茨城県の南西端、埼玉県・千葉県と接する猿島郡五霞町(ごかまち)。県内の市町村の中でも面積が23.11平方キロメートルと最も小さいクラスに入る一方、人口密度は322.1人/平方キロメートルと県平均を大きく上回ります。首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の五霞インターチェンジを核とした工業団地の整備が進む「働くまち」としての顔と、江戸期から続く農村集落としての顔が同居しているのが五霞町の特徴です。この記事では、五霞町の人口・世帯データと成り立ちの歴史をたどりながら、なぜ町なかに空き家が生まれ、放置するとどんなリスクにつながるのかを整理します。

五霞町の人口・世帯の今

茨城県統計課「市町村のデータ(五霞町)」によると、五霞町の常住人口は7,444人、世帯数は3,064世帯(いずれも令和8年4月1日現在)です。面積23.11平方キロメートルに対して人口密度は322.1人/平方キロメートルとなっており、県西・県南の町村の中では比較的まとまった密度を保っています。

国勢調査でたどる人口の推移

総務省統計局「国勢調査」の結果を茨城県統計課がまとめたデータでは、五霞町の人口は次のように推移しています。

調査年 人口(人)
昭和60年 8,593
平成2年 9,468
平成7年 10,312(ピーク)
平成12年 10,218
平成17年 9,873
平成22年 9,410
平成27年 8,786
令和2年 8,093

平成7年の10,312人をピークに、その後は一貫して減少が続いています。ピーク時と比較すると令和2年時点で約2,200人、率にして2割以上の減少です。一方で直近の推計人口(令和8年4月・7,444人)を見ると減少ペースはやや緩やかになっており、圏央道の開通に伴う工業団地整備・雇用創出が人口の下支えになっている可能性がうかがえます。

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五霞町の人口推移(国勢調査、茨城県統計課データ)

年齢構成と将来を見るうえでの視点

令和7年10月1日現在の年齢別人口割合は、15歳未満7.7%、15〜64歳54.2%、65歳以上38.0%です(茨城県統計課「茨城県常住人口調査」)。65歳以上が全体の4割近くを占めており、今後も持ち家の空き家化が進みやすい年齢構成であることは押さえておく必要があります。

五霞町はどうやってできたまちか

五霞町の成り立ちをたどると、明治22年(1889年)4月1日の町村制施行にさかのぼります。このとき、西葛飾郡の元栗橋村・幸主村・山王山村・山王村・江川村・冬木村・新幸谷村・川妻村・小手指村・大福田村・小福田村の11か村が合併し、「五霞村」が発足しました。「五霞」という地名は、近世に元栗橋など主要な村落群が「五ヶ村」と呼ばれていたことと、利根川流域特有の霞堤(かすみてい)型の築堤や、それに似た自然堤防の集落形状から関宿藩が村々を「霞堤」と通称したことに由来すると伝えられています。その後、平成8年(1996年)に町制を施行し、現在の「五霞町」となりました。

合併を経ずに単独の町として現在まで続いている点も特徴で、平成の大合併期にも近隣自治体との法定協議会が設置された経緯がありますが、最終的に合併には至っていません(五霞町公式ホームページ「町の概要」)。11の村がまとまって一つの村になったという歴史的経緯は、現在も町内に残る地区名や集落単位のつながりに表れています。

圏央道五霞ICが変えたまちの姿

五霞町の近年の変化を語るうえで欠かせないのが、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)五霞インターチェンジの存在です。圏央道・新4号国道・県道西関宿栗橋線といった広域幹線道路が交わる立地を生かし、町は「五霞インターチェンジ周辺地区土地区画整理事業」として商業・工業・物流を中心とした土地利用の転換を進めてきました。江川工業団地をはじめとする工業団地の整備が進んだ結果、平成29年の都道府県地価調査では、五霞町の工業地の地価上昇率が全国1位を記録したことが報じられています。

東京都心から見ても圏央道・国道4号経由でアクセスしやすい立地にあることから、物流拠点としての引き合いは今後も続くとみられます。一方で、こうした「働く場」としての発展と、住宅が建ち並ぶ既存の集落エリアの人口動態は必ずしも一致するとは限りません。工業団地周辺で雇用が生まれても、そこで働く人が町内の空き家に住むとは限らず、通勤圏として近隣市町から通う形が主流になりやすいためです。ここに、五霞町特有の「まちとしては動いているのに、個々の住宅は空き家化が進む」というねじれが生まれます。

五霞町で空き家が増えやすい理由

県内最小クラスの面積に集落が密集

五霞町は面積23.11平方キロメートルと県内でも指折りのコンパクトな町域に、江戸期以来の11の旧村がまとまって存在します。集落同士の距離が近いぶん、一つの家が空き家になっても目立ちにくく、対応が後回しにされやすい面があります。

高齢化率38%という現実

65歳以上人口が全体の38.0%を占める中、持ち家を維持してきた世代の高齢化がそのまま空き家予備軍の増加につながります。特に、子ども世代が既に東京都心や県外に生活拠点を持っているケースでは、実家を「いずれ考える」まま先送りにしやすい構造があります。

農地・宅地比率のアンバランス

令和6年1月1日時点の土地利用状況では、農地が41.3%、宅地が17.3%、その他(道路・水面・原野等)が40.6%を占め、山林はわずか0.8%です(茨城県市町村課「茨城県市町村概況」)。農地に囲まれた集落構造のため、空き家となった住宅を農地への転用や別用途への活用に回すハードルが、都市部に比べて高くなりがちです。

空き家を放置するとどうなるか

空き家対策特別措置法により、適切な管理がされず倒壊等のおそれがあると市町村が判定した空き家は「特定空家等」に指定される可能性があります。指定を受けると、固定資産税の住宅用地特例(最大6分の1減額)が解除され、税負担が増えるケースがあるほか、行政からの助言・指導・勧告・命令といった段階的な措置の対象になります。詳しい仕組みは当サイトの別記事「特定空き家とは|4段階と補助金の関係」で解説しています。

五霞町のように集落同士が近接していると、空き家の劣化や倒木・雑草の繁茂が隣接する住宅への被害(越境・害虫・景観悪化)に直結しやすい点も見逃せません。台風や大雪の際に瓦や外壁材が飛散するリスクは、密集した集落構造ほど高まります。

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五霞町の空き家解体補助金制度

五霞町では「五霞町老朽空家解体費補助金交付要綱」に基づき、老朽化した空き家の解体費用の一部を補助する制度を設けています。補助額は、解体・仮設工事・廃材の運搬及び処分・整地(舗装費用を除く)に要した経費の合計額の3分の1、または30万円のいずれか低い方の額です。制度の詳しい適用条件や申請の流れは、当サイトの別記事「五霞町の空き家解体補助金|1/3・上限30万円の条件と申請【2026年度】」で一次情報をもとに解説していますので、あわせてご確認ください。

また、空き家そのものの活用を考える場合は、五霞町が実施する「空き家バンク制度」も選択肢になります。売却・賃貸を希望する所有者が登録した空き家情報を、町への定住を希望する方に提供する仕組みで、物件の売買・賃貸借交渉は町と協定を結んだ公益社団法人茨城県宅地建物取引業協会の推薦を受けた事業者が担当します(五霞町公式ホームページ「空き家バンク制度」)。解体だけでなく「貸す・売る」という選択肢もあわせて検討することで、後悔のない判断がしやすくなります。

解体費用の目安を知りたい方へ

「うちの実家は解体と活用、どちらが得なのか」を判断する第一歩として、まずは解体費用の相場感をつかんでおくことをおすすめします。木造・鉄骨・RCといった構造や延床面積によって費用は大きく変わるため、当サイトの別記事「五霞町 解体で後悔しない!費用相場と業者選びの全ポイント2026」もあわせてご覧ください。

近隣の境町・境町周辺エリアでも同様の課題が広がっています。関連情報は「境町に空き家の解体補助金はある?答えと代替制度【2026】」でも取り上げていますので、あわせてご参照ください。

五霞町の暮らしを支える生活基盤

五霞町の市町村道舗装率は81.73%(令和6年3月31日現在)、水道普及率は99.3%(令和6年3月31日現在)、汚水処理人口普及率は99.6%(令和7年3月31日現在)と、いずれも高い水準を維持しています(茨城県道路維持課「茨城県道路現況調書」、茨城県水政課「茨城県の水道」、茨城県下水道課「汚水処理人口普及率」)。生活インフラが整っていることは、空き家を活用・売却する際の大きなアピールポイントにもなります。買い手・借り手からすれば、上下水道や道路状況が整った町のほうが安心して住み替えを検討できるためです。

一方で、財政力指数は0.79(令和6年度、茨城県市町村課「市町村決算の概要」)と、周辺の町村と比べても比較的健全な水準にあります。工業団地からの税収が下支えとなっている面もあり、今後の空き家対策・移住定住施策の財源としても一定の余力があるとみられます。

近隣自治体との違いを知っておく

五霞町は境町・古河市・坂東市といった県西エリアの自治体と隣接していますが、それぞれ空き家対策の設計は微妙に異なります。例えば境町は解体そのものへの直接補助が無く代替制度での対応が中心である一方、五霞町は老朽空家解体費補助金という形で解体費用そのものを直接補助する制度を持っています。同じ県西エリアでも「解体を後押しする町」と「活用を優先する町」という制度設計の違いがあるため、実家がどちらの自治体にあるかによって取るべき戦略も変わってきます。

また、五霞町は町域が小さいぶん、役場までの距離が近く相談のハードルが低いというメリットもあります。空き家の管理や解体を検討する際は、まず町の生活安全課くらし環境グループへの相談から始めることをおすすめします。制度の詳細や最新の申請条件は年度によって変わる可能性があるため、着工前に必ず公式情報で確認してください。

よくある質問

Q. 五霞町の空き家解体補助金はいくらまで使えますか?

A. 解体・仮設工事・廃材処分・整地(舗装費用を除く)にかかった経費の合計額の3分の1、または30万円のいずれか低い方の額が補助されます。事前申請が原則のため、着工前に町の担当窓口へご相談ください。

Q. 五霞町の人口はどのくらいのペースで減っていますか?

A. 国勢調査によると平成7年の10,312人をピークに減少が続き、令和2年は8,093人でした。令和8年4月の推計人口は7,444人です。ピーク比で2割以上の減少ですが、圏央道関連の雇用創出により近年は減少ペースが緩やかになっている可能性があります。

Q. 五霞町の空き家を解体せずに活用する方法はありますか?

A. 町が運営する「空き家バンク制度」に登録し、売却・賃貸という形で第三者に引き継ぐ方法があります。物件の状態によっては解体より活用のほうが総コストを抑えられる場合もあるため、両方を比較検討することをおすすめします。

Q. 五霞町はなぜ人口密度が高いのですか?

A. 面積が23.11平方キロメートルと県内でも小さいクラスの町域に、明治期に合併した11の旧村の集落がまとまって存在しているためです。江戸期からの農村集落が密集している構造が、現在の人口密度322.1人/平方キロメートルにつながっています。

Q. 空き家を放置するとどんなリスクがありますか?

A. 「特定空家等」に指定されると固定資産税の住宅用地特例が解除され税負担が増えるほか、行政指導や命令の対象になる可能性があります。集落が密集した五霞町では、劣化した空き家が隣接住宅に及ぼす影響(飛散・越境・景観悪化)も無視できません。

Q. 五霞町の空き家解体は地元業者と全国チェーンのどちらに頼むべきですか?

A. 補助金申請の手続きに慣れているか、近隣への挨拶や重機搬入経路など集落特有の事情に精通しているかが判断材料になります。地域密着で対応してきた実績のある業者に、まずは無料見積りで比較してみることをおすすめします。

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