「大洗町の空き家を解体したいが、補助金は使えるのだろうか」——結論から言うと、大洗町には解体費用を補助する制度があります。しかも大洗町の制度は珍しく、①解体そのものへの補助金と、②跡地を活用したときに上乗せされる補助金の「2階建て」になっているのが特徴です。この記事では、大洗町公式ホームページと交付要綱を一次情報として、補助額・対象条件・申請の流れ・見落としやすい落とし穴を、解体工事を専門に行う「解体Do!」の立場から解説します。
※本記事の内容は2026年7月時点で大洗町公式ホームページ「空き家解体・利活用補助制度」および交付要綱に基づいています。制度は年度により変更されることがあるため、実際の申請前には必ず町の窓口(まちづくり推進課)で最新の内容をご確認ください。
大洗町の解体補助金は「解体30万円+跡地利用20万円」の2階建て
大洗町の「空き家解体・利活用事業補助金」は、次の2つの補助金で構成されています。
①解体補助金:補助率3分の1・上限30万円
空き家の解体工事そのものに対する補助金です。補助対象経費に3分の1を乗じた額(1,000円未満切り捨て)で、上限は30万円です。
②跡地利用促進補助金:補助率6分の1・上限20万円
解体後の跡地を活用したときに、追加で受け取れる補助金です。補助対象経費に6分の1を乗じた額(1,000円未満切り捨て)で、上限は20万円。ただし条件があり、次の章で詳しく説明します。

【最重要】跡地利用補助金20万円は「解体日から1年以内」に消える
跡地利用促進補助金を受け取るには、解体補助金を使って空き家を解体した日から1年以内に、跡地を売却・賃貸などにより所有権や利用権を移転する必要があります(公共的利用に供する場合を含む)。1年を過ぎてしまうと、この20万円は請求できなくなります。
不動産会社の立場から強調したいのは、「解体してから1年以内に売る」を実現するには、解体前に売却の見通しを立てておく必要があるという点です。解体してから売却先を探し始めると、査定・媒介契約・購入希望者探し・契約・引き渡しまでの期間で1年を使い切ってしまうことがあります。解体を決めた段階で、並行して不動産会社に査定を依頼しておくことをおすすめします。
なお、跡地の賃貸借の相手方が一親等以内の親族である場合は、この補助金の対象になりません。身内に貸すだけでは20万円は受け取れない、という点も見落としやすい条件です。
大洗町の解体補助金:対象になる空き家の条件
大洗町公式ホームページで確認した「補助の対象となる空き家」の条件は次のとおりです。
- 戸建住宅または併用住宅(住宅の一部を店舗として利用している住宅)であること
- 建築基準法第6条第1項の確認を受けて建築されたものであること(法施行前に建築されたものは対象外の扱いを受けないよう別途確認が必要)
- 申請時点で、補助対象空き家および同一敷地内の他の建物とその敷地が1年以上使用されていないこと、または所有者が死亡した後、使用されていないこと
- 併用住宅の場合、居住部分の床面積が延べ床面積の2分の1以上であること
- 個人の所有するものであること
- 所有権以外の権利が設定されていないこと(抵当権が残っていると対象外)
- 「特定空家等」に該当しないこと(大洗町は他の多くの自治体と逆で、荒れが進みすぎると対象外になる設計)
- 公共事業の補償の対象となっていないこと
- 不動産業を営む者が営利目的として所有するものでないこと
補助の対象となる「者」は、空き家の所有者本人のほか、共有名義の場合は全共有者の同意を得た者、相続人(複数の場合は全相続人の同意を得た者)、敷地を取得・賃借した者などです。町税・後期高齢者医療保険料・介護保険料の滞納がある方、暴力団員等は対象になりません。
見落としやすい落とし穴8つ
大洗町の補助金は条件が細かく、当社が一次情報を確認する中で「ここでつまずきやすい」と感じたポイントを8つにまとめました。
落とし穴①:「特定空家等」になっていると、逆に補助が受けられない
他の市町村では「特定空家等」の判定を受けていることが補助金の条件になっているケースが多くありますが、大洗町は逆で、特定空家等に該当すると対象外になります。放置しすぎると使えなくなる制度である点に注意してください。
落とし穴②:抵当権が残っていると対象外
「所有権以外の権利が設定されていないこと」が条件のため、住宅ローンの抵当権が残っている状態では原則として対象になりません。ローンを完済しているか、抹消登記が済んでいるかを事前に確認しましょう。
落とし穴③:解体費が50万円未満だと対象外
補助対象工事の条件として「解体に要する費用が50万円以上であること」が明記されています。小規模な附属屋のみの解体など、工事費が50万円に満たない場合は対象外です。
落とし穴④:町内に本店・営業所がある業者に限られる
解体工事は「大洗町内に本店若しくは営業所を有する法人又は個人事業者」が行うことが条件です。町外の安い業者に一括見積もりで依頼すると、その時点で補助金の対象外になってしまいます。相見積もりを取る際は、必ず町内に拠点があるかを確認してください。
落とし穴⑤:舗装費と「動産(残置物)の処分費」は対象外
補助対象経費は建物・附属工作物・立木等の除却工事費と、廃材の収集運搬・処分費、整地費用です。ここで注意したいのが、舗装費用や動産(家財道具などの残置物)の処分費は補助対象外と明記されている点です。見積書が「解体工事一式」とまとめられていると、この内訳が分からず補助対象経費を正しく切り出せないことがあります。内訳が明確な見積書を業者に依頼しましょう。
落とし穴⑥:交付決定前の着手・契約はNG
交付申請の段階では、まだ解体工事の契約をしてはいけません。町から「交付決定通知書」を受け取ってから、初めて業者と契約し、工事に着手します。交付決定前に着工してしまうと、緊急性が町長に認められる特別な場合を除き、補助対象外=0円になります。この順番を間違えるケースが最も多い失敗パターンです。
落とし穴⑦:町税・保険料の滞納があると対象外
町税、後期高齢者医療保険料、介護保険料の滞納がある方は補助対象者になれません。暴力団員等も対象外です。
落とし穴⑧:補助は1人につき1回まで
補助金の交付は補助対象者1人につき1回までです。複数の空き家を所有していても、2軒目以降の解体には使えません。
申請の流れ|先に壊すと補助金は0円になる
大洗町の解体補助金は、次の順番で進みます。この順番を守らないと補助金がもらえないため、必ず工事契約の前に手続きを済ませてください。

- 事前相談:まちづくり推進課(役場2階・電話029-267-5109)へ、建物の概要が分かる資料(写真や課税明細書など)を持参して相談します。
- 解体補助金の交付申請:申請書に、解体前の写真、登記事項証明書、土地の全部事項証明書、建築確認済証の写し、見積書とその内訳書、誓約書などを添えて提出します。この段階ではまだ解体工事の契約はできません。
- 交付決定:町の審査・調査を経て、「交付決定・却下通知書」が届きます。
- 解体工事の契約・実施:ここで初めて、町内業者と契約を結び、工事を始めます。工事前と同じ場所から撮影した完了写真を忘れず準備してください。
- 完了報告:工事完了後30日以内、または交付決定の日が属する年度の3月31日のいずれか早い日までに、請負契約書・領収書・処分証明書・完了写真などを添えて報告します。
- 補助金の請求・受領:金額確定の通知を受け取ったら、請求書を町に提出し、指定口座に補助金が入金されます。
- (跡地を活用する場合)跡地利用促進補助金の申請:解体した日から1年以内に跡地の売却・賃貸等が決まった場合、別途申請書と契約書の写し等を提出します。
問い合わせ先は大洗町 まちづくり推進課 ふるさとプロモーション係(電話029-267-5109)です。
大洗町の解体費用の目安
解体工事の費用は建物の構造・延床面積・立地条件(前面道路の幅員、重機が入れるかどうか)、残置物の量などによって大きく変わります。あくまで目安としてご覧ください。
| 構造 | 坪単価の目安 | 30坪の目安総額 |
|---|---|---|
| 木造 | 3万円〜5万円/坪 | 90万円〜150万円 |
| 鉄骨造 | 4万円〜6万円/坪 | 120万円〜180万円 |
| 鉄筋コンクリート造(RC造) | 6万円〜8万円/坪 | 180万円〜240万円 |
例えば木造30坪の解体費用が120万円だった場合、解体補助金は120万円×3分の1=40万円となりますが、上限の30万円が適用されます。実際の補助額は、見積もりの内訳や町の審査によって変わるため、正確な金額は交付申請時の書類審査後に確定します。
解体して売る vs そのまま買取——手残りで比べる
「解体してから売るべきか、古家付きのまま売る(買取に出す)べきか」は、大洗町に限らずよくある相談です。それぞれの特徴を整理します。
- 解体して更地で売る場合:買主にとって「そのまま使える土地」になるため需要が広がりやすい一方、解体費用(補助金を使っても数十万円〜百万円超が自己負担になりうる)を先に支払う必要があります。
- 古家付きのまま買取に出す場合:解体費用を立て替える必要がなく、現況のまま短期間で現金化しやすい一方、査定額には買主側が見込む解体費用が差し引かれます。
どちらが手残りで有利かは、建物の傷み具合・立地・買主の需要によって変わるため、一概にはいえません。解体を決める前に、現況のままの査定額と、解体後・補助金適用後の想定手残りの両方を比較することをおすすめします。
更地にすると固定資産税は上がる——タイミングの考え方
住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税評価額が最大6分の1(200平方メートルまでの部分)に軽減されています。建物を解体して更地にすると、この特例が外れ、翌年から土地の固定資産税が上がる可能性があります。
そのため、「解体してすぐに売却する見通しが立っていない」状態での解体は、税負担だけが増えるリスクがあります。大洗町の跡地利用促進補助金が「解体日から1年以内の売却・賃貸」を条件にしているのも、裏を返せば「更地のまま長期間放置すると負担が増える」ことへの警鐘と捉えることができます。解体は、売却・活用の見通しが立ってから進めるのが安全です。
大洗町の空き家を売るときの費用と税金
仲介手数料・印紙税・登記費用
不動産会社に仲介を依頼して売却する場合、成約価格に応じた仲介手数料がかかります。また、売買契約書には印紙税が必要です。相続登記が未了の場合は、売却前に相続登記の費用も発生します。
譲渡所得税
不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合は、譲渡所得税・住民税がかかります。取得費が分からない場合は「売却価格の5%」を取得費とみなす概算取得費のルールが使われることもあり、税額が大きくなりやすい点に注意してください。
相続空き家の3,000万円特別控除
相続した空き家を売却する場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります。主な要件は、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、相続開始直前まで被相続人が1人で居住していたこと、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること、譲渡価額が1億円以下であることなどです。この特例は、家屋を取り壊して更地で売る場合にも、耐震基準を満たして売る場合にも適用され得ますが、要件の詳細は税務署や税理士に確認することをおすすめします。解体補助金(最大30万円+20万円)と、この特別控除(最大3,000万円分の税負担軽減)は制度の性質が異なるため、両方を視野に入れて資金計画を立てるとよいでしょう。
大洗町の類似制度|空き家利活用リフォーム補助・空き家等情報バンク
「解体」だけが選択肢ではありません。大洗町には、空き家を活かす方向の制度も用意されています。
- 空き家利活用リフォーム補助制度:空き家を解体せず改修して活用する場合の補助制度です。詳細な補助率・上限額は町公式ホームページでご確認ください。
- 大洗町空き家等情報バンク:解体後の空き地や、活用したい空き家の情報を登録し、売却・賃貸の情報を掲載できる制度です。
- 危険ブロック塀等撤去事業費補助:住宅本体ではなく、危険なブロック塀の撤去に対する補助金です(大洗町では年度により内容が変わるため、金額・条件は町へ直接ご確認ください)。
「今の建物をどうしても壊さなければならない状態か」「改修して住み続ける・貸し出す余地はないか」を先に検討し、それでも解体が必要と判断した場合に、今回ご紹介した解体補助金・跡地利用促進補助金の活用を検討する、という順番がおすすめです。
大洗町で解体をお考えなら|解体Do!にご相談ください
解体Do!は、茨城県内の解体工事を数多く手がけてきた解体専門会社です。大洗町の補助金制度を活用した解体工事のご相談はもちろん、見積もりの内訳を分かりやすくご説明し、補助対象経費と対象外経費を明確に切り分けたお見積りをご提案します。大洗町の解体費用や、優良な解体業者の選び方については、下記の記事でも詳しく解説しています。
▶ 大洗町の解体工事|費用相場と優良業者を見抜く5つのポイント
また、茨城県内の他の市町村の解体補助金については、こちらの一覧記事でまとめて確認できます。
解体後、そのまま土地や古家付き物件の売却をご希望の場合は、ハウスドゥ グループの不動産会社にもお気軽にご相談ください。査定から解体、売却までワンストップでサポートします。
よくある質問(FAQ)
Q. 大洗町で空き家の解体に補助金は出ますか?
A. 出ます。「空き家解体・利活用事業補助金」により、解体工事費用の3分の1(上限30万円)が補助されます。加えて、解体後1年以内に跡地を売却・賃貸した場合は、跡地利用促進補助金として6分の1(上限20万円)が追加で受けられます。
Q. 補助金はいつ申請すればいいですか?
A. 解体工事の契約・着工より前に、まちづくり推進課へ事前相談のうえ交付申請を行い、交付決定通知を受け取ってから契約・着工してください。交付決定前に着工すると、原則として補助対象外になります。
Q. 「特定空家等」に指定されていても補助金はもらえますか?
A. もらえません。大洗町の制度は、空家等対策の推進に関する特別措置法第2条第2項に規定する「特定空家等」に該当しないことが条件です。他の自治体と条件が逆になっている点に注意してください。
Q. 町外の解体業者に頼んでも補助金は出ますか?
A. 出ません。解体工事は、大洗町内に本店または営業所を有する法人・個人事業者が行うことが条件です。町外の業者に依頼すると補助対象外になります。
Q. 家財道具(残置物)の処分費も補助の対象になりますか?
A. なりません。舗装費用と同様に、動産(残置物)の処分費は補助対象外と明記されています。見積書で解体工事費と残置物処分費が分けて記載されているかを確認しましょう。
Q. 解体せず、そのまま古家付きで売ることはできますか?
A. 可能です。解体費用の負担なく現況のまま売却する方法もあります。解体して更地で売る場合と、古家付きのまま売る場合とでは、手残り額が変わることがあるため、両方のケースで査定を比較することをおすすめします。
Q. 補助金の交付は何回まで受けられますか?
A. 補助対象者1人につき1回までです。複数の空き家を所有していても、2軒目以降には利用できません。


