茨城県の最北端、久慈郡大子町は袋田の滝で知られる山あいの町です。町の総面積325.76平方キロメートルのうち山林が45.2%を占める一方、宅地はわずか2.1%。「非線引き都市計画区域」が町の一部に限られ、大半のエリアは都市計画区域外という、県内でも珍しい建築事情を持っています。人口は令和8年4月1日現在13,266人・世帯数5,921世帯で、65歳以上人口の割合は51.8%と県内でも高齢化が進んだ地域のひとつです。本記事では、大子町公式サイトの一次情報にもとづき、古い家が多いエリアの特徴と、建て替え・リフォームで使える制度を整理します。
大子町の人口構成と「古い家」が集中する背景
茨城県統計課「市町村のデータ(大子町)」によると、大子町の常住人口は13,266人、世帯数5,921世帯(令和8年4月1日現在)です。国勢調査の推移を見ると、昭和60年の28,230人から令和2年の15,736人まで一貫して減少しており、40年弱でほぼ半減しています。年齢別人口割合(令和7年10月1日現在)は15歳未満6.0%・15〜64歳42.2%・65歳以上51.8%で、住民の2人に1人以上が高齢者という構成です。
人口減少と高齢化が同時に進んだ結果、昭和40年代〜50年代に建てられた木造住宅が空き家化・老朽化するケースが町内各所で見られます。特に中心市街地から離れた山間部の集落では、後継者が都市部に転出し、実家だけが残っているという状況が珍しくありません。
都市計画区域と区域外エリアの違い
大子町の建築事情を理解するうえで欠かせないのが、都市計画区域の区分です。町公式サイトによると、大子町には「非線引き都市計画区域(大子都市計画区域:大字大子および池田・矢田・北田気の一部)」と、それ以外の「都市計画区域外」の2種類のエリアがあります。
非線引き都市計画区域の特徴
非線引き都市計画区域では、市街化区域と市街化調整区域のような線引きがなく、比較的自由に建築できる一方、開発行為(一定規模以上の造成等)には都道府県知事の許可が必要になります。町の中心部である大子地区周辺がこれに該当します。
都市計画区域外の特徴
町域の大半を占める都市計画区域外では、開発許可の対象となる規模がさらに緩やかになりますが、大子町は立地適正化計画を策定しており、区域外で一定規模の開発・建築を行う場合や、都市機能誘導区域内で誘導施設を休廃止する場合には、着手の30日前までに町への届出が必要です。「区域外だから何をしても自由」というわけではない点に注意が必要です。
木造住宅耐震改修等事業補助金
大子町は、旧耐震基準(昭和56年5月31日以前)に着工された木造住宅を対象に、耐震改修の補助制度を設けています。町公式サイト「耐震改修促進に関する各種補助制度について」(令和8年5月29日公表)によると、令和8年度の制度内容は次のとおりです。
補助金額と受付期間
- 大子町木造住宅耐震改修等事業補助金:耐震設計費および耐震改修工事費の5分の4(限度額150万円)
- 受付期間:6月1日(月)から8月31日(月)まで
耐震診断で基準を満たしていないと判定された住宅が対象です。補助率5分の4・上限150万円は県内の他市町村と比べても手厚い水準といえますが、受付期間が限られているため、建て替えではなく耐震改修を検討する場合は早めの相談が欠かせません。
木造住宅耐震診断士派遣事業
耐震診断そのものを希望する場合は、町が耐震診断士を無料で派遣する制度もあります。募集定員は5名程度で、応募多数の場合は建築年の古い住宅が優先されます。受付期間は耐震改修等事業補助金と同じく6月1日から8月31日までです。
木造住宅建設助成金(建て替え・新築向け)
建て替えを選ぶ場合に活用できるのが「木造住宅建設助成金」です。町内に自ら居住するための住宅を新築し、延床面積50平方メートル以上、使用する木材の2分の1以上に茨城県産材を用いることなどが条件で、町内の建設業者が施工することも要件に含まれます。
助成金額の計算方法
助成金額は床面積1平方メートルにつき10,000円で、助成限度額は100万円です。たとえば延床面積100平方メートルの住宅であれば100万円が上限額の目安になります。子育て世帯住宅建設助成金・住宅リフォーム助成金・空き家バンクリフォーム助成金との併用はできないため、複数の制度を比較したうえでどれを使うか選ぶ必要があります。
危険ブロック塀等撤去事業補助金
建て替え・解体にあたっては、母屋だけでなく敷地を囲むブロック塀にも注意が必要です。大子町では、緊急輸送道路や通学路(避難路等)に面する、倒壊の恐れのある危険ブロック塀の撤去費用について、3分の2(限度額15万円)を補助する制度があります。受付期間は6月1日から11月30日までと、耐震関連の補助金より長めに設定されています。

空き家バンクを活用した解体・リフォーム支援
実家を手放して活用してもらう選択肢を取る場合、大子町空き家バンクを通じた各種支援制度が利用できます。町公式サイト「大子町空き家利用促進補助金の案内」によると、主な制度は次のとおりです。
空き家片付け支援補助金
空き家バンクに登録されている空き家の家財処分・敷地の除草に対して、最大10万円が補助されます。空き家等登録者(所有者)だけでなく、空き家入居支度金の対象となる移住者(契約締結日から1年以内)も利用できます。ただし1つの物件につき1回までという制限があります。
空き家入居支度金
町外から移住し、空き家バンクの登録物件を賃借・購入して定住する方に対して、引っ越し費用として3万円が補助されます。入居した日から3カ月以内の申請が条件です。
既存住宅状況調査補助金(インスペクション)
建築士による既存住宅状況調査(インスペクション)の費用について、最大5万円が補助されます。売買前に建物の状態を客観的に把握したい場合に活用できる制度です。
空き家バンクリフォーム助成金
大子町空き家等情報バンクの登録物件をリフォームする場合には、別途「空き家バンクリフォーム助成金」が用意されています。町内へ移住する利用登録者(または入居後1年以内の登録者)が対象で、町内の建設業者が施工し、工事費用が20万円(税込)以上であることなどが要件です。
助成金額
助成金額は工事費用(税込)の50%で、最大助成額は100万円です。木造住宅建設助成金・子育て世帯住宅建設助成金・住宅リフォーム助成金との併用はできないため、建て替え(新築)とリフォームのどちらを選ぶかで使う制度が変わります。
解体費用そのものへの補助金は無いことに注意
大子町公式サイトのページタイトルにもあるとおり、大子町では「解体そのもの」を直接対象とした補助金は用意されていません。解体費用への補助を探している場合は、この点をまず押さえておく必要があります。かわりに、空き家バンクへの登録を前提とした片付け・リフォーム・耐震改修といった周辺制度が用意されている、という位置づけです。解体費用そのものへの補助制度の詳しい確認結果は、当サイトの別記事「大子町の解体に補助金は出る?“解体そのもの”は対象外|使える空き家・リフォーム制度【2026年】」で解説しています。
建て替えか、活用か、判断の分かれ道
古い家をどうするか迷ったときは、次の3つの視点で整理すると判断しやすくなります。
1. 住み続ける前提か、手放す前提か
自分たちが住み続けるための建て替え・耐震改修なのか、空き家バンクを通じて他の方に活用してもらう前提なのかで、使える補助金の種類が変わります。前者は木造住宅建設助成金や耐震改修等事業補助金、後者は空き家バンク関連の各種補助金が対象になります。
2. 建築確認日が旧耐震基準かどうか
昭和56年5月31日以前に着工された住宅かどうかで、耐震診断士派遣・耐震改修等事業補助金の対象可否が決まります。建築時期が不明な場合は、登記事項証明書などで確認しましょう。
3. 立地エリアが非線引き都市計画区域か区域外か
大子地区周辺の非線引き都市計画区域か、それ以外の都市計画区域外かによって、開発行為の許可基準や届出の要否が変わります。立地適正化計画の対象区域内かどうかも含め、建設課に事前確認することをおすすめします。
解体費用の目安と業者選びのポイント
建て替えを決めた場合、既存家屋の解体費用の相場や優良な解体業者の選び方も重要な検討事項です。大子町は山間部が多く、搬出経路や重機の進入路の確保が費用に影響しやすい地域でもあります。詳しい坪単価の目安や見積もりの比較方法は、当サイトの別記事「【2026年】大子町の解体費用は90万円〜?相場と優良業者選び5つのコツ」でまとめています。あわせて、大子町全体の空き家動向や人口推移については「大子町の空き家の現状とまちの変化【2026年】」もご覧ください。
よくある質問
Q1. 大子町に解体費用そのものへの補助金はありますか?
解体そのものを直接対象とした補助金はありません。かわりに、空き家バンク登録を前提とした片付け支援補助金(最大10万円)や、リフォーム助成金(最大100万円)など周辺制度が用意されています。
Q2. 木造住宅耐震改修等事業補助金の対象になる住宅の条件は?
昭和56年5月31日以前に着工された木造住宅で、耐震診断により基準を満たしていないと判定されたものが対象です。補助額は耐震設計費・耐震改修工事費の5分の4(限度額150万円)で、受付期間は例年6月1日から8月31日までです。
Q3. 建て替えで使える助成金にはどのようなものがありますか?
町内に居住するための住宅を新築する場合、茨城県産材を2分の1以上使用し、町内の建設業者が施工することなどを条件に「木造住宅建設助成金」(床面積1平方メートルあたり1万円・上限100万円)が利用できます。
Q4. 都市計画区域外なら自由に建て替えできますか?
区域外だからといって無条件に自由というわけではありません。大子町は立地適正化計画を策定しており、区域外での一定規模の開発・建築や、都市機能誘導区域内での誘導施設の休廃止には、着手30日前までの届出が必要な場合があります。
Q5. 空き家バンクに登録しないと使えない制度はありますか?
空き家片付け支援補助金・空き家入居支度金・既存住宅状況調査補助金・空き家バンクリフォーム助成金は、いずれも大子町空き家等情報バンクへの登録(または登録物件の利用)が前提条件です。
Q6. 木造住宅建設助成金とリフォーム助成金は両方使えますか?
いいえ。木造住宅建設助成金・子育て世帯住宅建設助成金・住宅リフォーム助成金・空き家バンクリフォーム助成金は、過去2年以内に他の助成金を受けた物件との併用ができません。新築(建て替え)かリフォームか、どちらの方針で進めるかを先に決める必要があります。
まとめ:大子町で古い家の今後を考えるときの一次確認先
大子町で古い家の建て替え・活用を検討する際は、まず住み続けるか手放すかの方針を決め、旧耐震基準に該当する場合は耐震診断士派遣・耐震改修等事業補助金、建て替えなら木造住宅建設助成金、空き家バンクを通じた活用ならリフォーム助成金や各種支援金というように、目的別に制度を選び分けることが重要です。受付期間が6月〜8月・11月までなど制度ごとに異なるため、本記事を参考にしつつ、実際の申請前には大子町建設課(0295-72-2611)またはまちづくり課(0295-72-1131)への確認をおすすめします。
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