「解体工事の前に家屋調査をしてほしいと言われたけれど、何をするの?」「隣の家から家屋調査を頼まれた(または断られた)」「費用は誰が払うの?義務なの?」——解体工事が決まると、こうした疑問が出てきます。この記事では、家屋調査(事前家屋調査)とは何かから、調査の範囲・費用・義務の有無・拒否されたときの対処まで、茨城県で解体工事を手がける「解体Do!」がやさしく解説します。
なお、見積りのために業者が現場を見る「現地調査」は別のものです。そちらは現調(現地調査)とは?意味・目的・進め方や解体工事の現地調査は何を調査する?で解説しています。本記事は、解体する建物の「まわりの家」を調べる調査に絞ってお伝えします。
結論:家屋調査は「工事前の隣家の状態を記録しておく調査」
先に要点をまとめます。
- 家屋調査とは:解体工事の前に、隣接する建物などの傷み・ひび・傾きを写真と図面で記録しておく調査です。
- 目的:工事のあとに「工事でひびが入った」と言われたとき、もともとの状態と比べて事実を確認するためです。
- 義務かどうか:一般に、法律で一律に義務付けられているものではありません。ただし、トラブル予防のため実施する現場が多くあります。
- 費用の目安:業者が自社で行う場合は工事費に含まれる例があり、専門の調査会社に頼むと1軒あたり数千円〜数万円程度が一つの目安です(建物の大きさや調査項目で変わります)。
- 断られたとき:調査は任意のため無理強いはできません。説明した記録を残し、外から確認できる範囲を記録する方法があります。
以下、順番に詳しく見ていきます。
家屋調査とは?解体工事での意味をわかりやすく解説
家屋調査(事前家屋調査)の意味
家屋調査とは、工事を始める前に建物の状態を調べて記録する調査のことです。解体工事では、解体する建物のすぐ隣や裏手、道路をはさんだ向かいの家などが対象になります。壁のひび、タイルの浮き、ドアの開閉具合、床の傾きなどを、日付入りの写真や図面で残します。「解体工事の家屋調査」「事前調査」「近隣家屋調査」などと呼ばれることもあります。
なぜ解体工事で家屋調査をするのか
解体工事では、重機を動かしたり建物を壊したりするときに、地面やまわりの建物に振動が伝わります。実際に工事が原因でひびが入ることもありますが、もともと経年で入っていたひびが、工事後に目についただけというケースも少なくありません。工事前の状態の記録がないと、どちらなのか判断しにくく、話がこじれる原因になります。家屋調査は、施主さま・近隣の方・解体業者の三者を守るための「事実の記録」です。
「現地調査」「アスベスト事前調査」との違い
似た言葉が多いので、違いを整理しておきます。
- 現地調査(現調):見積りのために、業者が解体する建物と敷地を確認することです。
- 家屋調査:解体する建物ではなく、まわりの家の状態を記録することです。
- アスベスト事前調査:解体する建物に石綿が使われていないかを調べる調査で、法令にもとづいて行います。詳しくはアスベストの見分け方|解体業者が見る建材と調査義務をご覧ください。
- 建物状況調査(インスペクション):中古住宅の売買のときに、建物の劣化状況を専門家が調べる調査で、解体前の家屋調査とは目的が異なります。
- 建物滅失登記の調査:取り壊したあとに、土地家屋調査士が行う登記の手続きです。土地家屋調査士費用と滅失登記の流れで解説しています。
家屋調査は義務?法律上の位置づけ
一般的には「任意」の調査
民間の解体工事では、家屋調査を一律に義務付ける法律は一般にありません。そのため、実施するかどうかは、施主さまと解体業者の話し合い、近隣の状況、契約条件によって決まります。公共工事や、発注者・自治体などが条件として求める場合は実施することもあるため、「義務かどうか」はケースにより異なります。
義務でなくても実施をおすすめするケース
次のような現場では、家屋調査をしておくと安心です。
- 隣の家との距離が近い住宅密集地(建物同士が数十センチ〜1m程度しか離れていない場合など)
- 隣家が築年数の古い木造で、すでに外壁や基礎にひびが見える
- 重機を使う本格的な解体や、大きな建物(鉄骨造・鉄筋コンクリート造など)の解体
- 前面道路が狭く、工事の振動が近隣へ伝わりやすい
- 過去に近隣との間でトラブルがあった、または近隣の方から不安の声が出ている
近隣対応全般については、解体工事の近隣トラブル|苦情・損害賠償の対処法もあわせてご覧ください。
家屋調査の範囲|どこまでの家を調べる?
範囲に全国共通の決まりはない
「家屋調査はどこまでの範囲の家を調べるのか」とよく聞かれますが、全国で統一された基準があるわけではありません。工事の規模、建物の構造、重機の種類、道路や敷地の形などから、振動や接触の影響が及びそうな範囲を業者が提案し、施主さまと相談して決めるのが一般的です。
調査対象になりやすい建物
- 解体する建物に隣接している家(両隣・裏)
- 道路をはさんだ向かいの家(重機やトラックの出入りで影響を受けるおそれがある場合)
- 隣の敷地にあるブロック塀・擁壁・門柱・カーポートなどの工作物
- 工事の動線上にあり、重機が近くを通る家
範囲を広げすぎると費用も手間も増えるため、迷ったときは、現地で業者に「どこまでを対象にするとよいか」と、その理由を説明してもらうと納得しやすくなります。
家屋調査では何を見る?どこまで見るかのチェック項目
調査の内容は、外まわりと室内に大きく分けられます。次の図が、調べる項目の一例です。

外まわりのチェック
- 外壁・基礎のひび割れ、欠け、浮き
- 屋根・雨どい・サッシまわりの状態
- ブロック塀・擁壁・土間コンクリートの亀裂や傾き
- 門柱・カーポート・物置・庭木など敷地内の工作物
室内のチェック(立ち会いが必要)
- 壁・天井のひび、クロスの切れ、雨染み
- 床の傾きやきしみ(水平器などで測ることもあります)
- ドア・窓・ふすまなど建具の開け閉めの具合
- タイルや浴室・キッチンなど水まわりの状態
記録の方法
ひび割れには、幅を測る定規(クラックスケール)を当てて撮影し、位置を図面に書き込みます。写真には日付と撮影場所がわかるようにし、あとから見比べても誰もが同じ場所だと確認できるようにします。調査後は、調査報告書(写真・図面・メモ)を作成し、相手方にも控えを渡すのが丁寧な進め方です。
家屋調査の流れ|依頼から報告までの5ステップ

ステップ1:解体業者へ相談して要否・範囲を決める
見積りの段階で、「家屋調査を行うか」「どこまでの範囲か」「費用はどうなるか」を確認しておきます。見積書に家屋調査の費用が入っているかは、必ず見ておきましょう。
ステップ2:近隣の方へ挨拶し、調査の趣旨を説明する
いきなり「調査させてください」と言うと、不安や不信感をもたれることがあります。工事の挨拶とあわせ、「工事のあとでも安心していただくために、今の状態を記録させてください」と目的を丁寧に伝えるのがポイントです。挨拶の進め方は工事前の挨拶とは?近隣トラブルを防ぐためのマナーをご覧ください。
ステップ3:日程を調整する
室内を調べる場合は、在宅の時間帯に合わせて日程を調整します。調査自体は、建物の大きさにもよりますが、1軒につき30分〜1時間程度が目安です。
ステップ4:外まわりから室内へ、写真と図面で記録する
まず外まわりを一周し、そのあと室内へと進みます。相手方に立ち会ってもらい、「ここにひびがあります」と一緒に確認しながら記録すると、あとの認識のズレを防げます。
ステップ5:報告書の控えを渡し、工事後に必要なら再確認する
調査結果をまとめた報告書の控えを相手方にお渡しします。工事のあとに「気になる箇所がある」と連絡があった場合は、記録と見比べて、必要に応じて再調査を行います。
家屋調査の費用|誰が負担する?相場の目安
費用の目安
費用は、調査する家の大きさ、調査項目、写真の枚数、報告書のつくり込みなどで変わります。解体業者が自社で行う場合は、工事費に含まれたり、無料で行われたりすることもあります。専門の調査会社に依頼する場合は、1軒あたり数千円〜数万円程度が一つの目安で、調査する軒数が増えるほど総額も増えます。金額は現場によって異なるため、見積りで確認してください。
費用は誰が払う?
費用の負担先は、契約によって決まります。一般的には、解体工事を依頼する施主さまが、工事費の一部として負担する形が多く見られます。近隣の方が調査費用を負担することは基本的にありません。見積書に「家屋調査費」の項目があるか、業者の自社対応か外部の調査会社かを、契約前に確認しておくと安心です。
費用を抑えるポイント
- 必要な範囲を、業者と相談して絞り込む
- 調査をまとめて同じ日に行い、日数を減らす
- 見積りを複数社で取り、家屋調査が含まれているかを同じ条件で比べる
見積り全体の見方は、解体工事の現地調査の重要性も参考になります。
近隣から家屋調査を拒否されたときの対処法
まず、拒否の理由をうかがう
家屋調査は任意のため、断られる場合もあります。「家に入られたくない」「忙しい」「必要ないと思っている」など、理由はさまざまです。まずは理由をうかがい、不安を和らげる説明をします。
室内が難しければ、外まわりだけの調査を提案する
室内の立ち会いが難しい場合は、「外からだけでも記録させてください」と提案する方法があります。道路や敷地の境界から見える範囲の外壁、塀、基礎などを日付入りで撮影しておくと、一定の記録になります。
説明したこと・断られたことを記録に残す
それでも調査できない場合は、いつ、誰が、どのように説明し、どういう返事だったかを記録に残します。無理に敷地へ立ち入って撮影することは避けてください。記録は、のちの話し合いで「事前に丁寧に説明していた」ことを示す材料になります。
相手の不安が強いときは、保険や連絡先を伝える
工事中の賠償に備えた保険に加入していることや、工事期間中の連絡窓口を伝えると、安心につながります。保険の内容は業者により異なるため、契約前に確認しておきましょう。
工事中・工事後に家屋に影響が出たとき
工事前の記録と比べて確認する
工事のあとに「ひびが入ったのでは」と連絡があったら、まず調査時の記録(写真・図面)と見比べます。もとからあったひびなのか、新しく入ったように見えるのかを、相手方と一緒に確認します。
原因が工事にあるとわかったとき
工事の影響が疑われる場合は、業者から保険会社などへ連絡して、補修や賠償の手続きを進めるのが一般的です。施主さまが一人で対応するのではなく、まず工事を担当した業者に連絡してください。
影響をできるだけ減らす工夫
振動や粉じんを減らすため、散水や防音・防塵の養生シートを使い、重機の動かし方を工夫します。家屋調査と工事中の対策をセットで行うことが、近隣の信頼につながります。
茨城県で解体工事の家屋調査を考えるときのポイント
茨城県内でも、住宅が密集している地域では隣家との距離が近く、狭い道路に面した現場も多くあります。こうした現場では、調査の範囲・時期・費用を見積りの段階で業者と共有しておくことが、スムーズな工事の土台になります。「家屋調査をしてくれる業者か」「近隣への説明を丁寧にしてくれるか」も、業者選びの大事な基準です。
家屋調査を依頼する会社の選び方と、調査で把握できる情報
家屋調査は、解体業者のスタッフが行う場合と、調査を専門に行う会社や建築の専門家に依頼する場合があります。どちらが適しているかは、現場の規模や近隣の状況で変わるため、見積りの際に比較して決めると安心です。
調査会社・業者を選ぶときの確認ポイント
- 調査の範囲(外まわりのみか、内部調査まで行うか)と、見積りに含まれる内容
- 報告書の資料(写真・図面・データ)の形式と、相手方へ控えを渡してもらえるか
- 調査スタッフの経験や、近隣住民への説明の丁寧さ
- 工事完了後の再確認(事後調査)に対応しているか
調査で把握できるデータと測定の例
調査では、ひび割れの幅や位置の記録のほか、床や柱の傾きを水平器などで測定してデータ化することがあります。こうした情報を一覧にした資料を作っておくと、工事後に現状と比べて状態の変化を確認しやすくなります。結果を正確に残すため、同じ場所を同じ方法で撮影・測定することが大切です。
対象になる建物と、被害を防止するための注意点
対象は、木造の住宅だけでなく、アパート・マンション・ビル、使われていない空き家、隣接する土地のブロック塀や擁壁などにも及ぶことがあります。工事による破損の発生を未然に防止するため、近隣住民の方の建物に近い部分では振動の出る作業を控える、地盤の状態を確認して重機の位置を決めるなど、工事の方法も合わせて検討します。調査は、トラブルの可能性を事前に減らすための手段のひとつです。
よくある質問(FAQ)
Q. 家屋調査とは何ですか?
解体工事の前に、隣接する建物などの傷み・ひび・傾きを写真と図面で記録しておく調査です。工事のあとに状態を見比べて、工事の影響かどうかを確認するために行います。
Q. 家屋調査は義務ですか?
民間の解体工事では、一般に法律で一律に義務付けられているものではありません。ただし、トラブル予防のため実施する現場が多く、工事の条件や契約によっては求められることもあります。
Q. 家屋調査の範囲はどこまでですか?
全国共通の基準はありません。振動や接触の影響が及びそうな範囲を、隣接する家や向かいの家などを中心に、業者と施主さまが相談して決めるのが一般的です。
Q. 家屋調査の費用はいくらですか?
業者が自社で行う場合は工事費に含まれる例があります。専門の調査会社に頼む場合は、1軒あたり数千円〜数万円程度が一つの目安ですが、建物の大きさや調査項目で変わります。
Q. 家屋調査の費用は誰が払いますか?
一般的には、解体工事を依頼する施主さまが工事費の一部として負担する形が多いです。契約前に、見積書の項目を確認してください。
Q. 近隣の人が家屋調査を拒否したらどうすればよいですか?
調査は任意のため、無理強いはできません。理由をうかがい、外まわりだけの調査を提案し、説明した内容と相手の返答を記録に残します。無断で敷地に立ち入ることは避けてください。
Q. 家屋調査にはどのくらい時間がかかりますか?
建物の大きさにもよりますが、1軒につき30分〜1時間程度が目安です。室内を調べる場合は、在宅の時間に合わせて日程を調整します。
Q. 家屋調査と現地調査は同じものですか?
いいえ、別のものです。現地調査は見積りのために解体する建物を確認すること、家屋調査はまわりの家の状態を記録することです。
Q. 家屋調査はどんな会社に頼めばよいですか?
解体業者が自社で行う場合と、調査を専門に行う会社に依頼する場合があります。調査範囲、報告書の内容、工事後の再確認に対応しているかを見積りの段階で確認し、比較して決めると安心です。
Q. 隣がアパート・マンション・空き家でも家屋調査は必要ですか?
建物の種類にかかわらず、振動や接触の影響が及びそうな場合は、調査をおすすめします。空き家の場合は所有者の了承を得たうえで、外まわりの状態を記録する方法もあります。
Q. 家屋調査をしないとどうなりますか?
工事のあとにひびなどを指摘されたとき、もともとの状態がわからず、原因の判断や話し合いが難しくなるおそれがあります。
茨城県の解体工事・家屋調査のご相談は「解体Do!」へ
「解体Do!」は、茨城県内で解体工事を手がける地域密着の解体業者です。近隣への挨拶や家屋調査を含め、工事前の段取りから丁寧にご案内します。現地を確認したうえで、調査の範囲と費用の目安をお伝えしますので、お気軽にご相談ください。
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