「潮来の実家、旧潮来と旧牛堀のどちらに近いかで建て替えのしやすさが違うって本当?」——潮来市で古い家の建て替えや解体を考えるとき、避けて通れないのが「市街化区域」と「市街化調整区域」という都市計画上の線引きです。潮来市は市域の約9割が市街化調整区域という、茨城県内でも独特な土地利用構造を持つまちです。このページでは、潮来市公式ホームページの一次情報をもとに、古い家が多いエリアの特徴と、建て替え・解体を検討する際に知っておきたい制度を整理します。
潮来市の都市計画の全体像
潮来市で「建て替えやすいか」を考えるとき、まず押さえておきたいのが都市計画区域の指定状況です。潮来市公式ホームページ「潮来都市計画の概要について」によれば、潮来市では行政区域全域7,141haが潮来都市計画区域として指定されています。
市街化区域はわずか10.47%
潮来市は無秩序な市街化を防止し、効率的な公共投資を行うため、都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域に区分する、いわゆる「線引き」を行っています。潮来市公式ホームページの指定状況によれば、市街化区域面積は748ha(全体の10.47%)、市街化調整区域面積は6,393ha(全体の89.53%)です。つまり、市域の9割近くが「原則として新たな開発が禁止される」市街化調整区域であり、これは古い家の建て替えを考えるうえで最も重要な前提になります。
旧潮来町と旧牛堀町、別々に線引きされた歴史
潮来市公式ホームページの都市計画決定・変更の経緯を見ると、市街化区域・調整区域の線引きは、現在の潮来市が誕生する前の旧潮来町・旧牛堀町それぞれの都市計画として始まっています。昭和48年12月28日に旧潮来町(旧潮来都市計画)で市街化区域626ha・調整区域4,330haが指定され、昭和50年8月5日には旧牛堀町(旧牛堀都市計画)で市街化区域120ha・調整区域1,759haが指定されました。平成16年5月17日の2町合併で潮来市としての区域区分に統合され、平成21年3月10日には国土地理院調査による行政区域面積の確定(総務省告示第120号)で霞ヶ浦・北浦・鰐川の水面境界が確定し、現在の748ha・6,393haという数値になっています。旧潮来町エリアと旧牛堀町エリアで、それぞれ別の都市計画として発展してきた歴史が、現在の地区ごとの街並みの違いにもつながっています。
用途地域は市街化区域の中でも一部に限定
潮来市公式ホームページによれば、用途地域は12種類のうち潮来市では11種類が指定されており、第1種低層住居専用地域が178ha(市街化区域の23.8%)、第1種住居地域が174ha(23.3%)などとなっています(平成24年3月31日現在)。用途地域が指定されるのは市街化区域内に限られるため、市域全体で見ればごく一部のエリアにとどまります。また、あやめ地区の一部4.8haには準防火地域も指定されています。

市街化調整区域での建て替えは原則制限される
市街化調整区域は「市街化を抑制する区域」として位置づけられており、潮来市公式ホームページによれば、原則として用途地域を定めず、一部を除いて新たな開発は禁止され、道路・公園・下水道等の都市施設の整備も原則行わないとされています。つまり、市街化調整区域にある古い家を建て替えようとする場合、市街化区域内の土地のように自由に建築できるわけではなく、都市計画法に基づく開発許可(または建築許可)が必要になるのが原則です。
都市計画法に基づく開発許可制度
潮来市公式ホームページ「都市計画法に基づく開発許可制度について」では、市街化調整区域では、開発許可を受けた区域外において建築物を建築したり、改築したり、用途の変更を行う場合も、市長の許可を受けなければならないと説明されています。既存の古い家をそのまま同じ用途・同じ規模で建て替える場合でも、この許可の枠組みを確認しておく必要があります。
市街化調整区域でも建てられる「区域指定制度」
潮来市の古い家が多いエリアを考えるうえで欠かせないのが、平成19年12月13日に茨城県知事より指定告示を受けた「区域指定制度」です。潮来市公式ホームページ「区域指定制度」によれば、区域指定は市街化調整区域内における新しい開発許可制度で、あらかじめ一定の条件を備えている区域を指定することで、その区域内(区域指定地内)であれば、集落の出身要件等を問うことなく、誰でも住宅など一定の用途の建築物を建築できる仕組みです。
区域指定地内での建築制限
指定区域内で建築できる建築物の用途は、建築基準法第48条第2項に規定する第2種低層住居専用地域に建築できる建築物(自己用住宅、共同住宅、店舗兼用住宅、日用品販売店など)です。最低敷地面積は300平方メートル以上、建ぺい率は60%以下、容積率は200%以下、高さ制限は原則10メートル以下と定められています。なお、開発行為の許可申請は従来どおり必要です。
指定されている11の集落
潮来市公式ホームページの区域指定一覧によれば、指定区域は上戸・島須地区、上戸地区、新宮地区、小泉・小泉南・曲松・新宮南・延方西地区、大洲地区、堀之内地区、大生・釜谷地区、築地・大生地区、辻・島須地区、水原地区、徳島地区の11集落です。それぞれ第1種〜第6種の集落区分に分類されています。なお、大生・釜谷地区については、土砂災害警戒区域という災害リスクの高いエリアが存在しているため、令和6年10月11日付けで区域が変更されています。実家がこれらの集落に該当するかどうかは、建て替えの可否や条件を左右する重要なポイントになるため、潮来市役所都市建設課で図面を確認することをおすすめします。

潮来市で古い家が多いとされるエリアの特徴
潮来市の地区特徴については、当サイトの別記事「潮来市の空き家の現状とまちの変化【2026年】」で人口動態や地区別の空き家傾向を紹介していますが、ここでは「建て替え」という視点から、都市計画上の制約と地区の関係を整理します。
潮来・大生原・津知・延方(旧潮来町エリア)
もともとの潮来地区・大生原・津知・延方といった旧潮来町エリアは、市街化区域が比較的まとまって指定されている中心部です。前川あやめ園周辺の観光の核となるエリアも含まれ、昭和期に建てられた住宅や店舗併用住宅が多く残っています。用途地域が指定されているため、建て替え自体は市街化調整区域に比べると進めやすい一方、あやめ地区の一部は準防火地域の指定があるため、建て替え時の構造・仕様に一定の制約が生じる点に注意が必要です。
牛堀地区(旧牛堀町エリア)
2001年に潮来市へ編入された旧牛堀町エリアです。霞ヶ浦沿いに位置し、水郷筑波国定公園に含まれる景観の良さが特徴で、かつては霞ヶ浦の水運・漁業の拠点のひとつでもありました。旧牛堀町として独自に線引きされてきた経緯があり、市街化区域と調整区域の境界は潮来地区とは別の告示年月日で決まっています。中心部から少し離れた集落には、区域指定制度の対象エリアも含まれています。
市街化調整区域内の集落(区域指定地・区域指定外)
潮来市の市域の9割近くを占める市街化調整区域には、区域指定を受けている11集落(上戸・新宮・小泉・大洲・堀之内・大生・釜谷・築地・辻・水原・徳島など)と、区域指定を受けていないその他の集落が混在しています。区域指定地であれば出身要件を問わず住宅の建築が可能ですが、区域指定を受けていない集落では、都市計画法に基づく個別の開発許可基準に沿った審査が必要になります。実家がどちらに該当するかで、建て替えの進めやすさが大きく変わってきます。
耐震改修と「耐震建替え工事」という選択肢
潮来市には、当サイトの別記事「潮来市の空き家解体補助金は無い|代わりに使える制度と順番」で解説しているとおり、建物の解体そのものを直接補助する制度は2026年時点でありません。一方で、耐震性の向上を目的とした補助制度の中に、建て替えにも使える枠組みが用意されています。
潮来市戸建て木造住宅耐震改修工事等補助金
潮来市公式ホームページ「潮来市戸建て木造住宅耐震改修工事等補助金交付要綱」(令和3年5月14日告示第78号)によれば、この制度は戸建て木造住宅の耐震改修設計・耐震改修工事に加えて「耐震建替え工事」も対象にしています。要綱第2条第7号では、耐震建替え工事を「原則として同一敷地内で、戸建て木造住宅1棟全てを解体し、住宅を新築するための工事」と定義しており、単なる耐震補強だけでなく、古い家を解体して新築する建て替えそのものが補助対象に含まれている点が特徴です。
補助を受けるための主な要件
要綱第4条によれば、補助対象となるのは昭和56年5月31日以前に着工した戸建て木造住宅で、地上階数2以下・延床面積30平方メートル以上・在来軸組工法または枠組壁工法で建築されたものです。さらに、耐震診断の結果、上部構造評点が1.0未満であること、耐震改修工事等により上部構造評点が0.3以上増加し、かつ増加後の評点が1.0以上となることが条件です。設計は茨城県木造住宅耐震診断士等が行い、施工は建設業法上の建設業者に請け負わせる必要があります。
補助金の額と回数の制限
要綱第6条によれば、補助金の額は補助対象経費(消費税を除く)に5分の4を乗じて得た額とし、戸建て木造住宅1戸当たり115万円が上限です。補助金の交付は、一の戸建て木造住宅につき1回限りとされています。申請は耐震改修設計の契約を締結する前に行う必要があり、当該年度の1月末日までに工事を完了させることが要件です(潮来市戸建て木造住宅耐震改修工事等補助金交付要綱 第7条・第4条第8号)。旧耐震基準(昭和56年5月31日以前)の古い家を建て替える場合は、解体単独の補助が無くても、この制度が使えるかどうかを検討する価値があります。
建て替え・解体を検討するときの3つの選択肢
潮来の実家の古い家について「どちらに当てはまるか分からない」というときは、次の3つの方向性から検討を始めると整理しやすくなります。
1. 区域指定地・用途地域内であれば建て替えを検討
実家が区域指定地内(11集落のいずれか)または市街化区域の用途地域内にある場合は、建築ルールに沿えば建て替えが可能です。旧耐震基準の建物であれば、前述の耐震建替え工事の補助金(上限115万円)が使える可能性もあります。
2. 区域指定外の調整区域なら開発許可の要件を先に確認
区域指定を受けていない市街化調整区域の集落にある場合、建て替えには都市計画法に基づく開発許可(または建築許可)が必要です。要件を満たさないと建て替え自体が難しいケースもあるため、着手前に潮来市役所都市建設課へ相談し、対象地がどの区分に当たるかを確認することが欠かせません。
3. 空き家バンクや現況売却も選択肢に
建て替えが難しい、または住む予定がない場合は、当サイトの別記事でも紹介している空き家バンク制度への登録や、解体せずに現況のまま売却する方法もあります。建物の状態・立地・相続人の意向によって最適な選択は変わるため、迷ったときは一度専門家に相談することをおすすめします。潮来エリアの物件を多く扱う解体Do!でも、電話・LINEでのご相談を承っています。
近隣の鹿行エリアでは「鹿嶋市の古い家が多いエリアと建て替え事情【2026年】」もあわせてご覧いただけます。
よくある質問
Q1. 潮来市の市街化調整区域では、古い家の建て替えは絶対にできませんか?
A. 絶対にできないわけではありません。区域指定地内(潮来市が指定する11集落)であれば、集落の出身要件等を問わず住宅の建築が可能です。区域指定を受けていない集落でも、都市計画法に基づく開発許可の要件を満たせば建築できる場合があります(潮来市公式ホームページ「区域指定制度」「都市計画法に基づく開発許可制度について」)。
Q2. 区域指定地かどうかはどこで確認できますか?
A. 区域指定制度に関する詳細な図面等は、潮来市役所都市建設課で閲覧できます。対象となる11集落(上戸・島須、上戸、新宮、小泉・小泉南・曲松・新宮南・延方西、大洲、堀之内、大生・釜谷、築地・大生、辻・島須、水原、徳島の各地区)に該当するかどうかは、事前に確認しておくことをおすすめします。
Q3. 潮来市に解体費用そのものへの補助金はありますか?
A. 2026年時点で、潮来市には建物の解体(除却)そのものを直接補助する制度はありません。詳しくは当サイトの別記事「潮来市の空き家解体補助金は無い|代わりに使える制度と順番」で解説しています。
Q4. 解体費用の補助が無くても使える制度はありますか?
A. 旧耐震基準(昭和56年5月31日以前着工)の戸建て木造住宅であれば、「潮来市戸建て木造住宅耐震改修工事等補助金交付要綱」の耐震建替え工事枠(補助対象経費の5分の4・上限115万円)が使える可能性があります。上部構造評点などの技術要件があるため、対象になるかは事前に確認が必要です。
Q5. 用途地域が指定されているエリアはどこですか?
A. 潮来市公式ホームページによれば、用途地域は市街化区域(全体の10.47%)の中に指定されており、第1種低層住居専用地域(178ha)や第1種住居地域(174ha)などが中心部を占めています。市域全体で見ると、用途地域が指定されているのはごく一部にとどまります。
Q6. 旧潮来町と旧牛堀町で建て替えのルールは違いますか?
A. 現在は潮来市として一本化された都市計画区域区分に統合されていますが、線引きの告示年月日は旧潮来町(昭和48年)・旧牛堀町(昭和50年)で異なる沿革を持ちます。現在の区域区分(市街化区域・調整区域、区域指定地かどうか)は地番ごとに確認する必要があるため、旧町の違いだけで判断せず、潮来市役所都市建設課への確認をおすすめします。
まとめ
潮来市は市域の約9割が市街化調整区域という、茨城県内でも独特な土地利用構造を持つまちです。古い家の建て替えを考えるときは、まず実家がある場所が「区域指定地内(11集落)」「市街化区域の用途地域内」「区域指定を受けていない調整区域」のどれに当たるかを確認することが第一歩になります。解体費用そのものへの補助制度は無いものの、旧耐震基準の建物であれば耐震建替え工事の補助金(上限115万円)が使える可能性もあります。建て替え・解体・売却のどれが最適かで迷ったときは、潮来エリアの実情に詳しい専門家に相談してみてください。
無料見積もりフォーム
この記事に関するお見積もり・ご相談はこちらから。秘密厳守で対応いたします。


