「那珂市に実家があるけれど、両親が施設に入って以来ずっと空き家のまま」「相続はしたものの、遠方に住んでいて手が回らない」——那珂市で解体のご相談をいただく際、こうした事情を伺うことがよくあります。那珂市は水戸市のベッドタウンとして世帯数を伸ばしてきた一方、旧那珂町・旧瓜連町それぞれの地域で空き家が増えているのも事実です。この記事では、那珂市の人口・世帯の一次データと、市が公式に公表している地区別の空き家調査結果をもとに、那珂市の「今」と「これから」を整理します。すでに解体費用や補助金制度を調べたことがある方も、まちの変化という切り口から改めて状況を確認していただければと思います。

那珂市の基礎データ【2026年最新】

那珂市公式ホームページによると、令和8年7月1日時点の住民基本台帳人口は52,264人(男25,691人・女26,573人)、世帯数は23,849世帯です。前月からは人口が6人減少した一方、世帯数は31世帯増えており、人口減少と世帯数増加が同時に進む「世帯の小規模化」が数字にも表れています。

なお、直近の国勢調査(令和2年)を基準にした常住人口は51,281人で、住民基本台帳人口とは集計方法が異なるため数千人単位の差が生じます。行政資料を参照する際は、どちらの人口統計かを確認することをおすすめします。

1世帯あたりの人員は2.19人

52,264人÷23,849世帯で計算すると、那珂市の1世帯あたり人員は約2.19人です。空家等対策計画によれば世帯数は昭和55年の11,663世帯から一貫して増え続けており、核家族化・単独世帯化が長期トレンドとして続いています。世帯が増えても人口が減るということは、1軒あたりの居住人数が減り、将来的な空き家予備軍(高齢者のみの世帯・単身高齢世帯)が増えることを意味します。

那珂市の成り立ち|2度の合併の歴史

那珂市は2005年(平成17年)1月21日、那珂郡那珂町が瓜連町を編入する形で市制施行して誕生しました。合併当時の人口は56,726人・世帯数19,452世帯・面積97.8平方キロメートルでした。

実はこれが最初の合併ではありません。旧那珂町自体も、昭和30年(1955年)3月31日に那珂郡の菅谷町・神崎村・木崎村・五台村・戸多村・額田村・芳野村の7町村が合併して発足した町でした。つまり那珂市は、「7町村→那珂町」という昭和の大合併と、「那珂町+瓜連町→那珂市」という平成の大合併を経て、計8つの旧町村が一つになった自治体です。この歴史的経緯は、後述する地区別の空き家分布のばらつきを理解するうえでも重要な背景になります。

那珂市の空き家の現状と背景

那珂市は常磐自動車道那珂インターチェンジを有し、水戸市・ひたちなか市などへの通勤利便性からベッドタウンとして発展してきました。国道118号・349号・6号の3つの国道とJR水郡線が市内を通り、交通インフラは県内でも整っている部類に入ります。

那珂市空家等対策計画(令和2年3月策定)によれば、市の人口は平成12年(2000年)の55,069人をピークに減少局面に入っており、平成27年(2015年)は54,276人となっています。一方で世帯数は昭和55年から一貫して増加を続け、平成27年時点で20,025世帯に達しました。人口減少と世帯増加が同時進行する構図は、そのまま「使われなくなる住宅」の増加圧力につながります。

住宅総数は居住世帯数を上回る

平成30年住宅・土地統計調査(総務省統計局)によると、那珂市の住宅総数は22,970戸である一方、居住世帯のある住宅は20,380戸にとどまります。単純計算で2,590戸が「居住世帯なし」の住宅ということになりますが、これには賃貸の空室や二次的住宅なども含まれるため、そのすべてが管理不全の空き家というわけではありません。市が実際に現地調査した結果は次の章で紹介します。

地区別に見る空き家の分布|8地区で明暗

那珂市空家等対策計画には、自治会に委託して実施した空き家調査の結果(平成30年11月30日現在)が地区別に掲載されています。市内を構成する8地区の空き家数(A〜D評価+自治会調査以降の追加分の合計)は次のとおりです。

那珂市 地区別空き家数早見表
  • 菅谷地区 184戸(旧那珂町の中心市街地・市役所周辺)
  • 五台地区 169戸
  • 瓜連地区 117戸(旧瓜連町域・瓜連支所周辺)
  • 神崎地区 111戸
  • 芳野地区 95戸
  • 額田地区 84戸
  • 木崎地区 56戸
  • 戸多地区 50戸

合計866戸のうち、最も多い菅谷地区(184戸)と最も少ない戸多地区(50戸)では3.7倍の差があります。市の中心市街地である菅谷地区で空き家数が最多になっている点は、「郊外だけでなく中心部でも空き家が発生する」という全国的な傾向とも一致します。旧瓜連町域の瓜連地区も117戸と、8地区の中では上から3番目に多く、平成の合併前から住宅が集積していたエリアであることがうかがえます。

なお、この調査でD評価(構造上の損傷が大きく利用が難しい状態)とされた107戸については、平成29年度に那珂市が追加の実態調査を行っています。調査後は「除却済み」(解体済み)となった空き家が地区ごとに一定数確認されており、行政としても老朽空き家の解消を継続的に進めていることが分かります。

那珂市の空き家対策計画・行政の取り組み

那珂市は平成29年3月に「那珂市空き家等の適正管理に関する条例」を施行し、同年9月には空き家バンク制度実施要綱、11月にはリフォーム補助金交付要綱を整備しました。平成30年3月には「那珂市空き家等対策協議会設置条例」を施行し、専門家の意見を交えた協議体制を構築しています。

これらを踏まえて策定されたのが「那珂市空家等対策計画」(令和2年3月、計画期間は令和2〜11年度の10年間)です。計画では「快適な住環境の保全」「安心で安全なまちづくりの推進」「空家等を活用した移住・定住の促進」の3つを基本方針に掲げています。

管理が行き届かない空き家(管理不全な状態)に対しては、まず助言・指導、それでも改善しない場合は勧告、命令、最終的には行政代執行に進む段階的な手順が条例・特措法の両面から定められています。特定空家等として勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例(更地の場合と比べ税額が最大1/6になる軽減措置)が解除される点も、所有者にとっては見過ごせないポイントです。

那珂市空き家バンク制度|「壊す」より「活かす」が基本方針

那珂市が力を入れているのは、空き家を解体することよりも、空き家バンクを通じて「使える状態のまま次の所有者・利用者へ引き継ぐ」ことです。那珂市空き家バンクは、市街化区域または市が指定した区域内にある空き家について、売却・賃貸を希望する所有者の情報を公開し、利用希望者とのマッチングを図る仕組みです。

公益社団法人茨城県宅地建物取引業協会と協定を結び、登録された物件の媒介業務(契約交渉の仲介等)を委託している点も特徴です。空き家バンクに登録された物件のリフォーム工事や家財処分については、那珂市空き家バンクリフォーム補助金交付要綱に基づき、リフォーム工事費は対象経費の1/2(上限30万円)、家財処分費は対象経費の1/2(上限10万円)が補助される制度も用意されています(同一物件につき各区分1回限り)。

一方で、建物そのものを取り壊す「解体費用」への直接補助は那珂市には用意されていません。この点については、当サイトの別記事「那珂市に解体補助金はある?使える制度と壊す前の順番【2026】」で、危険ブロック塀等除却補助金(上限10万円・先着6件)など実際に使える制度と合わせて詳しく解説しています。

まちの変化|人口推移とベッドタウン化の歩み

那珂市の人口・世帯数の推移グラフ

グラフのとおり、那珂市(合併前の那珂町域を含む)の人口は昭和55年(1980年)の44,768人から一貫して増加し、平成12年(2000年)に55,069人のピークを迎えました。その後は緩やかな減少に転じ、平成27年(2015年)は54,276人、令和8年(2026年)7月時点の住民基本台帳人口は52,264人となっています。

一方、世帯数は昭和55年の11,663世帯から令和8年の23,849世帯まで、45年余りでほぼ倍増しています。人口がピークを越えて減少する中でも世帯数が増え続けているのは、核家族化・単独世帯化に加え、那珂ICを中心とした宅地開発により若い世帯の転入が続いてきたことも背景にあると考えられます。

公示地価については、地価マップ公表値(2026年)で那珂市の住宅地平均は1平方メートルあたり21,633円・坪単価71,514円、前年比-0.04%とされています。大きな上昇・下落はなく、横ばい圏で推移している状況です(出典:地価マップ、市区町村・地点により差があるため個別の売却相談では最新の実勢価格の確認をおすすめします)。

地区ごとの特徴|市街地エリアと在来集落エリア

那珂市の8地区は、成り立ちや土地利用の違いから大きく2つの性格に分けて捉えることができます。

中心市街地・宅地開発エリア(菅谷・五台など)

那珂市役所本庁舎が所在する菅谷地区を中心に、那珂ICへのアクセスの良さから住宅地開発が進んできたエリアです。空き家調査で最多の184戸を数える菅谷地区は、市の中心部でありながら旧市街地の古い住宅も多く残るため、新旧の住宅が混在する構造になっています。

旧瓜連町域・在来集落エリア(瓜連・戸多など)

瓜連支所が置かれる瓜連地区は、平成の合併(2005年)まで独立した瓜連町として歴史を歩んできたエリアです。JR水郡線の瓜連駅を中心に、常陸国二宮とされる静神社の門前としての歴史も持ちます(常陸国出雲大社は隣接する笠間市に所在するため、那珂市とは別の自治体です。混同されやすいので念のため補足します)。こうした在来集落型の地区では、農地や旧宅地に付随する古い住宅が代々受け継がれてきた結果、相続を機に空き家化するケースが目立ちます。

空き家を放置するリスク

空き家は「そのままにしておけば税金がかからない」というイメージを持たれがちですが、実際には放置することで発生するリスクが複数あります。

  • 特定空家等に指定されるリスク:那珂市空き家等の適正管理に関する条例および空家法に基づき、管理不全な状態が続くと助言・指導、勧告、命令、最終的には行政代執行(費用は所有者に請求)に至る可能性があります。
  • 固定資産税の軽減措置解除:特定空家等として「勧告」を受けると、住宅用地の固定資産税特例(更地と比べ税額が最大1/6になる軽減措置)が解除され、税負担が増加します。
  • 倒壊・部材飛散などの物理的リスク:那珂市の条例が定める「管理不全な状態」には、建物の倒壊・破損・建築資材の飛散により人の生命や財産に被害を及ぼすおそれのある状態が明記されています。
  • 景観・防犯上の問題:不特定の者が侵入しやすい状態は、犯罪や火災を誘発するリスクにもつながります。
  • 相続の複雑化:那珂市の空家等対策計画でも「適切に相続・登記されていない空家等は、情報提供や指導などの対応が困難になる」ことが課題として明記されています。世代が進むほど相続人が増え、意思決定が難しくなる傾向があります。

解体という選択肢|まず費用感を知る

那珂市には建物の解体費そのものへの補助金制度はありませんが、空き家バンクでの活用が難しい老朽化した建物については、解体して更地にしたうえで売却・活用を検討するのも現実的な選択肢です。那珂市エリアの解体費用の目安や坪単価の節約術については、当サイトの別記事「【2026年】那珂市の解体費用相場|坪単価と4つの節約術」で詳しく解説しています。また、解体前に確認しておきたい補助金・制度の全体像は「那珂市に解体補助金はある?使える制度と壊す前の順番【2026】」をあわせてご覧ください。

「解体するか」「空き家バンクで活用するか」「そのまま所有し続けるか」の判断は、建物の老朽度・立地・家族構成によって最適解が変わります。迷った場合は、茨城県専門の解体Do!まで無料でご相談ください。

よくある質問(FAQ)

那珂市の人口はどのくらいですか?

那珂市公式ホームページによると、令和8年7月1日現在の住民基本台帳人口は52,264人(男25,691人・女26,573人)、世帯数は23,849世帯です。直近の国勢調査(令和2年)を基準にした常住人口は51,281人で、集計方法によって数値が異なります。

那珂市の空き家はどの地区に多いですか?

那珂市空家等対策計画(令和2年3月)の自治会調査結果(平成30年11月30日現在)によると、8地区中もっとも空き家が多いのは市の中心市街地にあたる菅谷地区の184戸、次いで五台地区169戸、瓜連地区117戸の順です。もっとも少ないのは戸多地区の50戸でした。

那珂市に空き家の解体費用への補助金はありますか?

那珂市には建物の解体費そのものを補助する制度は用意されていません(市公式サイトで確認)。危険ブロック塀等除却補助金や空き家バンクリフォーム補助など、条件が合えば使える制度は別にあります。詳しくは「那珂市に解体補助金はある?使える制度と壊す前の順番」の記事をご覧ください。

那珂市の空き家バンクはどのような制度ですか?

那珂市空き家バンクは、市街化区域等に所在する空き家の売却・賃貸を希望する所有者の情報を公開し、利用希望者とマッチングする制度です。公益社団法人茨城県宅地建物取引業協会と協定を結び、契約交渉の媒介などを行っています。登録物件のリフォーム工事費(上限30万円)や家財処分費(上限10万円)への補助制度もあります。

那珂市はいつ、どのように誕生した市ですか?

那珂市は2005年(平成17年)1月21日、那珂郡那珂町が瓜連町を編入する形で市制施行して誕生しました。旧那珂町自体も昭和30年(1955年)に菅谷町・神崎村・木崎村・五台村・戸多村・額田村・芳野村の7町村が合併して発足しており、那珂市は計8つの旧町村が一つになった自治体です。

空き家を放置するとどのようなリスクがありますか?

管理不全な状態が続くと、那珂市の条例や空家法に基づき助言・指導、勧告、命令、最終的には行政代執行に至る可能性があります。勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例が解除され税負担が増えるほか、倒壊・部材飛散、防犯上の問題、相続の複雑化といったリスクも指摘されています。

まとめ

那珂市は、常磐自動車道那珂ICを核としたベッドタウンとして世帯数を伸ばし続ける一方、平成12年をピークに人口は緩やかな減少局面に入っています。8地区で構成される市域には、中心市街地の菅谷地区で184戸、旧瓜連町域の瓜連地区で117戸など、地区ごとに異なる背景を持つ空き家が分布しています。市は「壊す」より「活かす」を基本方針に空き家バンクとリフォーム補助を用意していますが、老朽化が進み活用が難しい建物については、解体して更地にする選択肢も含めて早めに検討することが、将来のリスクを避ける近道です。那珂市での空き家・解体のご相談は、茨城県専門の解体Do!までお気軽にどうぞ。

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