「つくば市 空き家バンク」は月間検索数320回(自社調べ・パスカル分析、2026年8月時点)と、県内の空き家バンク関連クエリの中でも際立って多いキーワードです。研究学園エリアの人口増加のイメージが強いつくば市ですが、旧筑波町・大穂町・豊里町・谷田部町・桜村エリアには相続後そのままになった空き家も少なくありません。この記事では、つくば市の公式制度「つくば市空家バンク」の登録の流れと、あわせて使える2種類の補助金(改修工事費補助金・家財処分費補助金)を一次情報にもとづいて整理し、解体専門店の立場から「活用と解体、どちらを選ぶべきか」の判断材料もお伝えします。
つくば市空家バンクとは|市が橋渡し役になる制度
つくば市空家バンクは、市内の空家等の有効活用を通して、定住の促進及び地域の活性化を図ることを目的に、空家を「売りたい・貸したい」所有者と「買いたい・借りたい」希望者の橋渡しを市が行う制度です(つくば市公式サイト「つくば市空家バンク制度」より)。登録された物件の情報は市ホームページ等で公開され、所有者が希望すれば公益社団法人茨城県宅地建物取引業協会または公益社団法人全日本不動産協会茨城県本部に交渉・契約の媒介を依頼することもできます。窓口は建設部住宅政策課です。
注意点として、事業用物件の登録・紹介はできません。あくまで居住用の空家が対象です。制度の詳細は「空家バンク制度実施要項」に定められているため、登録前に必ず確認しておきましょう。
空家バンクに向いている物件・向いていない物件
空家バンクは「継続して適正に管理されている物件」であることが登録の前提です。屋根や外壁が傷んでいない、水回りが使える状態を保てている、庭木が最低限手入れされている——こうした物件は空家バンクでの流通に向いています。
一方で、老朽化が進み倒壊の危険がある、雨漏りで柱や土台が傷んでいる、シロアリ被害が深刻といった物件は、空家バンクに登録しても交渉が成立しにくいのが実情です。この場合は無理に活用を目指すより、解体して更地にしたほうが土地としての流通性が高まるケースもあります。
登録の流れ|売りたい・貸したい所有者の場合
物件所有者が空家バンクに登録するときの大まかな流れは次のとおりです。
- つくば市住宅政策課に相談・物件情報の確認
- 「空家バンク制度登録申込書」(様式第1号)と「空家バンク制度登録カード」(様式第2号)を作成し提出
- 市が物件情報を審査し、要件を満たせば空家バンクのウェブページに公開
- 利用希望者からの交渉申込みを受け、条件が合えば売買・賃貸契約へ
- 契約成立後、市へ結果を報告(交渉結果報告書)
登録には有効期間があり、満了が近づくと市から通知が届きます。継続したい場合は「空家バンク制度再登録申込書」(様式第6号)を提出します。逆に登録を取り消したい場合は「空家バンク制度登録取消届出書」(様式第7号)です。

登録の流れ|買いたい・借りたい利用希望者の場合
利用希望者側は、まず「制度利用登録申込書」(様式第9号)と「誓約書」(様式第10号)、本人確認書類のコピーを提出して利用登録を行います。登録後、空家バンクに掲載されている物件の中から気になる物件があれば「交渉申込書」(様式第16号)で交渉を申し込みます。利用登録にも期間があり、延長を希望する場合は市からの通知にもとづいて手続きが必要です。
つくば市空家活用補助金|改修工事費補助金(上限50万円)
空家バンクの登録物件を購入した人(利用登録者)が対象で、改修工事費の50%・上限50万円が補助されます。対象になるのは市内に本店・支店・営業所がある事業者が請け負う改修工事で、費用総額が20万円以上のものです。申請期間は令和8年(2026年)4月1日から12月28日まで。工事着手日の14日前かつ、物件の売買契約日から1年以内に申請する必要があります。予算の上限に達すると申請期間内でも受付終了となる点に注意してください。
主な要件は、購入後3年以上その物件に居住する意思があること、市税の滞納がないこと、物件所有者と3親等以内の親族関係にないこと、以前に同制度の補助を受けていないことなどです。なお、空家バンク登録物件の購入では住宅金融支援機構の「フラット35地域連携型」も利用できます。
つくば市空家活用補助金|家財処分費補助金(上限10万円)
もう一つは、物件所有者(登録者)向けの家財処分費補助金です。補助対象物件内にある電化製品・家具などの家財処分費用の50%・上限10万円が補助されます。事業者に処分委託する場合は、一般廃棄物処理業の許可を受けた事業者への依頼が条件です。費用総額5万円以上の処分が対象で、申請期間・申請タイミングの考え方は改修工事費補助金と同様です。
所有者側の要件には、空家バンクに物件を登録した日から2年以上継続して登録する意思があることも含まれます(3親等内の親族でない相手に売却・賃貸した場合を除く)。
補助金額の早見表
| 種類 | 補助対象者 | 補助金額 |
|---|---|---|
| 改修工事費補助金 | 登録物件の購入者(利用登録者) | 改修工事費の50%(上限50万円) |
| 家財処分費補助金 | 登録物件の売却者(登録者) | 家財処分費の50%(上限10万円) |
いずれも、つくば市空家バンクへの登録が申請の前提条件です。登録なしにこの補助金だけを申請することはできません。
つくば市の補助上限額は県内でも高水準
茨城県内の空き家バンク関連の補助金を見比べると、上限額に幅があります。たとえば河内町の空き家活用促進奨励金は上限5万円、桜川市・城里町の空き家バンク奨励金も数万円台が中心です。それに対してつくば市は改修工事費補助金の上限が50万円、家財処分費補助金の上限が10万円と、金額面では県内でも手厚い部類に入ります。研究学園エリアなど比較的地価の高いエリアを抱える市だからこそ、改修による活用を後押しする予算配分になっていると考えられます。
ただし補助率はどちらも2分の1(50%)で、対象工事費が上限に届かなければ補助額もそのぶん少なくなります。たとえば改修工事費が30万円であれば補助額は15万円、20万円ちょうどであれば補助額は10万円です。上限額だけを見て判断せず、実際の見積り額をもとに補助額をシミュレーションしておくことをおすすめします。
研究学園・谷田部・筑波エリアで異なる空き家の傾向
つくば市は合併によって成立した経緯があり、エリアによって空き家の性格が異なります。研究学園駅周辺やみどりのエリアは比較的新しい住宅地が多く、空き家化する物件も築20〜30年程度のものが中心です。一方、谷田部・上郷など旧谷田部町エリアや、筑波山麓に近い旧筑波町エリアでは、農家住宅や敷地の広い一戸建てが空き家化しているケースが目立ちます。敷地が広い分、家財の処分量や庭木の管理負担も大きくなりやすく、空家バンクでの活用を検討する際は、こうしたエリアごとの傾向も踏まえて所有者・利用希望者双方が条件をすり合わせる必要があります。
解体を検討したほうがよいケース
相続した実家が旧耐震基準(昭和56年5月以前)で建てられている、水回りの傷みが激しく大規模なリフォームが避けられない、そもそも活用の予定がなく固定資産税の負担だけがのしかかっている——こうした場合、空家バンクでの活用より解体して土地として売却・活用するほうが早く問題を解決できることがあります。空家バンクの登録要件である「継続して適正に管理されている」状態を維持すること自体が難しい物件は、無理に活用ルートへ乗せずに解体を選択肢に入れて検討してみてください。
つくば市の解体費用の目安や、つくば市が実施している解体費用の補助金制度については、以下の記事で詳しく解説しています。
つくば市の空き家の現状とまちの変化
つくば市全体で空き家がどのように増えているか、エリア別の傾向、古い家が多いエリアの特徴については、以下の記事で詳しくまとめています。空家バンクの活用を検討する前に、お住まいのエリア全体の状況を把握しておくのもおすすめです。
他市町村の空き家バンク制度については、以下の記事もあわせてご覧ください。
相続した空き家を放置するとどうなるか
空家バンクへの登録も解体も決めきれないまま放置すると、「空家等対策の推進に関する特別措置法」にもとづき、著しく管理不全な状態と市に判断された場合は「特定空家等」に指定される可能性があります。指定されると、固定資産税の住宅用地特例(最大6分の1減額)が解除され、税負担が増えるケースがあります。さらに改善が見られない場合は、勧告・命令、最終的には行政代執行による強制解体とその費用請求に至ることもあります。判断に迷っている段階でも、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
不動産としての売却も選択肢に
空家バンクでの活用・解体のほかに、そのまま不動産として売却するという選択肢もあります。つくば市内の不動産売却・買取については、ハウスドゥ つくば研究学園都市店(トーマン運営)が対応しています。宅地建物取引士が在籍し、免許番号は茨城県知事(1)第7579号です。空き家・訳あり物件の買取にも対応しているため、活用や解体と合わせて相談してみるのも一つの方法です。
よくある質問
Q1. つくば市空家バンクへの登録に費用はかかりますか?
A. 登録申込み自体に費用はかかりません。ただし、登録後に活用を進める中で改修工事や家財処分の費用が発生した場合は、それぞれ補助金(上限50万円・上限10万円)の対象になります。
Q2. 空家バンクに登録すればすぐに売れますか?
A. 登録はあくまで「情報を公開して利用希望者とつなぐ」仕組みであり、成約を保証するものではありません。物件の状態や立地によっては交渉が長期間まとまらないこともあります。
Q3. 空家バンクの登録と解体、どちらを先に検討すべきですか?
A. 物件の傷み具合によります。適正に管理できている物件なら空家バンクでの活用を先に検討し、老朽化が進んでいる物件は解体を先に検討したほうが、結果的に早く問題解決に至ることが多いです。
Q4. 事業用の物件も空家バンクに登録できますか?
A. できません。つくば市空家バンクは居住用の空家等が対象で、事業用物件の登録・紹介は対象外です。
Q5. 補助金の申請はいつまでにすればよいですか?
A. 令和8年度は4月1日から12月28日までが申請期間です。ただし工事・処分に着手する日の14日前までに申請する必要があり、予算上限に達すると期間内でも受付終了となるため、早めの相談をおすすめします。
Q6. 空家バンクの窓口はどこですか?
A. つくば市建設部住宅政策課です(つくば市研究学園一丁目1番地1、電話029-883-1111代表)。申請書類は郵送でも対応可能です。
まとめ
つくば市空家バンクは、空家の所有者と利用希望者を市が橋渡しする制度で、登録すれば改修工事費(上限50万円)・家財処分費(上限10万円)の補助金も利用できます。ただし登録には「継続して適正に管理されている」ことが前提のため、老朽化が進んだ物件では活用より解体のほうが現実的な選択肢になることもあります。判断に迷ったら、まずは専門家に相談してみてください。
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