高萩市で「実家をどうするか」を考えるとき、住んでいるのが炭鉱の社宅だった団地なのか、港に近い工場社宅跡なのか、それとも山あいの農家住宅なのかによって、建て替えのしやすさは大きく変わります。高萩市は他の茨城県内市町村と違い、都市計画法上の市街化調整区域を持たない「非線引き都市計画区域」です。線引き制度が無いことは一見どこでも自由に建て替えられそうに聞こえますが、実際には用途地域の指定状況や接道条件によって、エリアごとに注意点が異なります。この記事では、高萩市で古い家が集まりやすい3つのエリアタイプと、それぞれで建て替え・解体を考えるときに知っておきたい制度を、高萩市公式サイトの一次情報にもとづいて整理します。高萩市全体の人口動態や産業史の背景については高萩市の空き家の現状とまちの変化もあわせてご覧ください。
高萩市に「市街化調整区域」が無いのはなぜか
茨城県内の多くの市町村では、市街化区域と市街化調整区域を分ける「線引き制度」が採用されており、調整区域では原則として新築や建て替えに開発許可が必要です。一方、高萩市は都市計画区域は指定されているものの、市街化区域と市街化調整区域の区分(線引き)を行っていない「非線引き都市計画区域」にあたります。用途地域が指定されているのは市街地の一部(10用途・約814ha)にとどまり、それ以外は「用途地域無指定区域」として扱われます。線引きが無いこと自体は建築の自由度が比較的高いことを意味しますが、無指定区域では建ぺい率・容積率の上限や接道義務など、別の基準が適用されるため、区域ごとの確認は欠かせません。
高萩市がこうした都市計画になった背景には、常磐炭田・高萩炭礦の隆盛と1967年の閉山、その後を継いだ製紙・電力産業という2度の産業構造の転換があります。基幹産業の従業員向けに建てられた社宅や借家、そこから派生した個人住宅の多くが、産業が形を変えるたびに次の使われ方を模索してきました。この産業史が、現在の高萩市内で「古い家が集まりやすいエリア」の分布にも表れています。

エリア1:旧炭鉱社宅エリア(安良川・下手綱周辺)
用途地域が指定された住居系エリアで建て替えは比較的スムーズ
安良川・下手綱周辺は高萩市の中心市街地に近く、用途地域(住居系)が指定されているエリアが多く含まれます。かつて炭鉱従業員向けの借家・社宅が建ち並んでいた名残で、旗竿地や間口の狭い敷地が点在しているのが特徴です。用途地域が指定されているため建築基準は明確ですが、昭和30〜40年代に建てられた住宅は接道幅が現行基準を満たさない「再建築不可」に近い状態のケースもあり、建て替え前には道路の種別(建築基準法上の道路かどうか)の確認が必須です。
狭小地でも解体費用は敷地条件で変わる
接道が狭いエリアでは大型重機が入れず、手壊し解体や小型重機での作業になることが多く、同じ延床面積でも解体費用が割高になる傾向があります。見積もりを取る際は、母屋だけでなく敷地の間口・奥行き、隣地との距離も業者に伝えておくと、現地調査後の金額の食い違いを防げます。
エリア2:臨海部工業跡地周辺(秋山・高萩港周辺)
工業系の用途地域と住宅系エリアが混在
高萩港に近い秋山地区周辺は、かつて高萩パルプ(後の日本加工製紙)高萩工場が主力工場として稼働し、最盛期には400人を超える従業員を抱えていました。工場は2002年の経営破綻で操業を停止し、跡地は2018年にメガソーラー発電所として再稼働するなど、産業用地としての土地利用は形を変えながら続いています。この周辺は工業系の用途地域と、従業員が住んでいた住宅系エリアが混在しているため、建て替えを検討する際は自分の敷地がどの用途地域に該当するかを高萩市都市建設課で確認することが欠かせません。
準工業・工業系エリアでの住宅建て替えの注意点
準工業地域や工業地域では住宅の建築自体は可能な場合が多いものの、用途によっては建てられる建物の種類に制限があります。また産業跡地周辺は敷地内に浄化槽や旧設備の基礎が残っているケースもあり、解体時に地中埋設物の撤去費用が追加でかかることがあります。見積もり時点で「以前は何に使われていた土地か」を業者に伝えておくと、追加費用の発生を減らせます。
エリア3:山間部・集落エリア(上君田・横川周辺)
用途地域無指定区域では建ぺい率・容積率の基準が別枠になる
高萩市の西側、上君田・横川周辺などの山間部は用途地域が指定されていない「無指定区域」にあたります。線引き制度がないため市街化調整区域のような開発許可の壁はありませんが、無指定区域では建築基準法上の建ぺい率・容積率が別途定められており、また敷地が建築基準法上の道路に接していない「非接道」の農家住宅も少なくありません。この場合、建て替え前に位置指定道路の申請や、43条但し書き許可(当時の建築基準法上の例外許可)の要否を市に確認する必要があります。
敷地内の付属屋が解体費用を左右する
山間部の農家住宅は母屋のほかに納屋・蔵・作業小屋などの付属屋を敷地内に持つケースが多く、解体費用は母屋単体よりも敷地全体の建物量で総額が決まります。見積もり依頼の際は、母屋だけでなく敷地内のすべての建物・工作物を業者に伝えることが、追加費用の発生を防ぐポイントです。
建て替え・解体で使える高萩市の制度と申込みの順番
空き家解体支援事業費補助金|上限30万円・先着順
高萩市には「空き家解体支援事業費補助金」があり、補助対象事業費の3分の1(上限30万円)が補助されます。令和8年度は5月20日から申請受付が始まり、先着順で予算上限に達し次第終了となる点に注意が必要です。対象は昭和56年5月31日以前に建築された戸建て・併用住宅で、1年以上居住の用に供されていない、または所有者が死亡した後未使用であることなどが条件です。居住中の住宅を建て替え目的で解体する場合はこの補助金の対象外となるため、空き家化してからの解体を検討している場合にのみ使える制度です。工事の着工前に申請する必要があり、市内業者が請け負う工事であることも条件になっています。詳しい条件や申請の流れは高萩市の空き家解体補助金|上限30万円・条件と申請の流れで解説しています。
高萩市物件紹介バンク|空き家バンクに相当する独自制度
高萩市には他の自治体で「空き家バンク」と呼ばれる制度に相当するものとして「高萩市物件紹介バンク」があります。空き物件(空き家・空き店舗)の売却・賃貸を希望する所有者が登録し、市が情報を公開してマッチングを図る仕組みです。登録期間は2年間で、契約成立や交渉のトラブルについて市は関与しない点、宅地建物取引業法に基づく手数料が発生する点は留意しておく必要があります。また、物件紹介バンクに登録済み、または登録予定の住宅については、茨城県が既存住宅状況調査(インスペクション)の費用を全額負担する制度もあわせて利用できます。建て替えではなく売却も選択肢に入れる場合は、解体前にこの制度の利用を検討する価値があります。
特定空家に認定される前に動く
高萩市は「空家等対策の推進に関する特別措置法」(令和5年12月13日改正法施行)第7条に基づき「高萩市空家等対策計画」を策定しています。そのまま放置すれば倒壊などの危険性が高いと判断された空き家は「特定空家」に認定され、市による指導・勧告・解体命令の対象になり得ます。特定空家に認定されてからでは行政指導への対応に追われることになるため、老朽化が進む前に建て替え・解体・売却のいずれかを決めておくことが、結果的に費用も手間も抑えることにつながります。
建て替えと解体、判断を間違えると損をする2つのポイント
用途地域の確認を先に、解体業者への相談は並行して
高萩市は非線引き都市計画区域のため「調整区域だから建てられない」という心配は基本的にありませんが、用途地域の種別や無指定区域における接道条件は敷地ごとに異なります。建て替えを決める前に高萩市都市建設課で用途地域の確認を済ませておくと、解体後に「思っていた広さで建てられない」という事態を防げます。並行して解体業者に現地調査を依頼し、敷地条件(接道幅・付属屋の有無・地中埋設物の可能性)を伝えたうえで概算見積もりを取っておくと、スケジュールの手戻りが少なくなります。
補助金の申請は着工前が絶対条件
空き家解体支援事業費補助金は「工事の着工前」に申請する必要があり、先に解体を始めてしまうと補助対象外になります。現地確認を含めて交付決定までに1か月程度かかるため、解体を検討し始めた段階で早めに環境市民協働課へ相談しておくことが重要です。
よくある質問
Q1. 高萩市には市街化調整区域が無いと聞きましたが、どこでも自由に建て替えられますか?
A. 高萩市は市街化調整区域を指定していない非線引き都市計画区域ですが、用途地域が指定されているエリアと無指定区域とで建築基準が異なります。無指定区域では建ぺい率・容積率の別基準や接道義務の確認が必要なため、建て替え前に高萩市都市建設課への確認をおすすめします。
Q2. 実家の解体費用に使える補助金はありますか?
A. 空き家になってから1年以上経過した住宅(または所有者死亡後未使用の住宅)であれば、令和8年度は解体費用の3分の1(上限30万円)が補助されます。申請は工事の着工前かつ先着順で、予算上限に達すると受付終了となります。居住中の住宅の建て替え目的の解体には使えません。
Q3. 高萩市に空き家バンクはありますか?
A. 高萩市では「空き家バンク」という名称ではなく「高萩市物件紹介バンク」という制度があり、実質的に同じ役割を果たしています。空き物件の売却・賃貸を希望する所有者が環境市民協働課に登録し、市が情報を公開してマッチングを図る仕組みです。
Q4. 旧炭鉱社宅エリアの古い借家は建て替えできますか?
A. 用途地域が指定されているエリアであれば建て替え自体は可能ですが、接道幅が現行の建築基準法を満たしていない敷地もあるため、現況の道路種別の確認が必要です。再建築が難しいと判断された場合は、隣地との調整や位置指定道路の申請が必要になることもあります。
Q5. 解体費用はどのくらいかかりますか?
A. 建物の構造・延床面積・敷地条件(接道幅、重機が入れるか)によって大きく変わります。高萩市の解体費用の目安や坪単価については2026年版|高萩市の解体費用相場と見積もりを安くする5つのコツで詳しく解説しています。
Q6. 特定空家に認定されるとどうなりますか?
A. 高萩市空家等対策計画に基づき、倒壊の危険性が高いなどと判断された空き家は特定空家に認定され、市による指導・勧告・場合によっては解体命令の対象になります。認定される前に建て替え・解体・売却のいずれかの対応を決めておくことが望ましいです。
まとめ
高萩市で古い家が多いのは、常磐炭田の閉山と製紙工場の撤退という2度の産業構造の転換の影響を受けた旧炭鉱社宅エリア・臨海部工業跡地周辺と、用途地域が指定されていない山間部の集落エリアという、性格の異なる3つのエリアが背景にあります。高萩市は市街化調整区域を持たない非線引き都市計画区域のため建築のハードルは比較的低いものの、用途地域の有無や接道条件の確認は敷地ごとに必要です。建て替えを検討する際は、①用途地域・接道条件の確認、②空き家解体支援事業費補助金は着工前申請かつ先着順という点、③特定空家に認定される前に方向性を決めることの3点を押さえておくと、手戻りを防げます。高萩市での解体・建て替えをご検討の際は、現地調査から見積もりまで0120-300-484・LINE・無料お見積りはこちらから解体Do!にお気軽にご相談ください。
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