け材(天井・梁)
  • スレート屋根
  • 外壁パネル
  • 床材
  • 配管の断熱材 など

しかし、**粉じんを吸い込むことで深刻な健康被害(中皮腫・肺がん・アスベスト肺)**を引き起こすことが判明し、世界的に規制が強化されました。


アスベストの禁止はいつから?

日本におけるアスベスト使用禁止の流れは段階的に行われました。

✅ 【1995年】一部使用の制限開始

  • 吹付け石綿の使用が原則禁止に

✅ 【2004年】使用制限の対象拡大(労働安全衛生法)

  • 特定製品(スレート等)での使用禁止
  • 1%超の含有がある場合、製造・輸入・使用禁止に

✅ 【2006年】アスベストの原則使用禁止

  • ほぼすべてのアスベスト製品の使用・製造・輸入が禁止

✅ 【2012年】0.1%超のアスベストも全面禁止

  • 微量含有品の取り扱いも規制対象に

実質的な全面禁止は2006年、完全禁止は2012年からと考えられます。


なぜ段階的だったのか?

当時はまだアスベストを含む製品が建設・製造の現場で主流であり、一気に規制すると建築業界やインフラに大打撃となるため、猶予期間が設けられました。

しかしその結果、2006年以前の建物にはアスベストが残っている可能性が高いとされています。


今でもアスベストは身近にある?

はい。以下のような建物・資材には、現在もアスベストが含まれている可能性があります。

建物の築年数アスベストの可能性
~1975年高確率で使用
1976~1989年使用可能性あり(特に屋根・断熱材)
1990~2005年一部制限はあるが、使用されている例もあり
2006年以降使用禁止のため基本的に安全(ただし輸入材注意)

解体・リフォーム時の注意点

アスベスト含有の建物を解体・改修する際には、以下が法律で義務付けられています。

1. 事前調査(2022年4月~義務化)

→ 建築物の解体・改修前には有資格者によるアスベスト調査が必須

2. 結果の報告義務(2023年10月~原則電子報告)

→ 建築物の解体・改修工事での石綿含有建材調査結果の報告が義務化

3. 除去作業の際は専門業者の対応が必須

→ 石綿含有建材を除去するには、作業主任者の立会い+飛散防止措置が必須
→ 無届けでの作業や不適切な撤去は罰則の対象


よくある質問(FAQ)

Q. 2006年以降に建てられた建物ならアスベストは安心ですか?
A. 原則使用は禁止されていますが、「輸入資材」や「既存在庫」を使用したケースもあるため、調査しておくと安心です。

Q. 自分で調査してもいいですか?
A. 2022年以降、調査は「有資格者(建築物石綿含有建材調査者)」が行うことが義務付けられています。

Q. 解体費用に影響しますか?
A. はい。アスベストが含まれていた場合、除去費用や届出代行費用が数十万円単位で加算されることがあります。


まとめ

  • アスベストは2006年に原則禁止、2012年に完全禁止へ
  • それ以前に建てられた建物には、アスベスト含有の可能性が高い
  • 解体・リフォーム前には、必ず調査・届出・専門業者の対応が必要
  • 健康と安全、法令遵守のためにも、安易な自己判断は厳禁

「知らなかった」では済まされないのがアスベスト。
正しい知識と対応で、安全・安心な解体と住環境づくりを実現しましょう。