取手市の人口は1995年(平成7年)に118,282人でピークを迎えた。その後は減少局面が続き、2020年の国勢調査では104,524人、令和8年4月時点の常住人口は103,468人まで減っている。この30年で1万人以上が減った計算になる。人口が減れば、当然ながら空き家も増える。取手市は今、その現実にどう向き合っているのか。

取手市の人口動態|昭和期の一斉入居世代が今、高齢化している
取手市の高齢化率は35.1%、15歳未満人口の割合は9.4%(茨城県統計課調べ)。この数字が示すのは、取手市が1970〜80年代にかけて東京への通勤圏として一斉に宅地開発された街だという背景である。ゆめみ野・戸頭・西取手など、常総線沿線を中心に大規模団地・住宅地が形成された時期に一斉入居した世代が、今まとめて高齢期を迎えている。
これは「昭和期に一斉入居した世代が、今後10〜20年でまとめて相続・住み替えのタイミングを迎える」ことを意味する。空き家予備軍が特定の時期に集中して発生しやすい構造だ。
取手市の空き家対策計画
取手市では令和3年度に「取手市空家等対策計画」を策定し、「空家等の発生抑制・予防」「空家等の利活用の促進」「管理不全状態の空家等の解消」の3方針で対策を進めてきた。
令和5年の法改正(空家等対策の推進に関する特別措置法の一部改正)を受け、所有者等の責任強化や「管理不全空家等」の新制度導入といった社会情勢を踏まえ、「第2次取手市空家等対策計画」(計画期間:令和8年度〜令和12年度の5年間)を新たに策定している(2026年3月12日公表)。
市の安全安心対策課では、適正管理がされていない空家等について、市民からの情報提供をもとに所有者・管理者へ適正管理を促す取り組みを行っている。空家等対策の推進に関する特別措置法第5条では「所有者又は管理者は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努める」ことが義務として明記されている。
空き家を放置するリスク
取手市公式サイトでも、使う予定のない空き家を放置すれば「劣化が進み、資産価値が低下し、利活用がしづらくなるばかりか、侵入窃盗などの犯罪の被害に遭うおそれがある」と注意喚起している。実際、空き家を狙った侵入窃盗のリスクは全国的にも指摘されているところだ。
相続登記の義務化にも注意
令和6年4月1日から相続登記の申請が義務化された。相続により不動産を取得した相続人は、取得を知った日から3年以内に相続登記を申請する必要がある。実家を相続したまま登記を放置しているケースは、この機会に確認しておきたい。
取手市のまちの変化|団地・住宅地エリアの今
取手市内には、常磐線沿線(取手駅・藤代駅)と関東鉄道常総線沿線(西取手・寺原・新取手・ゆめみ野・稲戸井・戸頭)の合わせて8駅がある。TX(つくばエクスプレス)は市内を通らない。
戸頭エリア
取手市戸頭は、昭和40年代後半から大規模団地として開発されたエリアの代表格である。常総線・戸頭駅が最寄りで、当時は東京への通勤圏として若い世代が一斉に入居した。現在はその世代が高齢期を迎え、住み替え・相続を検討する家庭が増えている段階にある。
ゆめみ野エリア
比較的新しい住宅地として開発されたゆめみ野は、戸頭など昭和期の団地と比べると世代構成にばらつきがある。ただし常総線沿線という立地条件は共通しており、今後の人口動態は市全体の傾向と連動しやすい。
取手駅周辺(中心市街地)
常磐線・取手駅は上野・秋葉原方面への通勤の起点であり、市内で最も利便性が高いエリアの一つ。商業施設や生活インフラが集積する一方、駅から離れた住宅地では空き家化が先行して進んでいるケースも見られる。
空き家をどうするか|3つの選択肢
相続や住み替えで空き家を抱えることになった場合、主に3つの選択肢がある。
①そのまま維持・管理する
固定資産税や維持管理費用がかかり続ける。放置すれば「管理不全空家等」に指定されるリスクもある。
②活用する(賃貸・リフォーム等)
立地や建物の状態によっては賃貸や売却用のリフォームという選択肢もある。ただし昭和期の団地物件は現行の耐震基準を満たしていないケースも多く、活用のハードルは物件ごとに異なる。
③解体して更地にする・売却する
老朽化が進み活用が難しい場合は、解体して更地として売却する、または解体前提で買主を探すという選択肢もある。取手市の解体補助制度については別記事「取手市の解体に補助金はある?2026年の代替制度」で条件を確認できる。
取手市の空き家に関わる制度・支援
取手市では空家等対策計画に基づき、所有者向けの相談対応や適正管理の促進を行っている。国土交通省も「空き家は放置せず、しまう・活かすで住みよい街に」というスローガンで、放置せず早期に方針を決めることを呼びかけている。空き家の管理方法に迷う場合は、まず取手市の窓口や専門家に相談し、維持・活用・解体のいずれが適しているかを早めに判断することが望ましい。
よくある質問(FAQ)
Q. 取手市の空き家はどれくらい増えていますか?
A. 取手市単体の空き家率について確実な一次情報は確認できていないため、断定的な数値はここでは記載しません。ただし人口が1995年の118,282人から2026年時点で103,468人まで減少していること、高齢化率が35.1%に達していることから、今後空き家が増加しやすい構造にあると考えられます。
Q. 空き家を放置するとどうなりますか?
A. 取手市公式サイトでも注意喚起されている通り、放置すれば建物の劣化が進み資産価値が低下するほか、侵入窃盗などの犯罪被害に遭うリスクも高まります。「空家等対策の推進に関する特別措置法」により、管理不全の状態が続くと「管理不全空家等」に指定される可能性もあります。
Q. 相続した実家の登記はどうすればいいですか?
A. 令和6年4月1日から相続登記の申請が義務化されています。相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請が必要です。未登記のまま放置している場合は、早めに司法書士等へ相談することをおすすめします。
Q. 取手市に解体の補助金はありますか?
A. 取手市独自の解体費用そのものへの補助金については、2026年時点で代替制度を含めて条件が定められています。詳細は「取手市の解体に補助金はある?2026年の代替制度」で確認してください。
Q. 古い団地の家でも解体・売却できますか?
A. 戸頭やゆめみ野など昭和期に開発された団地エリアの住宅でも、解体して更地にする、または解体前提で売却するといった選択肢があります。建物の状態や接道条件によって進め方が異なるため、まずは現地の状況を確認することをおすすめします。
Q. 空き家の管理と解体、どちらを先に検討すべきですか?
A. 決まった順序はありません。活用の見込みがあるかどうか、維持コストと将来の使い道を踏まえて、維持・活用・解体のいずれが適しているかを早めに判断することが大切です。判断に迷う場合は専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
取手市は1995年をピークに人口が減少局面にあり、高齢化率は35.1%に達している。昭和期に一斉入居した戸頭・ゆめみ野などのエリアでは、今後まとまった数の相続・住み替えが発生しやすい構造だ。市も「第2次取手市空家等対策計画」(令和8年度〜12年度)で対策を強化している。空き家を「まだ大丈夫」と後回しにせず、維持・活用・解体のどれが自分の状況に合うかを早めに考えることが、資産を守ることにつながる。


