稲敷市は、霞ヶ浦と利根川という二つの大きな水辺に抱かれた、茨城県南東部の水郷のまちです。稲敷台地の畑と広大な水田が広がり、江戸崎かぼちゃや浮島レンコンといった特産品を生み出してきました。一方で市内を歩くと、かつて商店街や農家として賑わっていたであろう古い家屋が、住む人のいないまま静かに時間を止めているのを目にすることも増えています。この記事では、茨城県の解体専門サイト「解体Do!」が、稲敷市の人口・世帯の現状、空き家が生まれる背景、そして市が用意している支援制度を、公式情報にもとづいて整理します。

稲敷市はどんなまち?霞ヶ浦と利根川に囲まれた水郷地域

江戸崎・新利根・桜川・東の4地域が合併して誕生

稲敷市は2005年3月22日、江戸崎町・新利根町・桜川村・東町の4つの町村が合併して誕生しました。「稲敷」という名称は、穀倉地帯を連想させるとともに、古くからの郡名として認知度が高いことから選ばれた経緯があります。合併から20年が経ちますが、旧町村ごとの生活圏や地域コミュニティの色合いは今も市内に残っています。

江戸崎かぼちゃや浮島レンコンなど農業が盛んな土地柄

稲敷市を代表する特産品が「江戸崎かぼちゃ」です。関東ローム層でできた稲敷台地で育つこのかぼちゃは、2015年に国の地理的表示保護制度(GI)に登録され、夕張メロンや神戸ビーフと並ぶブランドとして全国に知られています。また霞ヶ浦沿岸の浮島地区は日本有数のレンコン産地で、「浮島レンコン」として東京の市場にも出荷されています。こうした農業を支えてきたのは、広い敷地に母屋と納屋・蔵が並ぶ、昔ながらの農家住宅です。

いなしき夏まつりやチューリップまつりで賑わうまち

毎年8月の「いなしき夏まつり」花火大会や、4月中旬に浮島和田公園で開催される「稲敷チューリップまつり」など、季節ごとのイベントも稲敷市の顔のひとつです。社会人野球クラブ「茨城ゴールデンゴールズ」の本拠地が桜川運動公園野球場にあることも、地元ではよく知られています。

稲敷市の人口・世帯の現状(最新データ)

令和8年8月1日現在の人口と世帯数

稲敷市公式ホームページによると、令和8年8月1日現在の世帯数は16,506世帯、人口は35,861人(男性18,241人、女性17,620人)です。1世帯あたりの人数を単純に計算すると2.17人程度となり、単身・少人数世帯が一定の割合を占めていることがうかがえます。

稲敷市の人口・世帯数(令和8年8月1日現在)

空き家率など未公開の指標は使わない

なお、稲敷市が「空き家率〇%」といった具体的な数値を公式に公表しているデータは、今回の調査時点では確認できませんでした。空き家の実数や比率について断定的な数字を示す一次情報が見当たらないため、本記事では人口・世帯数など裏付けの取れる統計のみを使用しています。

稲敷市で「古い家」が増えている背景

農地とセットになった広い敷地の実家が多い

稲敷市の住宅の多くは、農業を営んできた家庭の敷地に建てられています。母屋・納屋・蔵といった複数の建物がセットになっているケースも珍しくなく、相続した世代が同じように農業を継がない場合、広い敷地全体の管理そのものが重荷になりやすい構造があります。

都市部への通勤圏でありながら空き家が生まれやすい理由

稲敷市は圏央道の整備などで都市部へのアクセスが向上した地域ですが、鉄道駅が市内になく、生活の足は自動車が中心です。子ども世代が進学・就職で市外に出た後、実家に戻らずそのまま定住してしまうケースが多く、親世代が施設に入居したり亡くなったりしたタイミングで、住み手のいない家が残る構図が生まれやすくなっています。

稲敷市の空き家対策の取り組み

稲敷市空き家バンク制度とは

稲敷市は平成28年4月から「空き家バンク制度」を運用しています。市内の空き家所有者が売却・賃貸の意向を登録し、市が移住希望者や住み替えを検討する人に向けて情報を公開する仕組みです。

空き家バンク成約奨励金・リフォーム助成・家財処分助成

空き家バンクを通じて成約に至った場合、所有者等に5万円、購入者または賃借者に最大10万円の成約奨励金が用意されています。また、空き家バンク登録物件のリフォーム工事に対して最大80万円の助成金、残置物の片付けにかかる家財処分費用に対して最大10万円の助成金も設けられています。

稲敷市 空き家に関する支援・制度早見表

2025年8月開始・クラッソーネとの連携協定

稲敷市は2025年8月4日、全国の解体工事会社をネットワークする株式会社クラッソーネと「空き家の適正管理及び除却の促進に関する連携協定」を締結しました。これにより、空き家所有者は市の案内経由で無料の相談窓口やシミュレーターを利用できるようになっています。

空き家相談窓口・シミュレーターツール群

  • 空き家の相談窓口(クラッソーネ直通 0120-304-395、平日9時〜18時)
  • 「稲敷市版 すまいの終活ナビ」(土地査定・解体費用相場のシミュレーション)
  • 「稲敷市版 解体費用シミュレーター」(解体工事の概算相場)
  • 「稲敷市版 固定資産税シミュレーター」(解体後の固定資産税上昇額の試算)
  • 「稲敷市版 空き家の迷惑度診断」(管理不全空家等に該当する可能性の診断)

これらはあくまで概算・目安を示すツールであり、現地調査による正式な見積もりとは差が生じる点に注意が必要です。

稲敷市で使える住宅関連の補助・制度一覧

解体費用そのものへの補助金は無い(2026年時点)

先に整理しておくべき重要な点があります。稲敷市公式ホームページの「住宅/補助・制度」一覧を確認する限り、2026年時点で「住宅・空き家の解体費用そのもの」を補助する制度は稲敷市にはありません。この点は、当サイトの別記事「稲敷市の解体補助金|無い理由と使える制度【2026】」でも詳しく解説しています。

稲敷市危険ブロック塀等撤去補助金

解体費用の補助はない一方、「稲敷市危険ブロック塀等撤去補助金」(上限20万円)は用意されています。空き家の解体にあわせて敷地境界のブロック塀を撤去する場合、この制度の対象になる可能性があります。

耐震診断・耐震改修・住宅リフォーム関連の補助

そのほか、木造住宅耐震診断士派遣事業(無料)、戸建て木造住宅耐震改修補助金交付事業、住宅リフォーム資金補助金交付事業、がけ地崩壊対策事業補助金交付要綱、稲敷市三世代同居リフォーム資金補助制度、稲敷市若年夫婦世帯及び若年子育て世帯住宅取得支援助成制度など、住み続ける・建て替える方向けの補助制度は複数用意されています。空き家を解体して更地にする場合は対象外のものが多いため、活用を検討する際は該当課(まちづくり推進課・建設課など)に事前確認することをおすすめします。

空き家を「解体」するか「活かす」かの判断軸

空き家バンクに向く物件、向かない物件

築年数が比較的新しく、水回りなど大きな改修が不要な物件は空き家バンクでの流通に向いています。一方、老朽化が進み倒壊のおそれがある建物や、接道条件が悪く重機の搬入が難しい物件は、買い手・借り手が見つかりにくく、解体して更地にしたほうが土地としての流動性が高まるケースがあります。

解体して更地にするメリット・デメリット

更地にすることで、倒壊・部材飛散などの管理リスクを下げられる一方、住宅用地特例の対象から外れることで固定資産税の負担が増える可能性があります。稲敷市版の固定資産税シミュレーターで解体前後の税額目安を確認したうえで判断することが重要です。

稲敷市の土地相場の目安(2026年)

複数の不動産データサイトが公表する2026年の稲敷市の公示地価は、平均坪単価3万円台半ば程度が目安とされています。ただし調査主体や集計方法によって数値には幅があるため、正確な金額は個別の土地ごとに査定を受ける必要があります。

建て替え・解体を考えたときに知っておきたい流れ

相談→見積り→解体工事→滅失登記までの基本ステップ

空き家の解体を検討する場合、一般的には(1)複数業者への相談・現地調査、(2)見積り比較、(3)近隣への挨拶、(4)解体工事、(5)法務局への建物滅失登記、という流れになります。稲敷市版のシミュレーターはあくまで初期段階の概算把握として活用し、実際の工事は現地調査を経た正式な見積りで進めることが大切です。稲敷市の解体費用相場については「稲敷市 解体費用|2026年相場と5つのコスト削減術」で詳しく解説しています。

家財処分・仏壇や庭木の扱いで迷ったら

長年住んだ家には、仏壇・神棚や思い出の品、庭木・庭石なども残っていることが多く、解体前の整理に時間がかかりがちです。稲敷市の家財処分費助成金(最大10万円)の対象条件を確認しつつ、親族間で早めに方針を話し合っておくと、解体・売却のスケジュールが立てやすくなります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 稲敷市に空き家の解体費用を補助する制度はありますか?

A1. 2026年時点で、住宅・空き家の解体費用そのものを補助する制度は稲敷市にはありません。ただし危険ブロック塀等撤去補助金(上限20万円)や、クラッソーネ連携による無料シミュレーターは利用できます。

Q2. 稲敷市の空き家バンクに登録するとどんなメリットがありますか?

A2. 成約時に所有者等へ5万円の成約奨励金が支給されるほか、購入・賃借者側にも最大10万円の奨励金があります。またリフォーム工事費用の助成(最大80万円)や家財処分費用の助成(最大10万円)も利用できる可能性があります。

Q3. 空き家を解体すると固定資産税は上がりますか?

A3. 住宅が建っている土地は住宅用地特例により固定資産税が軽減されていますが、解体して更地にすると特例の対象から外れ、税額が上がる場合があります。稲敷市版の固定資産税シミュレーターで目安を確認することができます。

Q4. 稲敷市の解体費用の相場はどのくらいですか?

A4. 建物の構造・規模・立地条件によって大きく異なります。当サイトの別記事「稲敷市 解体費用|2026年相場と5つのコスト削減術」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

Q5. 空き家を解体するか、空き家バンクに登録して活かすか、どちらがよいですか?

A5. 建物の状態や立地条件によって最適な選択は異なります。老朽化が進み倒壊のおそれがある場合は解体、比較的状態がよく買い手・借り手が見込める場合は空き家バンクの活用が現実的な選択肢です。判断に迷う場合は、稲敷市の空き家相談窓口や解体業者への現地調査を通じて、複数の視点から検討することをおすすめします。

Q6. 稲敷市はどのようにしてできた市ですか?

A6. 2005年3月22日に、江戸崎町・新利根町・桜川村・東町の4つの町村が合併して稲敷市が誕生しました。

まとめ

稲敷市は、霞ヶ浦と利根川に囲まれた農業のまちとして、江戸崎かぼちゃや浮島レンコンといった特産品を育んできました。その一方で、広い敷地の農家住宅を中心に、住み手を失った家が少しずつ増えているのも実情です。稲敷市には解体費用そのものへの補助金はありませんが、空き家バンクの各種助成金や、2025年8月から始まったクラッソーネ連携によるシミュレーター・相談窓口など、活用できる制度は複数あります。ご実家や所有する空き家の今後を考える際は、まず市の窓口や無料シミュレーターで現状を把握し、そのうえで解体・活用どちらが適しているか、専門家に相談しながら判断を進めてみてください。

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