「実家をどうするか、まだ決めきれていません」——五霞町でこうしたご相談をいただくとき、多くの方がまず思い浮かべるのは解体です。しかし五霞町には、建物を壊さずに次の使い手へつなぐ「空き家バンク制度」という選択肢もあります。令和3年7月に始まったこの制度、実際にはどんな手順で、どんな空き家なら登録できるのでしょうか。本記事では五霞町の空き家バンクの仕組みを一次情報から整理し、解体という選択肢との使い分け方まで解説します。
五霞町の空き家バンクとは|令和3年7月開始の制度
五霞町空き家バンクは、売却や賃貸を希望する所有者から登録を受けた空き家について、町への定住を希望する方に情報提供する仕組みです。令和3年7月1日に「五霞町空家バンク実施要綱」が施行され、運用が始まりました。制度を所管するのは町の産業課くらし環境係です。
制度の目的
実施要綱の第1条には「町内の空家等を有効活用し、良好な住環境の確保及び定住の促進による地域の活性化を図るため」と明記されています。単に空き家を減らすだけでなく、五霞町へ移り住みたい人と空き家をつなぎ、地域の活力を維持する狙いが込められた制度です。
不動産会社への売却・賃貸との違い
空き家バンクは町が情報を公開する「マッチングの場」であり、実際の売買・賃貸借の交渉やその後の契約は、町と協定を結んだ公益社団法人茨城県宅地建物取引業協会から推薦を受けた媒介業者、または所有者があらかじめ指定した宅建業者が担当します。町自体は交渉や契約の内容には一切関与しません。はじめから不動産会社に売却や買取を依頼する方法と混同されがちですが、窓口が「町」か「不動産会社」かという点が大きく異なります。
登録できる空き家・できない空き家
登録対象になる条件
実施要綱上、登録できる「空家等」は、個人が居住目的で町内に建築・所有し、現に居住していない建物(近く居住しなくなる予定のものを含む)と、その敷地です。賃貸や売却を希望していても、条件に当てはまらなければ登録できません。
登録できない5つのケース
- 賃貸または分譲を目的として建築された建物
- 老朽化・損傷が著しい建物
- 大規模な改修が必要と認められる建物
- 建築基準法・都市計画法その他関連法令の規定により居住の用に供することができない建物
- 五霞町暴力団排除条例第2条第2号・第3号に該当する者が所有する建物
ここで見落とされがちなのが2番目・3番目です。空き家バンクはあくまで「そのまま住める・貸せる」状態の建物を想定した制度であり、傷みが進んだ空き家は最初から対象外になる可能性があります。その場合は後述する解体という選択肢を検討することになります。
登録から契約までの5ステップ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ①物件登録申込み | 物件登録カード・同意書・身分証の写し・発行3か月以内の登記事項証明書などを添えて町へ提出 |
| ②審査・登録通知 | 町が内容を審査し、適当と認めれば登録。登録期間は登録日から2年間(延長可) |
| ③媒介業者の決定 | 町が茨城県宅建協会に媒介業者の推薦を要請。所有者が業者を指定することも可能 |
| ④利用希望者の利用登録 | 購入・賃借を希望する側もあらかじめ利用登録が必要。定住意思があることが条件 |
| ⑤交渉申込みと契約 | 利用登録者が交渉を申し込み、媒介業者が交渉。契約内容や損益に町は関与しない |

①物件登録申込み(必要書類)
空き家バンク物件登録申込書に、物件登録カード・同意書・身分証明書の写し・発行から3か月以内の登記事項証明書などを添えて町へ提出します。
②審査・登録通知(登録期間は2年)
町が内容を審査し、適当と認めれば登録され、登録通知書が送られます。登録期間は登録日から2年間で、満了前に延長の申出をすれば2年ずつ更新できます。
③媒介業者の決定
登録後、町は茨城県宅建協会に媒介業者の推薦を要請します。所有者があらかじめ宅建協会加盟の業者を指定していれば、その業者が担当することになります。
④利用希望者の利用登録
空き家の購入・賃借を希望する側も、あらかじめ利用登録が必要です。利用登録できるのは、購入・賃借した空き家を住所地として定住する意思がある人に限られ、暴力団関係者は除外されます。利用登録の期間も登録日から2年間です。
⑤交渉申込みと契約
利用登録者が特定の物件との交渉を希望する場合、物件交渉申込書を町に提出します。町から通知を受けた媒介業者が遅滞なく交渉を行い、結果を町に報告する流れです。売買・賃貸借の条件や、それによって生じる利益・損害について、町は一切関与しません。
空き家バンクを使うメリットと注意点
メリット
登録・情報公開そのものに費用はかかりません。町の公式ホームページを通じて「五霞町に住みたい」という層に直接アプローチできる点が大きな強みです。通常の不動産流通ルートに加えて、移住・定住を目的とした専用の窓口を持てます。
注意点
一方で、登録すればすぐに買い手・借り手が見つかるとは限りません。利用登録者側にも定住意思という条件があるため、母数自体が限られます。また前述のとおり老朽化した建物は登録対象外になるため、劣化が進む前の判断が重要です。
空き家バンクと解体、どちらを選ぶべきか
バンク登録が向いているケース
屋根や外壁、水回りに大きな傷みがなく、リフォームすればすぐに住める状態の空き家は、解体して更地にするより、バンクに登録して「暮らせる家」として引き継ぐほうが、建物の価値をそのまま活かせます。
解体が向いているケース|老朽空家解体費補助金
老朽化が進み登録対象にならない空き家や、周辺の防災・衛生上のリスクが高い空き家は、解体という選択肢が現実的です。五霞町には老朽空家解体費補助金があり、補助対象経費の3分の1または30万円の低いほうの額が交付されます(申請窓口は産業課、解体業者は町内業者限定、交付決定前の着工は対象外)。制度の詳しい条件や申請の順番は、下記の記事で詳しく解説しています。
▶あわせて読みたい:五霞町の空き家解体補助金|1/3・上限30万円の条件と申請【2026年度】
迷ったときの現実的な判断基準
判断に迷う場合は、まず空き家バンクへの登録相談をしてみて、対象外と言われた、あるいは一定期間登録しても反応がなかった場合に解体を検討する、という順番も一つの考え方です。空き家の状態を正確に把握するには、不動産会社による現地確認を受けておくと、その後の判断がスムーズになります。
五霞町で空き家を放置するとどうなるか
特定空家に指定されるリスク
適切な管理をしないまま放置すると、空家等対策の推進に関する特別措置法に基づき「特定空家等」に指定される場合があります。指定後に町から勧告を受けると、住宅用地に対する固定資産税の特例が外れ、税負担が増える可能性があります。
近隣トラブルという見えにくいリスク
屋根材の飛散や樹木の越境、害獣の侵入など、管理が行き届かない空き家は近隣トラブルの火種にもなります。バンク登録にせよ解体にせよ、早めに次の使い道を決めておくことが、結果的にリスクを小さくすることにつながります。
空き家バンクで決まらない場合の選択肢
不動産会社への売却・買取という道
空き家バンクに登録しても一定期間反応がない場合や、そもそも定住希望者向けという制度の性質上マッチングしにくい場合は、不動産会社への売却や買取という選択肢もあわせて検討する価値があります。
遠方に住んでいても相談できる強み
相続で五霞町の実家を引き継いだものの、遠方に住んでいるというケースは珍しくありません。ハウスドゥは買取専門店として、現地立会いが難しい場合の対応や、訳あり・老朽化した物件のご相談にも応じています。空き家バンクの対象外だった建物でも、まずは状態を確認したうえで選択肢をご提案します。
五霞町の地域特性と空き家が増えている背景
圏央道 五霞ICと交通の便
五霞町は利根川を挟んで境町と隣接し、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の五霞ICが町内にあります。2025年3月には埼玉県内区間(幸手IC〜五霞IC間)が4車線化され、最高速度も時速70kmから80kmへ引き上げられるなど、都心方面へのアクセスは年々改善しています(出典:JAF Mate Online)。
人口・世帯数の推移
五霞町の常住人口は2026年4月1日時点で7,444人、世帯数3,064世帯です(五霞町公式統計)。単純計算で1世帯あたり2.4人程度となり、核家族化・高齢化が進む中で、親世代が住んでいた家を子世代が持て余すケースが増えていると考えられます。空き家バンクは、こうした背景のもとで生まれた制度といえます。
よくある質問
五霞町の空き家バンクに登録するといくらかかりますか?
登録・情報公開そのものに費用はかかりません。ただし登記事項証明書の取得費用など、書類準備に伴う実費は所有者の負担になります。
空き家バンクに登録すれば必ず売れますか?
必ず売れる・貸せるわけではありません。利用登録者側にも定住意思という条件があり、母数が限られるため、登録後もマッチングまで時間がかかることがあります。
老朽化した空き家でも空き家バンクに登録できますか?
老朽化・損傷が著しい建物や大規模な改修が必要な建物は、実施要綱上、登録対象から除外されます。この場合は老朽空家解体費補助金の活用など、別の選択肢を検討することになります。
空き家バンクと不動産会社への売却は同時に進められますか?
実施要綱は空き家バンク以外での取引を妨げるものではないとしています。ただし実務上は、まず不動産会社に相談し、状態や需要を踏まえて空き家バンク登録の可否をあわせて検討する進め方が現実的です。
空き家バンクの登録期間はどのくらいですか?
登録期間は登録した日から2年間です。満了前に延長を申し出れば、2年ずつ更新できます。
空き家バンクの相談窓口はどこですか?
五霞町役場の産業課くらし環境係(電話0280-84-2582)が窓口です。老朽空家解体費補助金についても同じ窓口で相談できます。
まとめ
五霞町の空き家バンクは、令和3年7月に始まった、建物を壊さずに次の使い手へつなぐための制度です。登録できる空き家には条件があり、老朽化が進んだ建物は対象外になる場合があります。まだ住める状態ならバンク登録、傷みが進んでいるなら老朽空家解体費補助金を使った解体、そのどちらでも判断が難しければ不動産会社への相談という順番で検討すると、空き家を放置するリスクを避けながら、自分に合った選択肢を見つけやすくなります。
五霞町の空き家については、こちらの記事もあわせてご覧ください。五霞町の空き家の現状とまちの変化【2026年】/五霞町の古い家が多いエリアと建て替え事情【2026年版】
無料見積もりフォーム
この記事に関するお見積もり・ご相談はこちらから。秘密厳守で対応いたします。


