常総市で「古い家が目立つ地域」と「新しい住宅が並ぶ地域」がはっきり分かれていると感じたことはないでしょうか。その差を生んでいるのは偶然ではなく、常総市が持つ「水海道都市計画区域(線引き)」と「石下都市計画区域(非線引き)」という二つの異なる都市計画制度です。この記事では、常総市公式ホームページの一次情報にもとづき、古い家が集まりやすいエリアの構造的な理由と、建て替えを検討する際に確認すべきポイントを解体業者の視点で解説します。

常総市に古い家が多いエリアが生まれる根本理由

常総市は2006年(平成18年)に水海道市と結城郡石下町が合併して誕生した市です。合併前の2つの市町がそれぞれ独自の都市計画区域を持っていたため、現在も市内に性格の異なる2つの都市計画区域が併存しています。この行政の成り立ちそのものが、エリアによって建て替えのしやすさが変わる直接の原因になっています。

水海道都市計画区域(線引き)とは

常総市公式ホームページによると、水海道都市計画区域は昭和24年4月13日に都市計画決定され、首都圏整備法に基づく近郊整備地帯に指定されていることから、都市計画法第7条第1項第1号イに基づき昭和45年7月15日に市街化区域と市街化調整区域の区域区分(いわゆる「線引き」)を定めています。

石下都市計画区域(非線引き)とは

一方、石下都市計画区域は昭和39年6月22日に都市計画決定されたのみで、市街化区域と市街化調整区域の線引きが行われていません。これを「非線引き都市計画区域」と呼びます。線引きの有無という制度上の違いが、そのまま古い家の残り方の違いにつながっています。

水海道地区|線引きが生んだ「調整区域の古い家」

水海道都市計画区域では、市街化区域524haに11種類の用途地域が指定されている一方(昭和48年2月26日指定)、それ以外は市街化調整区域として開発が制限されています。

市街化調整区域では原則、建て替えに許可が必要

市街化調整区域は「市街化を抑制しようとする区域」と位置づけられており、原則として農林漁業用の建築物、または市長の許可を受けたもの以外は建築できません。古くからその場所に住んでいた世帯であっても、更地にしてから同じ場所に新築しようとすると、市街化区域内の土地のようには簡単にいかないケースがあります。

区域指定制度なら19地区で誰でも住宅を建てられる

常総市には、市街化調整区域の中でも「区域指定」という独自の緩和制度があります。都市計画法第34条第11号・第12号にもとづき、指定された区域内であれば集落の出身要件などを問わず、誰でも住宅等の建築物を建てられる制度です。市公式資料によると、11号区域(市街化区域からおおむね1km以内・宅地率40%以上等)が199.3ha、12号区域(それ以外の要件・宅地率30%以上等)が309.0ha、合計508.3haが指定されています。

令和4年に区域指定エリアが縮小されたこと

見落とされがちな重要な事実として、令和4年4月1日より、災害ハザードエリア(浸水想定区域における想定浸水深3メートル以上の区域及び家屋倒壊等氾濫想定区域)を区域指定から除外し、指定エリアが縮小されています。2015年の関東・東北豪雨(鬼怒川水害)で甚大な浸水被害を受けた常総市ならではの見直しであり、水害の教訓が都市計画そのものに反映された形です。この改定により、従来は建て替え可能だった土地が区域指定から外れているケースもあるため、古い家がある土地が現在も区域指定内かどうかは個別確認が欠かせません。

市公式の指定対象集落総括表によると、11号区域では豊岡町西(65.1ha・宅地率49%)、本郷・長ノ入(36.0ha・63%)、羽生(17.6ha・67%)など、12号区域では菅生(80.0ha・54%)、坂手町東(33.9ha・63%)、坂手町西(31.3ha・49%)などが指定されています。同じ市内でも集落によって面積・宅地率が大きく異なり、建物が密集し古い家が連なっている集落ほど宅地率が高い傾向がうかがえます。

石下地区|非線引きゆえの「白地地域の古い家」

石下都市計画区域には市街化区域・市街化調整区域という線引きの概念自体がありません。その代わりに、用途地域が指定されている区域と、指定されていない「白地地域」に分かれます。

石下の用途地域は197haのみ

石下都市計画区域の用途地域は昭和44年5月27日に指定され、現在197haが9種類の用途地域に指定されています。水海道都市計画区域の市街化区域524haと比べると範囲が狭く、石下地区の多くの土地は用途地域の指定を受けていない白地地域に該当することになります。

白地地域は建ぺい率60%・容積率200%

市公式ホームページによると、石下都市計画区域における用途地域の指定のない地域(白地地域)の建ぺい率は60%、容積率は200%と定められています。線引きがない分、市街化調整区域のような開発の原則禁止という強い規制はありませんが、それは「何を建ててもよい」という意味ではありません。市は「都市計画制度や開発許可制度を活用した適切な土地利用誘導策導入を検討し、開発や宅地化の動向を注視しながら、当該地域の土地利用や周辺環境との調和、開発に伴う影響等を考慮した対応を図る」と明記しており、個別の立地条件(接道・上下水道・農地転用の要否など)の確認が建て替えの成否を分けます。

石下の旧市街に残る看板建築・古民家

石下地区は鬼怒川の舟運で栄えた歴史を持ち、旧市街には昭和初期の看板建築や古い商家建築が今も残っています。非線引きで開発規制が相対的に緩やかだったことも、建て替えが進まず古い建物がそのまま残存しやすい一因と考えられます。

当サイトの別記事「常総市の空き家の現状とまちの変化」でも触れているとおり、常総市は人口減少と世帯数の変化が進むエリアです。ここでは重複を避け、建て替え判断に直結する制度面に絞って解説します。人口動態の詳細な数値やまちの変化については、後述の関連記事を参照してください。

古い家を建て替える前に確認すべき5つのポイント

1. その土地が市街化区域・市街化調整区域・区域指定・白地地域のどれに該当するか

常総市都市計画課、またはいばらきデジタルマップの都市計画情報で確認できます。同じ町内でも道路一本を境に区分が変わることがあるため、「近所が建て替えられたから自分の土地も同じ」とは限りません。

2. 市街化調整区域なら区域指定19地区に含まれるか

区域指定に含まれていれば、集落の出身要件を問わず住宅の新築・建て替えが可能です。含まれていない場合は、市長の個別許可(都市計画法第34条各号)が必要になり、農家住宅や分家住宅など許可の類型に該当するかどうかの精査が必要です。

3. 区域指定の対象でも、令和4年改定で外れていないか

前述のとおり、浸水想定3m以上の区域は令和4年4月に区域指定から除外されています。古い家が建った当時は建て替え可能な区域だったとしても、現在は条件が変わっている可能性があります。

4. 接道・排水・給水の3条件を満たしているか

区域指定の選定基準には「車道幅員5.5メートル以上の主要な道路への接続」「下水を有効に排出する排水施設」「水道法の認可を受けた給水区域」という要件が明記されています。古い家ほど接道条件が現行基準を満たさない「再建築不可」に近い土地であるケースが少なくありません。

5. 建ぺい率・容積率・最低敷地面積の制限

区域指定の集落では最低敷地面積300平方メートル以上、高さ10メートル以下、建ぺい率60%以下・容積率200%以下という制限があります。古い家の敷地が細かく分筆されている場合、最低敷地面積を満たせず単独では建て替えられないこともあります。

建て替えと解体工事の関係|古い家ならではの論点

接道条件を満たさない「再建築不可物件」の解体

区域指定の要件である「幅員5.5m以上の道路への接続」を満たさない敷地は、建築基準法上の接道義務(原則、幅員4m以上の道路に2m以上接すること)もクリアできていないことが多く、建て替えができない「再建築不可物件」に該当する可能性があります。この場合、古い家を解体して更地にしても新築はできませんが、老朽化した危険な建物を放置するより、解体して安全な更地として管理・活用する選択は十分に合理的です。

市街化調整区域での解体後の土地利用

市街化調整区域内で建て替えができない土地であっても、駐車場や資材置き場、家庭菜園など「建築物を伴わない利用」であれば規制の対象外となることが一般的です。解体して建物という資産を手放す判断は、固定資産税の住宅用地特例が外れて税額が上がる可能性とのバランスで検討する必要があります。石下地区の白地地域でも同様に、解体後の建て替えは用途地域上の制限(工業系用途地域での住宅建築制限など)に直面することがあるため、解体前に用途地域の指定状況を確認しておくことをおすすめします。

解体Do!が常総市で選ばれる理由

解体Do!は茨城県内で解体工事を行う専門業者として、常総市の水海道地区・石下地区それぞれの都市計画事情を踏まえたうえで、建て替えの可否や解体後の土地活用まで見据えたご提案を行っています。区域指定の該当有無や接道条件の確認は、実際には常総市都市整備課への照会が必要な専門的な作業ですが、現地調査の際に土地の状況を一緒に確認することも可能です。

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常総市 水海道都市計画区域と石下都市計画区域の比較図

まとめ|常総市の建て替えは「どちらの都市計画区域か」から確認を

常総市で古い家が多いエリアが生まれる背景には、水海道都市計画区域(線引き)と石下都市計画区域(非線引き)という2つの異なる制度の併存があります。水海道地区では市街化調整区域か区域指定19地区かで建て替えの可否が大きく変わり、石下地区では用途地域の指定有無と白地地域の個別条件が判断を左右します。いずれの場合も、令和4年の区域指定縮小のように制度は更新され続けているため、「昔は建てられた」という情報を鵜呑みにせず、現時点の最新情報を常総市都市整備課で確認することが、建て替えでも解体でも失敗しない第一歩です。

よくある質問

Q1. 常総市には都市計画区域がいくつありますか?

水海道都市計画区域(線引き)と石下都市計画区域(非線引き)の2つがあります。合併前の水海道市・石下町それぞれの制度を引き継いでいるため、同じ常総市内でも建築ルールが異なります。

Q2. 市街化調整区域でも家を建て替えられますか?

原則は農林漁業用建築物か市長の許可を受けたもの以外は建築できませんが、市が指定する区域指定19地区(合計508.3ha)に該当すれば、集落の出身要件を問わず住宅の新築・建て替えが可能です。該当するかは常総市都市整備課への確認が必要です。

Q3. 石下地区は自由に建て替えできますか?

非線引きのため市街化調整区域のような一律規制はありませんが、用途地域が指定されている区域とされていない白地地域があり、白地地域でも建ぺい率60%・容積率200%等の制限があります。接道条件によっては建て替えできない土地もあるため、個別確認が必要です。

Q4. 区域指定はいつでも変わりますか?

変わります。令和4年4月1日には浸水想定区域を区域指定から除外する改定が行われ、対象エリアが縮小しました。過去の情報のまま判断せず、最新の指定状況を確認することが重要です。

Q5. 再建築できない土地の古い家はどうすればよいですか?

接道義務を満たさない再建築不可物件でも、解体して更地にすることで、老朽家屋の倒壊・落下といったリスクを解消し、駐車場や資材置き場など建築物を伴わない用途で活用する選択肢があります。解体前に固定資産税の住宅用地特例が外れる影響も含めて検討することをおすすめします。

Q6. 常総市の都市計画情報はどこで確認できますか?

常総市都市整備課(都市計画課)の窓口のほか、常総市公式ホームページの「都市計画情報(用途地域等の確認)」ページから、いばらきデジタルマップに接続して用途地域等を確認できます。

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