「神栖市の実家、周りにも古い家が多いけれど、建て替えられるのだろうか」——神栖市で住宅の将来を考えるとき、こうした相談をよく受けます。神栖市は2005年に旧神栖町と旧波崎町が合併して誕生した市であり、鹿島臨海工業地帯とともに発展した神栖地区と、漁業とともに発展した波崎地区とでは、住宅地の成り立ちも建て替えのしやすさもまったく異なります。この記事では、神栖市内で古い家が集中しやすいエリアの特徴と、建て替え・解体を検討する際に押さえておきたい制度・判断ポイントを一次情報に基づいて整理します。
神栖市の成り立ちと2つの旧市街地
神栖市は2005年(平成17年)8月1日、旧神栖町と旧波崎町の合併によって誕生しました。この2つの旧町が持つ産業構造の違いが、そのまま住宅地の形成過程の違いにつながっています。
神栖地区(旧神栖町)|鹿島開発で生まれた工業都市
神栖地区は1960年代から始まった鹿島開発により、鹿島臨海工業地帯の企業城下町として急速に発展しました。工場従業員向けの社宅・分譲団地が計画的に整備されたため、区画は比較的整形で、幹線道路沿いは接道条件を確認しやすい傾向にあります。一方で、昭和40〜50年代に建てられた団地住宅の多くが更新期を迎えています。
波崎地区(旧波崎町)|漁港とともに発展した港町
波崎地区は利根川河口の漁港を中心に発展した旧町で、波崎漁港周辺には古くからの住宅が密集しています。港に近い市街地は敷地が狭く、道路幅員が4m未満の狭あい道路に接する敷地も少なくありません。建て替え時にはセットバック(道路後退)が必要になるケースが多く、旗竿地や接道条件が現行の建築基準法に合わない土地も混在しています。
古い家が多いエリアの特徴
神栖市内で「古い家が多い」と感じられるエリアには、共通するいくつかの特徴があります。
波崎の旧市街地(波崎・矢田部海岸周辺)
波崎漁港に近い旧市街地は、港町特有の狭い路地に住宅が密集しており、隣家との距離も近いのが特徴です。建て替えの際は接道義務(敷地が建築基準法上の道路に2m以上接していること)を満たしているかの確認が欠かせません。
溝口・知手・矢田部周辺の昭和期団地エリア
鹿島開発期に整備された社宅・分譲団地が集中するエリアです。台地上に立地するため地盤面での懸念は比較的少ないものの、給排水管や電気配線など設備の老朽化が進んでいる住宅が目立ちます。
新しい住宅地との違いから見えること
一方、神栖中央地区の商業エリア周辺や比較的新しい区画整理地は、道路幅員・接道条件が整備されているため、建て替えの選択肢が広く残されています。同じ神栖市内でも「いつ、どのように市街地が形成されたか」によって、建て替えのしやすさに大きな差が生まれている点が重要です。

築年数が古い家に起きること
古い住宅には、外から見えにくいリスクが積み重なっていることがあります。建て替えや解体を判断する前に、まず現状を正しく把握することが大切です。
設備劣化・アスベストと耐震基準のリスク
昭和期に建てられた住宅は給排水管や電気配線の経年劣化が進んでいることが多く、また2006年(平成18年)以前に建築された建物は、屋根材・外壁材などにアスベスト(石綿)含有建材が使われている可能性があります。解体を行う場合は事前調査が法令で義務付けられています。さらに昭和56年5月31日以前に建築された住宅は、現行の耐震基準(新耐震基準)が適用される前の「旧耐震基準」で建てられており、神栖市はこうした住宅を対象に耐震改修・耐震建替えの補助制度を用意しています(後述)。あわせて、波崎の旧市街地など接道条件が厳しいエリアでは、建て替え自体が「再建築不可」となるケースもあるため、早い段階での確認が欠かせません。
建て替え・解体を考えるときの判断ポイント
「古い家をどうするか」を考えるときは、感覚的に判断せず、次の順番で確認していくことをおすすめします。
再建築可能かどうかを最初に確認する
敷地が建築基準法上の道路に2m以上接しているか(接道義務)を、市の都市整備部や土地家屋調査士、解体・建築の専門業者に確認しましょう。再建築不可の土地の場合、解体後に同じ規模の建物を建てられないケースがあるため、解体前の確認が必須です。
狭あい道路特有の建築条件を確認する
波崎の旧市街地など狭い道路に接する敷地では、セットバックにより有効な敷地面積が実質的に減る場合があります。建て替え計画の前提条件として必ず確認が必要です。
解体してから活用方法を考える選択肢
建て替えずに更地にして売却する、駐車場として活用するなど、解体後の土地活用を先に検討してから解体業者に相談する進め方も有効です。売却を視野に入れる場合は、不動産の専門家に土地の資産価値を確認しておくと判断がスムーズになります。
神栖市が使える建て替え関連の制度
神栖市では、老朽化した木造住宅の耐震性を高めるための補助制度や、住宅取得を後押しする給付金を用意しています。以下は神栖市公式サイト(2026年8月確認)の情報です。
木造住宅耐震改修促進事業(耐震建替え工事は一律60万円)
昭和56年5月31日以前に着工された木造住宅(2階建て以下・延床面積30平方メートル以上)で、耐震診断の結果「倒壊の可能性がある」「倒壊の可能性が高い」と判定された住宅が対象です。耐震補強設計は費用の2分の1(上限15万円)、耐震補強工事は費用の2分の1(上限45万円)、耐震診断で上部構造評点0.7未満相当と判定された住宅を除却して新築する耐震建替え工事は一律60万円が補助されます。令和8年度の申請期間は、耐震補強設計・工事が4月15日から10月30日まで、耐震建替え工事が4月15日から8月31日までで、いずれも予算額に達し次第終了します。
かみす子育て住まいる給付金(最大100万円)
高校生相当以下の子を養育している方、または45歳未満で親と同居する方などを対象に、住宅取得費の一部を給付する制度です。新築・建売・中古住宅の購入で10万円を基本に、市が売却する土地での新築で15万円、子1人につき15万円、転入・定住要件を満たす場合は30万円が加算され、上限100万円まで給付されます。ただし木造住宅耐震改修促進事業など他の補助制度と併用はできません。申請期限は住宅取得の登記原因の日から2年以内、または2027年3月31日のいずれか早い日までです。
相続空き家の3,000万円特別控除(国税制度)
相続した実家を解体して更地で売却する場合、一定要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除できる国税庁の特例があります。神栖市独自の制度ではありませんが、解体・売却をあわせて検討する際に確認しておきたい制度です。
ご注意:解体工事費そのものを直接補助する神栖市独自の制度は、既存記事でも解説している「空き家解体支援事業補助金」(管理不全な空き家等が対象、最大100万円)があります。今回ご紹介した耐震改修促進事業・かみす子育て住まいる給付金は、それとは別枠の「建て替え・耐震」関連の制度です。制度の詳細・最新の予算状況は、神栖市都市整備部住宅政策課(電話0299-95-6595)に直接ご確認ください。
解体を選ぶ場合に知っておきたいこと
解体費用の目安と既存の解体補助金との関係
木造住宅の解体費用は延床面積や立地条件(狭あい道路・重機搬入の可否など)によって幅がありますが、坪あたり3〜5万円程度が一般的な目安とされています。波崎の旧市街地のように道路が狭く重機の搬入経路が限られるエリアでは、手作業解体の割合が増え、費用が上振れしやすい傾向があります。家財道具などの残置物処分費用も別途かかるため、見積もり時に含まれているか確認しましょう。また2022年4月から、解体工事前のアスベスト有無の事前調査結果報告が法令で義務化されています。なお神栖市には「空き家解体支援事業補助金」(管理不全50万円・不良住宅70万円・特定空家100万円の3段階)もありますが、これは空き家(現に居住していない家屋)が対象で、今回ご紹介した耐震改修促進事業・かみす子育て住まいる給付金とは併用条件が異なります。どの制度が使えるかは、居住状況や建て替え・解体・住宅取得のどれを行うかによって変わるため、事前の確認が重要です。
解体業者を選ぶときに確認したいこと
神栖市内で解体業者を選ぶ際は、次の点を確認しましょう。
- 建設業許可または解体工事業登録を受けているか
- アスベスト事前調査を適切に実施し結果を説明してくれるか
- 波崎の旧市街地など狭あい道路エリアでの施工実績があるか
- 見積もりに残置物処分・整地費用が含まれているか明確か
- 近隣挨拶・養生など近隣配慮の説明があるか
複数社から見積もりを取り、内訳を比較することが失敗を避ける近道です。
まちの変化にどう向き合うか
神栖市は工業都市として発展した神栖地区と、港町として発展した波崎地区という異なる成り立ちを持つエリアが一つの市として発展してきました。古い家が多いエリアに実家がある場合、「建て替えられるのか」「解体して土地を活用・売却するのか」は、まず接道条件と耐震性の確認から始めることが遠回りのようで一番の近道です。神栖市の耐震改修促進事業などの制度も踏まえながら、専門家に早めに相談することをおすすめします。
解体Do!では、神栖市エリアの解体費用の目安や補助金の詳細について、以下の記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
神栖市の解体・建て替えのご相談は解体Do!へ
現地調査・お見積りは無料です。古い家の解体費用や補助金活用について、専門スタッフが丁寧にご案内します。
よくある質問(FAQ)
Q1. 神栖市で「古い家が多い」と言われるのはどのエリアですか?
波崎の旧市街地(波崎・矢田部海岸周辺)と、神栖地区の昭和期団地(溝口・知手・矢田部周辺)が代表的です。それぞれ港町・工業都市として異なる成り立ちで住宅地が形成されました。
Q2. 自宅の敷地が「再建築不可」かどうかはどこで確認できますか?
神栖市都市整備部住宅政策課(電話0299-95-6595)で道路種別や接道状況を確認できます。解体業者や土地家屋調査士に相談することも可能です。
Q3. 神栖市に建て替えそのものへの補助金はありますか?
建て替え(新築)そのものを直接補助する制度として、昭和56年5月31日以前の木造住宅を対象にした「木造住宅耐震改修促進事業」の耐震建替え工事(一律60万円)があります。また子育て世帯・移住世帯向けの「かみす子育て住まいる給付金」(最大100万円)も住宅取得費を助成します。
Q4. 木造住宅耐震改修促進事業の対象になる住宅の条件は?
昭和56年5月31日以前に着工された、2階建て以下・延床面積30平方メートル以上の木造住宅で、耐震診断の結果「倒壊の可能性がある」または「倒壊の可能性が高い」と判定されたものが対象です。他の補助制度との併用はできません。
Q5. 解体費用そのものへの補助金はありますか?
神栖市には空き家(現に居住していない家屋)を対象にした「空き家解体支援事業補助金」(管理不全50万円・不良住宅70万円・特定空家100万円の3段階)があります。ただし現在居住中の住宅の建て替えに伴う解体は対象外です。詳しくは既存記事「神栖市の空き家解体補助金」もあわせてご確認ください。
Q6. 解体と建て替え、どちらを先に相談すればよいですか?
まず「再建築可能かどうか」の確認が最優先です。再建築不可の土地だった場合、解体後の選択肢が大きく変わるため、解体業者に依頼する前に住宅政策課や不動産の専門家に接道状況を確認することをおすすめします。
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