「実家のある鹿嶋市、最近シャッターが増えた気がする」「アントラーズの街なのに、空き家の話ってあまり聞かない」——そう感じたことはありませんか。鹿嶋市は鹿島神宮の門前町として、また鹿島臨海工業地帯の企業城下町として発展してきた、少し変わった成り立ちを持つ街です。この記事では、鹿嶋市の人口・世帯の推移から、合併の歴史が生んだ地区ごとの空き家事情の違い、そして今後の選択肢までを、一次情報にもとづいて整理しました。

鹿嶋市の空き家、まず何から知ればいい?

結論からお伝えすると、鹿嶋市の空き家問題は「全市一律」では語れません。1995年の合併でできた市であること、工業地帯を抱えていること、鹿島神宮という観光資源があることが絡み合い、地区によって空き家の増え方も背景もかなり違います。まずは市全体の数字から見ていきましょう。

鹿嶋市の人口と世帯数【2026年最新】

鹿嶋市公式ホームページ「人口と世帯一覧(令和8年)」によると、鹿嶋市の常住人口は次のように推移しています(いずれも各月1日現在)。

  • 令和8年1月1日:63,727人/28,961世帯(男性32,592人・女性31,135人)
  • 令和8年4月1日:63,396人/28,996世帯(男性32,396人・女性31,000人)
  • 令和8年7月1日:63,285人/29,121世帯(男性32,350人・女性30,935人)

半年で人口は400人ほど減っていますが、世帯数はほぼ横ばい、むしろ7月時点ではやや増えています。これは「一人あたりの世帯人数が小さくなっている」典型的なパターンで、単身世帯・高齢者のみの世帯が増えていることを示唆します。世帯が小さくなるほど、将来的に住む人がいなくなった住宅=空き家予備軍が増えやすくなる、という一般的な傾向を踏まえておく必要があります。また、一貫して男性がやや多いのも鹿嶋市の特徴で、鹿島臨海工業地帯の勤労者世帯が多いことと無関係ではないと考えられます。なお、年齢別の詳細な人口構成や高齢化率については、本記事執筆時点で市公式ページから確定値を一次確認できなかったため、数値の記載は控えます。

鹿嶋市 人口と世帯数の推移 令和8年
鹿嶋市の人口・世帯数の推移(令和8年、市公式データより作成)

合併の歴史が空き家の「地区差」を生んでいる

1995年、鹿島町と大野村が一つの市になった

鹿嶋市は1995年(平成7年)9月1日、鹿島郡鹿島町が同郡大野村を編入したうえで市制を施行し、誕生しました。つまり鹿嶋市はもともと「鹿島神宮を中心とした鹿島地区」と「太平洋沿岸の大野地区」という、成り立ちの異なる2つのエリアが一体化してできた市です(出典:鹿嶋市公式サイト「かしまの歴史」ほか)。

鹿島地区:神宮の門前町と昭和期の住宅地

鹿島神宮周辺は古くからの門前町・中心市街地で、昭和期に建てられた住宅や店舗併用住宅が多く残っています。世代交代のタイミングで空き家化しやすいのは、こうした古くからの住宅街に共通する傾向です。

大野地区:工業地帯の拡大とともに広がった住宅地

一方、大野地区は鹿島臨海工業地帯の造成とともに人口を伸ばしてきたエリアです。工場関連の社宅や、比較的新しい世代の住宅地が多く、鹿島地区とは空き家の出方が異なると考えられます。ただし、こちらも工業地帯の稼働状況や社宅の入退去動向によって、局所的に空室・空き家が発生する可能性があります。

鹿島臨海工業地帯という、鹿嶋市ならではの事情

約180社・2万2千人規模の工業地帯

鹿島臨海工業地帯は鹿嶋市と神栖市にまたがる工業地帯で、鉄鋼業・発電所・石油化学関連など約180の企業、従業員約2万2千人を擁するとされています(出典:Wikipedia「鹿島臨海工業地帯」など公開情報)。この工業地帯の存在は、鹿嶋市の住宅需要・人口動態を語るうえで欠かせない要素です。

企業城下町の住宅は「持ち家」と「借家」が混在しやすい

工業都市では、企業の社宅・借上げ住宅と、地元住民の持ち家が混在するのが一般的です。持ち家であれば、所有者の高齢化や転居後に空き家として残りやすく、借家であれば需給の変化に応じて空室になりやすいという、それぞれ異なる特性があります。鹿嶋市の空き家対策を考える際は、この「持ち家由来」と「借家由来」の違いを意識することが大切です。

鹿島神宮・アントラーズという「顔」を持つ街

鹿島神宮の門前町エリア

鹿島神宮は全国有数の古社で、年間を通じて多くの参拝客が訪れます。門前町エリアは観光資源であると同時に、古い建物が集積するエリアでもあり、空き家の利活用(店舗・宿泊施設等への転用)を検討する余地がある地域といえます。

鹿島アントラーズと1991年のクラブ発足

鹿島アントラーズは1991年2月、住友金属サッカー部を母体に、鹿島町(現鹿嶋市)や神栖町(現神栖市)などをホームタウンとしてJリーグ参加クラブに選ばれました(出典:鹿島アントラーズ公式サイト「クラブ概要」ほか)。スタジアム周辺の賑わいは市のブランドイメージを支える一方、試合開催日以外の平時の人の動きとは別の話であり、空き家問題への直接的な効果を過大評価すべきではありません。

鹿嶋市の空き家対策、市はどう動いているか

第二期鹿嶋市空家等対策計画

鹿嶋市は平成29年3月に第一期の空家等対策計画を策定し、その後、令和5年12月13日施行の改正空家等対策の推進に関する特別措置法を踏まえて「第二期鹿嶋市空家等対策計画」を策定しています(出典:鹿嶋市公式サイト「第二期鹿嶋市空家等対策計画を策定しました」)。市としては「当事者間での解決を原則」としつつ、解体補助金などの支援策を用意する、という基本姿勢です。

空家等とは何か(法律上の定義)

鹿嶋市公式サイトでは、空家等を「建築物またはこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態(おおむね1年以上)であるもの及びその敷地」と定義しています。「1年以上使われていない」が一つの目安になる点は、覚えておくとよいでしょう。

空家バンク制度

鹿嶋市は空き家の有効活用を目的に「空家バンク制度」を運用しています。市内に活用されていない空き家を「売りたい・貸したい」所有者と、「買いたい・借りたい」利用希望者をつなぐ仕組みで、専用サイト(茨城県鹿嶋市空き家バンクサイト)でも物件情報が公開されています(出典:鹿嶋市公式サイト)。

既存ストック利活用補助金(令和8年度)の概要

市では「令和8年度既存ストック利活用補助金制度」として、不良住宅・特定空家の解体費用(補助率5分の4・上限50万円)や、市外から鹿嶋市空家バンクの中古住宅を購入して移住する場合の改修費用(補助率3分の2・上限50万円)を補助する制度を設けています。申請期間は令和8年4月1日〜12月25日で、予算に達し次第受付終了となります(出典:鹿嶋市公式サイト「空家の解体・中古住宅のリフォームをされる方に補助金を交付します」)。この補助金の詳しい申請条件や手順は、鹿嶋市の空き家解体補助金の記事で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。

民間連携:クラッソーネとの解体費用シミュレーター

鹿嶋市は株式会社クラッソーネと「空家等の売却促進に係る連携協定」を締結しており、市公式サイトから「鹿嶋市版AIによる解体費用シミュレーター」を利用できます。傾斜地や重機搬入が困難な立地、べた基礎・茅葺き・アスベスト除去が必要な物件などは、シミュレーターの概算より費用が高くなる場合がある点に注意が必要です(出典:同上)。

近隣の空家等にお困りの方への窓口

近隣の空き家について困りごとがある場合、鹿嶋市は専用の相談窓口・パンフレットを用意しているほか、外部フォームでの問い合わせ受付も行っています。管理不全な空き家に気づいた場合は、自己判断で手を出さず、まず市の窓口に相談するのが基本です。

鹿嶋市 空き家対策制度早見表
鹿嶋市の空き家対策 制度早見表(市公式サイトをもとに作成)

地価から見る鹿嶋市の今

地価情報サイトtochidai.infoの集計によると、鹿嶋市の2026年(令和8年)公示地価は平均21,603円/平方メートル(坪あたり約71,400円)で、前年比+0.9%とされています。一方、住宅地に限ると平均6.7万円/坪前後で前年比-0.3%というデータもあり、用途・エリアによって明暗が分かれている点がうかがえます。市内でも鹿島神宮駅周辺エリアは2026年地価が平均26,116円/平方メートル前後・前年比+1.36%とされ、相対的に堅調な動きを見せています(出典:tochidai.info、出典・調査地点によって数値に幅があるため、いずれも目安としてご覧ください)。

空き家を放置するとどうなるか

「不良住宅」「特定空家」に認定されるリスク

鹿嶋市の基準では、構造や設備が著しく不良な住宅は「不良住宅」、倒壊の危険や衛生上の問題、景観の阻害などがある空き家は「特定空家」として認定される可能性があります。認定を受けると、固定資産税の住宅用地特例が解除されるなど、所有者にとって不利益が生じる場合があります。

相続登記が済んでいない空き家は要注意

既存ストック利活用補助金の申請要件には「相続登記が済んでいない場合は相続人等の同意を得ていること」という条件があります。相続登記の義務化(2024年4月1日施行)も踏まえると、名義変更を後回しにしている実家は、早めに手続きを進めておくことが結果的に選択肢を広げます。

鹿嶋市で空き家・古い家をどうするか、考え方の整理

選択肢は「活用」「売却」「解体」の3つ

空き家バンクに登録して活用・売却を目指す、そのまま売却する、老朽化が進んでいて活用が難しい場合は解体して更地にする——鹿嶋市の空き家対策の枠組みも、基本的にはこの3方向のいずれかを後押しする制度設計になっています。

鹿島地区と大野地区で判断基準は変わる

神宮周辺の門前町エリアであれば観光・店舗利用としての活用余地、大野地区の工業地帯周辺であれば居住用としての賃貸・売却需要など、地区の特性に応じて現実的な選択肢は変わってきます。一律の正解があるわけではなく、立地・建物の状態・家族の事情を踏まえて検討することが欠かせません。

迷ったら早めに相談を

解体すべきか、活用できる余地があるかの判断は、素人目には難しいものです。当サイト「解体Do!」では、鹿嶋市の解体費用相場や、既存ストック利活用補助金の詳しい申請条件についても記事で解説しています。まずは無料の見積り相談から、状況を整理してみることをおすすめします。

まとめ

鹿嶋市は1995年の鹿島町・大野村合併という成り立ちから、鹿島神宮の門前町エリアと鹿島臨海工業地帯周辺エリアという、性格の異なる2つの顔を持つ街です。常住人口は6万3千人台でゆるやかな減少局面にある一方、世帯数はほぼ横ばいという「世帯の小規模化」が進んでいます。市は第二期空家等対策計画のもと、空家バンクや既存ストック利活用補助金(解体費用5分の4・上限50万円)などの制度を用意していますが、地区ごとの事情を踏まえた判断が欠かせません。実家や所有する空き家の今後に迷ったら、制度の詳細や費用の目安を確認したうえで、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

よくある質問(FAQ)

Q1. 鹿嶋市の空き家解体補助金はいくらもらえますか?

A. 令和8年度の既存ストック利活用補助金では、不良住宅・特定空家の解体費用の5分の4(上限50万円)が補助されます。詳しい条件は当サイトの鹿嶋市解体補助金記事をご確認ください。

Q2. 鹿嶋市の空き家率はどのくらいですか?

A. 本記事執筆時点で、鹿嶋市単体の空き家率を示す確度の高い一次情報を確認できませんでした。誤った数値を掲載することは避け、市公式の最新情報が公開され次第、確認のうえ反映します。

Q3. 鹿嶋市の空家バンクはどう使えばいいですか?

A. 空き家を「売りたい・貸したい」所有者が物件を登録し、「買いたい・借りたい」希望者に情報提供する制度です。専用サイトから物件情報を閲覧・登録できます。

Q4. 空き家を放置するとどんなリスクがありますか?

A. 「不良住宅」や「特定空家」に認定されると、固定資産税の特例が解除される場合があるほか、倒壊・衛生・景観面での問題が近隣に及ぶリスクがあります。早めの対応が推奨されます。

Q5. 相続した実家の名義変更をしていません。補助金は使えますか?

A. 既存ストック利活用補助金は、相続登記が済んでいない場合でも相続人等の同意があれば申請できるとされています。ただし個別の状況によるため、市の窓口や専門家への確認をおすすめします。

Q6. 鹿島臨海工業地帯があることは空き家問題にどう関係しますか?

A. 工業地帯周辺は社宅・借家の需給変動、神宮周辺の門前町は持ち家の世代交代というように、エリアによって空き家の発生要因が異なります。一律の対策ではなく、立地に応じた判断が必要です。