「常総市で空き家を解体したいけれど、補助金は出るのだろうか」——インターネットで検索すると、他の市町村の記事や比較サイトが混在していて、正確な情報にたどり着きにくいのが実情です。結論からお伝えすると、2026年7月時点で、常総市には建物の解体工事そのものに使える補助金・助成金制度はありません。これは常総市公式ホームページの空き家対策ページ・空家等バンク活用支援補助金のページを直接確認したうえでの一次情報です。
ただし「何も支援がない」わけではありません。常総市は株式会社クラッソーネとの連携協定のもとで解体費用シミュレーターや相談体制を整えており、また空き家を「残して活かす」場合には最大100万円規模の補助金が用意されています。本記事では解体業者の立場から、常総市で使える制度・使えない制度を条件・金額つきで整理し、「解体してから売る」か「古家付きのまま売る」かの判断材料まで解説します。
常総市に「解体費補助金」は無い(2026年7月・市公式で確認済み)
茨城県内の市町村を見ると、古河市・結城市・つくばみらい市・鉾田市など、老朽空き家や特定空家等の除却費用の一部(1/2〜4/5程度、上限15万〜100万円程度)を補助する制度を持つ自治体は少なくありません。一方で常総市の公式ホームページには、こうした「除却費補助金」「解体費補助金」という名称の制度は見当たりません。
常総市公式ホームページ「空き家の解体〜管理不全となる前に、早めの対応を〜」のページでも、解体費用そのものへの補助制度としては後述する期間限定の「クラッソーネ解体補助制度」の案内があるのみで、市独自の恒常的な除却費補助金の記載はありません。同市の「常総市が推進する空き家対策」総合ページを確認しても同様です。
一部の比較サイトには常総市の補助金として空家等バンク活用支援補助金が紹介されていますが、これは後述の通り「解体」ではなく「活用(修繕・購入)」に対する補助金です。混同すると申請時に対象外と判定されてしまうため、本記事で違いを明確にします。
常総市空家等バンク活用支援補助金=「解体」ではなく「活用」への補助金
常総市が実施している補助金制度の中で最も手厚いのが「常総市空家等バンク活用支援補助金」です。ただし対象は空家等バンクに登録した物件を居住用として活用する側であり、解体して更地にする所有者向けの制度ではありません。2事業に分かれています。
登録空家等修繕支援事業
- 対象:空家等バンク登録物件の所有者・購入者・賃借人
- 補助対象経費:登録空家等の安全性・居住性・機能性等を維持・向上させる改修工事費
- 補助額:補助対象経費の2分の1(限度額100万円)
- 主な要件:活用後の用途が住宅であること/居住する者が10年以上定住する意思があり世帯全員が市内に他の住居を持たないこと/市税等の滞納がないこと
- 手続き:着工予定日の14日前までに交付申請書一式を提出、完了後30日以内または年度末までに実績報告
登録空家等購入支援事業
- 対象:空家等バンク登録物件を取得した者
- 補助対象経費:登録空家等の取得費用
- 補助額:補助対象経費の100分の5(限度額100万円)
- 主な要件:修繕支援事業と同様(10年以上定住意思・世帯全員が市内に他住居なし・税滞納なし)
- 手続き:売買契約締結から30日以内に交付申請、入居後30日以内または年度末までに実績報告
いずれも三親等以内の親族間の賃貸・売買は対象外、修繕費用と取得費用の補助は同時に受けられない(いずれか一方のみ)という条件があります。利用件数にも上限があるため、詳細は市への事前確認が必須です。出典:常総市公式ホームページ「常総市空家等バンク活用支援補助金」(常総市空家等バンク活用支援補助金交付要綱に基づく)。
解体業者として最もお伝えしたいのはここです。この補助金は「建物が残っていて、誰かがそれを住宅として活用すること」が大前提です。所有者が先に解体して更地にしてしまうと、この2つの補助金はどちらも対象外になります。「空き家をどうするか迷っている」段階で解体を急ぐと、活用側の支援策を自ら閉ざしてしまう可能性がある、という点は判断前に知っておくべき事実です。
クラッソーネ解体補助制度とは?すでに募集終了している点に注意
常総市公式ホームページには「クラッソーネ解体補助制度」という案内があります。これは常総市が株式会社クラッソーネと連携協定を結び、同社が全国の連携自治体向けに提供している抽選形式の補助金制度です。常総市公式ページに明記されている募集期間は2025年1月21日〜2025年3月31日で、応募者に抽選で補助金を交付する仕組みでした。
2026年7月時点でこの募集期間はすでに終了しています。にもかかわらず、一部の解体業者比較サイトでは常総市の「実施中の補助金」として紹介され続けているケースが見られます。申請を検討する場合は、必ず常総市の担当課(都市建設部 住宅課など)または市公式ホームページの最新情報で、次回募集の有無を確認してください。制度自体が今後も継続するかどうかは市の判断次第であり、本記事執筆時点で確定的なことは言えません。
常総市はこのほか、クラッソーネの解体マッチングサービス「解体工事の無料一括見積りサービス」や「常総市版AIによる解体費用シミュレーター」も案内しています。これらは補助金ではなく、業者選定や概算費用を把握するためのツールです。
解体費補助金の代わりに使える税制優遇2つ
常総市独自の解体費補助金はありませんが、国の税制優遇は常総市内の空き家にも適用されます。工事費が戻ってくるものではありませんが、売却時の税負担を大きく減らせる可能性があるため、解体を検討する際は必ず候補に入れてください。
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除
被相続人が居住していた家屋とその敷地を相続した人が、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、家屋または取り壊し後の土地を譲渡した場合、譲渡所得から3,000万円を特別控除できる制度です。控除を受けるには「非相続人居住用家屋等確認書」の取得が必要で、常総市が確認書を発行しています。(国税庁タックスアンサーNo.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」にも要件の詳細があります)
低未利用地の譲渡所得特別控除
空き地・空き家の新たな利用希望者への譲渡を促進するため、個人が保有する低額の未利用地を譲渡した場合の譲渡所得を控除する制度です。適用には「低未利用土地等確認書」の取得が必要です。
いずれも税務上の特例であり、解体工事費そのものを補助するものではありません。適用の可否は個々の状況によって異なるため、実際の申告にあたっては税理士または常総市・税務署への確認をおすすめします。
解体業者だから言えること|「壊す」か「残す」かで使える制度が真逆になる
常総市の空き家関連の支援策を整理すると、次のような構造になっていることが分かります。
| 選択肢 | 使える制度 | 使えなくなる制度 |
|---|---|---|
| 建物を残し、空き家バンクに登録して活用してもらう | 空家等バンク活用支援補助金(修繕支援・購入支援、上限各100万円) | — |
| 先に解体して更地にする | 低未利用地の譲渡所得特別控除、空き家の3,000万円特別控除(要件を満たす場合) | 空家等バンク活用支援補助金(建物が無いため対象外) |

この2択のどちらを選ぶべきかは、建物の傷み具合・立地・そもそも買い手や借り手が見込めるかによって変わります。老朽化が進み管理不全空家等に近い状態であれば、修繕支援を使って活用するより解体して更地で売却・活用する方が現実的なケースが多いのも事実です。逆に、まだ住める状態で立地が良い場合は、空き家バンク経由での活用支援を検討する余地があります。
解体業者の立場から言えば、「壊せば早く片付くが、活用系の補助金という選択肢は失われる」「残せば補助金の可能性は残るが、管理不全のリスクと固定資産税の負担は続く」という二律背反です。迷った場合は、解体費用の概算と、空き家バンク経由で活用できそうかどうかの両方を早い段階で確認することをおすすめします。
常総市の解体費用の目安
常総市で解体を検討する際に気になるのが費用相場です。木造・鉄骨・RCなど構造や立地条件によって金額は変わるため、より詳しい坪単価の目安や業者選びのポイントは、当サイトの別記事「常総市の解体費用、2026年相場と業者選び5つの秘訣」で詳しく解説しています。本記事では補助金・助成金の条件面に絞って解説していますので、費用感を把握したい方はあわせてご覧ください。
なお、常総市は株式会社クラッソーネとの連携協定に基づき「常総市版AIによる解体費用シミュレーター」を公式に案内しています。蓄積された見積データをもとに簡単な質問に答えるだけで概算費用が分かる仕組みで、国土交通省の令和3年度モデル事業にも採択された取り組みです。まず大まかな相場感を掴みたい場合の一つの手段として活用できます。
解体するか、古家付きのまま売却するか
常総市に解体費補助金が無い以上、「解体費用を自己負担してでも更地にすべきか」「古家付きのまま売却するか」は重要な判断ポイントです。判断の軸として次の3点を確認してください。
- 建物の傷み具合:構造的な腐朽や雨漏りが進んでいる場合、古家付きのままでは買い手が住宅ローンを組みにくく、値下げ要因になりやすい傾向があります。
- 固定資産税の住宅用地特例:更地にすると住宅用地の特例が外れ、固定資産税が上がる場合があります(特定空家等の勧告を受けた場合はこの特例がすでに外れている可能性があるため、現状の課税を確認してください)。
- 活用・売却の見込み:空き家バンク経由での需要が見込めるか、更地の方が売りやすい土地かは、地域の不動産動向次第です。
「解体してから売る」「古家付きで売る」のどちらが有利かは、建物と土地の状態によって結論が変わります。当サイトでは解体業者の視点から現地確認のうえでのアドバイスも可能です。まずは概算だけでも知りたいという方は、下記のお問い合わせフォームからご相談ください。
常総市で解体工事を進める流れ
常総市公式ホームページでも紹介されている一般的な解体の流れは次の通りです。工事完了を希望する時期の約2か月前から動き出すのが目安とされています。
- 解体工事会社を探す・複数社から見積もりを取る
- 解体工事会社と契約
- 建物内の家財処分・片付け
- 建築リサイクル法に基づく届け出(床面積80平方メートル以上の解体は着手7日前までに県知事等へ届出が必要)
- 外構の解体
- 屋根・内装の解体
- 建物本体の解体
- 建物基礎の解体
- 整地
- 建物の滅失登記申請
- 解体工事の完了

建築リサイクル法の届出義務は施主(発注者)にあり、届出を怠ると20万円以下の罰金の対象になり得ます。「届出は業者が代行してくれるので不要」と誤解している方も多いのですが、責任の所在は施主にある点は必ず押さえておいてください。
常総市で解体業者を選ぶときのポイント
- 建設業許可または解体工事業の登録をしているか
- 損害賠償保険に加入しているか
- 建築リサイクル法の届出について説明・案内があるか
- 残置物(家財等)の扱いを契約前に明確にしてくれるか(残置物は一般廃棄物にあたる場合があり、追加請求の原因になりやすいポイントです)
- 現地調査を丁寧に行い、見積もりの内訳が明確か
- 相場から極端に安い見積もりを提示していないか
常総市には市が連携するクラッソーネの一括見積りサービスのほか、地元の解体業者も多数あります。複数社から見積もりを取り、内容を比較したうえで契約先を決めることをおすすめします。
よくある質問
Q1. 常総市には空き家の解体費用を補助してくれる制度がありますか?
2026年7月時点、常総市には建物解体そのものを対象にした恒常的な補助金・助成金はありません(常総市公式ホームページで確認済み)。ただし期間限定でクラッソーネ社の解体補助制度が案内されたことがあるため、市の最新の告知は都度ご確認ください。
Q2. 常総市空家等バンク活用支援補助金を解体費用に使えますか?
使えません。この補助金は空家等バンクに登録した空き家を「修繕」または「購入」して住宅として活用する人向けの制度で、建物を解体・除却する費用は対象外です。
Q3. クラッソーネ解体補助制度は今も申し込めますか?
常総市公式ホームページに記載の募集期間は2025年1月21日〜2025年3月31日で、本記事執筆時点ではすでに終了しています。次回募集の有無は未定のため、常総市の担当課へ直接お問い合わせください。
Q4. 補助金が無いなら、解体費用を安く抑える方法はありますか?
複数の解体業者から相見積もりを取ることが基本です。また残置物を事前に自分で片付けておく、解体時期を業者の閑散期に合わせるなどでも費用を抑えられる場合があります。国の税制優遇(空き家の3,000万円特別控除など)が使えるかどうかも確認しておくと、売却時の手取りに大きく影響します。
Q5. 空き家を解体せず放置するとどうなりますか?
常総市空家等対策の推進に関する条例等に基づき「管理不全空家等」または「特定空家等」に指定され勧告を受けた場合、固定資産税の住宅用地特例(最大1/6軽減)が解除され、税負担が増える可能性があります。また倒壊・不法投棄・害虫発生などのリスクも高まるため、早めに方針を決めることが重要です。
Q6. 常総市の空き家対策の相談窓口はどこですか?
常総市では「空き家所有者・相続者向け個別相談」を実施しており、窓口での対面相談のほかWeb会議やインターネットでの相談にも対応しています。解体費用や業者選びについては、当サイトのお問い合わせフォームからもご相談いただけます。
常総市の解体費用・補助金についてのご相談はこちら
まとめ
常総市には建物解体そのものへの恒常的な補助金・助成金はなく、代わりに「空き家を残して活用する人向け」の空家等バンク活用支援補助金(修繕・購入支援、各上限100万円)と、税制優遇としての譲渡所得特別控除が用意されています。過去にはクラッソーネ社との連携による期間限定の解体補助制度もありましたが、2026年7月時点では募集終了しています。
「解体して更地にする」か「空き家バンクで活用する」かは、使える制度がまったく変わる分岐点です。建物の状態や今後の活用方針でお悩みの方は、費用面・制度面の両方から解体業者の視点でアドバイスいたします。お気軽にお問い合わせください。
あわせて、常総市の空き家全体の現状やまちの変化についてまとめた記事もご覧ください。常総市の空き家の現状とまちの変化【2026年】


