実家を相続した、親が施設に入って自宅が空いた——龍ケ崎市内でそうした空き家を抱えたとき、多くの方が最初に思いつくのは「解体して更地にする」という選択です。しかし龍ケ崎市には、空き家を壊さずに次の住み手へつなぐ「空家バンク制度」という仕組みもあります。空家バンクには家財処分費や改修工事費、さらに建替えを後押しする補助金まで用意されており、2026年8月には新しい補助金の受付も始まりました。この記事では龍ケ崎市の空家バンク制度の使い方と、解体という選択との違いを一次情報にもとづいて整理します。

龍ケ崎市空家バンク制度とは
龍ケ崎市空家バンク制度は、市内の空き家・空き地を「売りたい」「貸したい」という所有者の意向と、「買いたい」「借りたい」という利用希望者の意向を組み合わせる制度です。媒介は市が直接行うのではなく、(公社)茨城県宅地建物取引業協会に依頼する形で進められます。子と同居することになって自宅が空いた、空き家を相続したが持て余している、宅地はあるが家を建てる予定がない——といったケースが市の公式ページでも相談例として挙げられています。
登録できる空家・空地の条件
登録できる空家は「居住を目的として建築され、個人が所有している市内の建物で、現に居住していない、または近く居住しなくなる予定の建物とその敷地」です。集合住宅や賃貸目的で建築された建物は対象外です。空地についても「居住目的の建物を建築できる、個人所有の市内の土地で現に使用していないか近く使用しなくなる予定の土地」に限られ、分譲目的の土地は登録できません。
登録できる方・交渉申込できる方の条件
物件を登録できるのは、空家等の所有権または売却・賃貸を行う権利を持つ方です(反社会的勢力を除く)。一方、購入・賃借を希望して交渉申込ができるのは「空家等に居住し、または定期的に滞在して地域住民と協調して生活しようとする方」とされています。
空家バンク登録から契約までの流れ
空家バンクを使うには、まず市への登録・申込みが必要です。手続きは「空家バンク制度の手引き」を確認したうえで進めます。
所有者側(売りたい・貸したい)の手続き
物件を登録する所有者は、空家バンク制度空家等登録申込書、空家等登録カード(空家または空地)、同意書、申立書を龍ケ崎市役所まちの魅力創造課の窓口へ提出、または郵送します。
利用希望者側(買いたい・借りたい)の手続き
購入・賃借を希望する方は、空家バンク制度物件交渉申込書と誓約書を窓口・郵送のほか、専用のオンラインフォームからも提出できます。登録者と交渉申込者の間で条件が合えば、交渉・契約に進みます。
空家バンクを使うともらえる3つの補助金
龍ケ崎市空家バンク制度に登録した物件が売買・賃貸されると、費用の一部を補助する3つの制度が用意されています。いずれも予算の範囲内での交付です。
家財処分費補助金|上限10万円
物件を登録した所有者(登録者)が対象で、家財処分費の2分の1・上限10万円が補助されます。産業廃棄物は対象外です。
改修工事費補助金|上限50万円
登録物件を購入・賃借した方(交渉申込者)が対象で、改修工事費の2分の1・上限50万円が補助されます。登録物件の耐久性や機能の維持・向上を目的とした工事が対象です。
空家建替促進補助金|2026年8月3日受付開始・上限50万円
2026年8月3日に受付が始まった新しい補助金で、登録物件を購入した方が対象です。除却工事費の2分の1・上限50万円が補助されますが、購入した登録物件を解体したうえで跡地に自ら居住する戸建て住宅を新築することが条件になっています。「バンクで買って、古い建物は壊して建て替える」という使い方にも補助が付く制度です。

補助金を受けるための主な要件
3つの補助金に共通する要件
登録者と交渉申込者の間で売買(または賃貸借)契約が成立していること、市税等(市民税・固定資産税・都市計画税・軽自動車税・国民健康保険税・介護保険料・下水道使用料)を滞納していないこと、暴力団等の反社会的勢力に関係しないこと、交付申請を行った年度内に着手・完了することなどが共通の条件です。過去に同じ要綱の補助金を受けたことがある方は対象外になります。
家財処分費・改修工事費補助金だけの要件
契約締結から1年以内であること、昭和56年6月1日以降に建築確認を受けた住宅、または耐震基準適合証明書等で耐震性が確認できる住宅であることが必要です。改修工事費補助金はさらに、登録物件に住所を移して10年以上居住する見込みがあること、市内に本店・支店・営業所を持つ業者が工事を請け負うことも条件になります。
建替促進補助金だけの要件
契約締結から1年以内、昭和56年5月31日以前に建築された住宅であること、市街化区域内にあること、購入した登録物件を除却後に自ら居住する戸建て住宅を新築し10年以上居住する見込みがあることが条件です。
解体という選択肢|老朽空家等解体費等補助金
空家バンクに登録せず、最初から解体を選ぶ場合に使えるのが「龍ケ崎市老朽空家等解体費等補助金」です。空家バンクの補助金とは別の制度で、対象となる条件はより限定的です。条件や申請の順番については龍ケ崎市の解体補助金|上限50万円の条件と申請の順番でも詳しく解説しています。
補助対象となる空家等の条件
市から空家等の適切な管理を求められた際にその求めに応じた実績があること、「特定空家等」に認定され助言・指導を受けたものの勧告は受けていないこと、個人が所有するもの、抵当権など所有権以外の権利が設定されていないもの、公共事業の対象となっていないもの、解体工事等で他の補助金の交付を受けていないもの——という6つの条件をすべて満たす必要があります。
補助金額は経費の2分の1・上限50万円
補助対象経費(解体・仮設工事費・廃材の運搬処分・整地費用等)の合計額の2分の1、上限50万円が交付されます。対象は個人のみで法人は対象外、工事着手前に必ず交付申請を行う必要があります。解体費用そのものの目安は龍ケ崎市の解体費用相場|坪単価と業者選び5つの要点を参考にしてください。
空家バンクと解体、どちらを選ぶべきか
バンク登録が向いているケース
建物の状態がまだ使える範囲で、「特定空家等」の勧告を受けるほど老朽化していない場合は、空家バンクへの登録を検討する価値があります。改修工事費補助金(上限50万円)を使って買い手側が手を入れれば、解体費用をかけずに物件を活かせる可能性があります。
解体を優先したほうがよいケース
老朽化が進み、「特定空家等」に認定されて助言・指導を受けている場合や、そもそも買い手・借り手がつきにくい立地・構造の場合は、空家バンクでの成約を待つよりも解体費等補助金(上限50万円)を使って更地にし、建替促進補助金の活用や更地としての売却を検討したほうが早いケースもあります。
龍ケ崎市の空き家をめぐる背景
人口動態や地域ごとの空き家事情の詳細は龍ケ崎市の空き家の現状とまちの変化、建て替え事情については龍ケ崎市の古い家が多いエリアと建て替え事情でも解説しています。
人口73,963人・世帯36,551(令和8年7月1日現在)
龍ケ崎市の住民基本台帳人口は73,963人・世帯数36,551(令和8年7月1日現在、市公式ホームページ)。人口のピークは2010年国勢調査の80,334人で、竜ヶ崎ニュータウンへの入居が進んだ時期にあたります。
2026年、市内初の行政代執行
2026年6月19日から7月1日にかけて、龍ケ崎市は市内砂町の老朽空き家について、市にとって初めての行政代執行による解体を実施しました(市公式発表)。1963年築の木造平屋(27.27平方メートル)で、登記上の所有者は1983年に死亡しており、平成26年の実態把握以降、段階的な措置を経て代執行に至ったとされています。解体費用は市が一旦負担し、所有者(相続人)へ請求される仕組みです。空き家を放置した場合の最終的なリスクを示す事例といえます。
手続きの相談先
空家バンク制度・各種補助金についての相談・申請窓口は、龍ケ崎市役所総合政策部まちの魅力創造課です(電話0297-64-1111)。申請前には事前協議が必要なため、まず窓口に相談することが推奨されています。
龍ケ崎市でよくある質問
Q. 空家バンクに登録すれば必ず売却・賃貸できますか?
登録は成約を保証するものではありません。(公社)茨城県宅地建物取引業協会の媒介により交渉申込者を探す仕組みのため、立地や建物の状態によって成約までの期間は変わります。
Q. 改修工事費補助金は空家バンクに登録していない物件でも使えますか?
いいえ。改修工事費補助金は龍ケ崎市空家バンク制度に登録された物件を購入・賃借した方が対象です。バンクへの登録・交渉申込みが前提になります。
Q. 老朽空家等解体費等補助金と空家バンクの補助金は同時に使えますか?
老朽空家等解体費等補助金は「解体工事等に伴い他の補助金等の交付を受けていないもの」が対象条件のひとつです。空家バンク側の補助金との併用については、事前に市のまちの魅力創造課へ確認することをおすすめします。
Q. 空家建替促進補助金は誰でも使えますか?
登録物件を購入し、除却後に跡地へ自ら居住する戸建て住宅を新築して10年以上居住する見込みがある方が対象です。市街化区域内であること、昭和56年5月31日以前に建築された住宅であることなどの条件もあります。
Q. 空家バンクに登録した家が老朽化していて活用が難しいとわかったらどうすればいいですか?
登録後に「特定空家等」の状態に近いと判明した場合は、解体という選択肢に切り替えることもできます。老朽空家等解体費等補助金の対象条件(特定空家等の認定・個人所有など)を確認し、まちの魅力創造課に相談するとよいでしょう。
Q. 空家バンクの登録・交渉申込に費用はかかりますか?
市への登録・交渉申込自体に市が求める手数料は明記されていません。ただし媒介を担う(公社)茨城県宅地建物取引業協会側の取引に関する費用については別途確認が必要です。
まとめ|龍ケ崎市の空き家は「バンク」と「解体」を比べてから決める
龍ケ崎市の空き家対策には、空家バンクを使って建物を活かす道と、老朽空家等解体費等補助金を使って更地にする道の両方があります。2026年8月には空家建替促進補助金という新しい制度も始まり、「バンクで買って建て替える」という第三の選択肢も広がりました。建物の状態や今後の使い方によって最適な道は変わるため、まずは龍ケ崎市役所まちの魅力創造課への相談から始めることをおすすめします。
龍ケ崎市の空き家・解体のご相談は解体Do!へ
「バンク登録が向いているのか、解体すべきか自分では判断できない」という場合は、地域密着で解体工事を専門に行う解体Do!にもお気軽にご相談ください。現地を見たうえで、老朽度や立地に応じた選択肢をご提案します。
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