「実家が土浦市にあるけれど、周りの家がどれも古くて、このまま住み続けていいのか不安」——そんな声を土浦市内でよく耳にします。霞ケ浦のほとりに広がるこの街は、江戸期から続く城下町・宿場町の顔と、高度経済成長期に急速に広がった住宅団地の顔をあわせ持つため、地区によって「古い家が多い理由」がまったく異なります。本記事では、土浦市のどのエリアに古い住宅が集中しているのか、その背景にある歴史・地形の事情を整理したうえで、建て替え・解体を検討する際に押さえておきたい判断ポイントと、土浦市が実際に用意している制度を一次情報ベースで解説します。
土浦市の成り立ちと住宅地が抱える年代差
土浦市は常陸国の中でも古くから水運の要衝として栄えた街です。江戸時代には土浦城(亀城)を中心とする城下町であり、同時に水戸街道の宿場町としても賑わいました。亀城公園周辺から中城通り・大町通りにかけての一帯は、この江戸期の町割りをベースに市街地が形成された地域で、区画が細かく建物が密集して建てられてきた歴史が今も街区構造として残っています。一方、昭和30〜50年代にかけては常磐線沿線のベッドタウン化が進み、神立・荒川沖・土浦の各駅周辺や郊外に住宅団地・分譲地が次々と造成されました。入居時期が集中しているため、これらの団地は現在、一斉に築40〜50年超を迎えつつあります。この歴史的な中心部と昭和期の郊外団地とで、建物が建てられた時期にはっきりとした年代差があるのが土浦市の特徴です。
古い家が多いと言われる3つのエリアタイプ
土浦市内で「古い家が多い」とされる地域には、共通する背景がいくつかのパターンに分かれます。特定の町丁の資産価値を評価するものではなく、一般的な傾向として整理します。
タイプ1:中心市街地(旧城下町・宿場町エリア)
亀城公園周辺、中城通り・大町通り沿いのエリアです。江戸期からの町割りを引き継ぐため敷地が狭小で、建築基準法上の道路に接していない「再建築不可」の土地が点在しているのが特徴です。近年は中心市街地活性化の取り組みも進められています。
タイプ2:霞ケ浦沿岸・旧新治村エリアの集落
霞ケ浦沿岸部や、平成の合併で土浦市となった旧新治村エリア(田村町・藤沢地区など)には、農家住宅を中心とした古い家屋が点在しています。敷地は比較的広めですが、後継者不足による空き家化が進んでいる地域もあります。
タイプ3:昭和期分譲の住宅団地
神立・荒川沖駅周辺など、昭和期に一斉分譲された住宅団地です。駅からの距離が近く利便性は高いものの、当時30〜40代だった取得者がそのまま高齢化し、建物の更新が進みにくい傾向があります。おおむね平成以降に区画整理された地域と比べると、道路幅員が4m未満のままの箇所が多く残り、上下水道・ガス管などのインフラも更新時期を迎えているケースが目立ちます。
築年数が古い家に起きやすいこと
建築から数十年が経過した住宅には、共通して確認しておきたいリスクがあります。まず耐震基準の壁です。建築基準法の耐震基準は昭和56年(1981年)6月に大きく改正されました。それ以前に建築確認を受けた「旧耐震基準」の住宅は、現行基準を満たしていない可能性があります。土浦市も茨城県内の他自治体と同様、この年代を一つの目安として耐震関連の支援制度を設けています。あわせて、給排水管や電気配線の経年劣化に加え、昭和50年代までに建てられた住宅では屋根材・外壁材にアスベスト(石綿)含有建材が使われている可能性があり、解体・改修の際は事前調査が必要です。
再建築の可否を左右する接道状況
中心市街地の狭小地では、敷地が建築基準法上の道路に2m以上接していない「再建築不可」の土地が少なくありません。解体してしまうと同じ規模の建物を建てられなくなるケースがあるため、更地化の前に必ず確認すべき事項です。
【図解】土浦市の3つのエリアタイプと特徴

建て替え・解体を検討するときの判断ポイント
古い家をこのまま維持するか、建て替えるか、解体して土地活用するか——判断に迷ったときは、次の順番で確認するのがおすすめです。
まず敷地の接道状況と都市計画区域を確認する
敷地がどの道路に接しているか、その道路が建築基準法上の道路(幅員4m以上、または42条2項道路)にあたるかを、土浦市都市建設部の建築指導課の窓口で確認します。再建築不可の場合、解体後に同規模の建物を建てられないため、リフォームや専門買取など別の選択肢も検討が必要です。あわせて、土浦市内には市街化区域と市街化調整区域が存在し、調整区域では新築・建て替えに開発許可や建築許可が必要になる場合があります。地域や条件によって取り扱いが異なるため、該当するかどうかは都市計画課での個別確認が必要です。
次に建物の状態(耐震性・劣化・アスベスト)を確認する
昭和56年5月31日以前に建築確認を受けた住宅は、まず耐震診断を受けることをおすすめします。土浦市には診断士を派遣する制度があり、その結果によって改修・建て替え・解体のどれが適切かを判断しやすくなります。
【図解】建て替え・解体の判断フロー

土浦市が実施している住宅関連の支援制度
土浦市公式サイトで確認できる、古い住宅の建て替え・改修に関連する制度を紹介します。制度の詳細・受付状況は年度によって変わるため、必ず市の窓口で最新情報をご確認ください。なお、老朽家屋の除却・解体費用そのものを直接補助する市独自の制度は、2026年時点の公式サイト上では確認できませんでした(危険なブロック塀の撤去費用補助は別途あります)。空き家の解体を検討する場合は、以下の関連制度や国税の特例(相続空き家の譲渡所得3,000万円特別控除など)とあわせて検討するのが現実的です。
木造住宅耐震診断士派遣事業
これまでに市の制度で耐震診断を受けたことがない木造住宅を対象に、耐震診断士を無料で派遣する事業です。建築基準法の施行前に建てられた住宅も相談可能とされています。申込書を建築指導課に提出し、診断士とのスケジュール調整を経て診断が行われます。
耐震改修計画・耐震改修工事費の助成
診断士派遣事業で耐震診断を受け、上部構造評点が1.0未満と判定された30平米以上の木造住宅が対象です。本人または2親等以内の親族が所有し、自ら居住するために改修工事を行う場合、工事費の5分の4(上限115万円)が助成されます。なお実施予定件数は年度ごとに定められた先着順のため、早めの相談が推奨されます。
空家バンク住宅リフォーム助成制度・まちなか定住促進事業
土浦市の空家バンク登録物件を購入し、居住のためにリフォームする場合、総額20万円以上のリフォーム工事費の10%(上限20万円)が助成されます(売買契約から1年以内の申請が必要で、他の住宅リフォーム系補助とは併用不可)。また、中心市街地活性化基本計画で位置づけられたエリア内(約118.8ha)に、市外から転入して住宅を新築・建替え・購入する新婚世帯・子育て世帯等を対象に、住宅ローンの一部を補助する「まちなか定住促進事業」もあります。中心市街地の古い住宅を建て替えて住み続ける選択肢にも関係する制度のため、該当する場合は確認しておきたいところです。
解体を選ぶ場合に押さえておきたい実務ポイント
建て替え前提・土地活用前提のいずれであっても、古い家を解体する場合はいくつか事前に押さえておきたい実務があります。
解体費用の目安と残置物・アスベストの扱い
解体費用は建物の構造・延床面積・立地条件(前面道路の幅員、重機の搬入可否)によって大きく変わります。土浦市内の相場や節約のポイントについては、当サイトの【2026年版】土浦市の解体費用、相場と5つの節約術を公開で詳しく解説しています。中心市街地の狭小地では重機が入りにくく手作業が増えるため、郊外の住宅団地より割高になりやすい傾向がある点も押さえておきましょう。
建物滅失登記と解体後の選択肢
解体工事が完了したら、法務局への建物滅失登記が必要です。申請を怠ると固定資産税の課税が続いたり、将来の土地活用・売却の際に支障が出たりすることがあります。再建築が可能な土地であれば建て替えのほか、駐車場・賃貸住宅などの土地活用、あるいは更地としての売却も選択肢になります。中心市街地であれば、まちなか定住促進事業の対象になるかどうかも確認しておくと選択の幅が広がります。
土浦市の空き家をめぐる現状(参考)
土浦市全体の空き家の現状や町丁ごとの傾向については、当サイトの土浦市の空き家の現状とまちの変化【2026年】で詳しく取り上げています。あわせてご参照ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 土浦市で「古い家が多い」と言われるのはどのエリアですか?
亀城公園周辺の中心市街地(旧城下町・宿場町エリア)、霞ケ浦沿岸や旧新治村エリアの集落、神立・荒川沖周辺の昭和期分譲団地の3タイプが代表的です。それぞれ狭小敷地・後継者不足・入居時期の集中という異なる背景があります。
Q2. 自分の家が「再建築不可」の土地かどうかはどこで確認できますか?
土浦市都市建設部の建築指導課の窓口で、敷地が接する道路が建築基準法上の道路にあたるかを確認できます。登記簿・公図もあわせて事前に確認しておくとスムーズです。
Q3. 土浦市に解体費用そのものを補助する制度はありますか?
2026年時点で公式サイト上に、解体費用そのものを直接補助する市独自の制度は確認できませんでした。危険なブロック塀の撤去費用補助や、空家バンク登録物件のリフォーム助成など、関連する制度は存在します。
Q4. 木造住宅耐震診断士派遣事業は誰でも利用できますか?
これまでにこの制度で耐震診断を受けたことがない木造住宅で、本人が所有し居住している住宅が対象です。建築基準法施行前の住宅も相談可能とされていますので、まず建築指導課へ問い合わせることをおすすめします。
Q5. 耐震改修工事費の助成はどのくらいの金額を受けられますか?
耐震診断で上部構造評点が1.0未満と判定された30平米以上の木造住宅を対象に、工事費の5分の4(上限115万円)が助成されます。ただし年度ごとに実施件数の上限が先着順で設定されているため、早めの相談が必要です。
Q6. 市街化調整区域でも建て替えはできますか?
区域・条件によって開発許可や建築許可の要否が異なります。該当するかどうかは土浦市都市計画課での個別確認が必要です。
Q7. 建て替えと解体、どちらを先に相談すればよいですか?
まず敷地の接道状況と都市計画区域を確認したうえで、再建築可能であれば建て替え・耐震改修、再建築不可であれば解体後の土地活用という順番で検討するのが整理しやすい進め方です。迷う場合は解体業者と自治体窓口の両方に相談することをおすすめします。
まとめ|土浦市の古い家との向き合い方
土浦市の「古い家が多いエリア」は一括りにできません。中心市街地なら接道条件、霞ケ浦沿岸の集落なら空き家化、昭和期の住宅団地なら耐震性——エリアごとに優先して確認すべきポイントが異なります。まずは自宅の敷地条件と建物の状態を整理し、市の窓口や専門業者に相談するところから始めてみてください。
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