茨城県石岡市は、旧石岡地区の「看板建築」と八郷地区の「茅葺き民家」という、県内でも珍しい2つの伝統的な町並みを持つまちです。その一方で、人口は令和2年国勢調査の73,061人から緩やかな減少局面に入り、空き家は市の実態調査でも増加が確認されています。本記事では石岡市公式ホームページの一次情報にもとづき、人口・世帯の動き、空き家の実態、まちの変化、そして解体・建て替え・売却という選択肢までを整理して解説します。

石岡市の人口・世帯動態の全体像

石岡市の住民基本台帳人口は、令和8年7月1日現在で総人口68,630人・世帯数32,291世帯です(石岡市公式ホームページ「市の人口と世帯数」)。令和7年10月1日現在の国勢調査速報値では67,416人(男33,419人・女33,997人)となっており、令和2年国勢調査の確報値73,061人(世帯数28,344世帯)と比べると、人口は減少している一方で世帯数はやや増加していることが分かります。1世帯あたりの人数が小さくなる「世帯の小規模化」が進んでいる形です。

石岡市は大きく「石岡地区」と「八郷地区」の2つのエリアに分かれます。石岡地区は旧市街を中心とした市街地、八郷地区は筑波山東麓に広がる中山間地域です。平成の合併前の統計を見ても、石岡地区・八郷地区それぞれで人口・世帯の推移が異なっており、まちの成り立ちの違いがそのまま人口動態の違いに表れています。

石岡市の基礎データ早見表【2026】

石岡地区と八郷地区、それぞれの特徴

石岡地区は常磐線石岡駅を中心とした市街地で、江戸時代から続く商家町の歴史を持ちます。八郷地区は平成17年に旧石岡市と合併した旧八郷町にあたり、筑波山麓の農村地域です。同じ石岡市でも、駅前の市街地と里山の集落とでは人口密度もまちの表情もまったく異なります。

石岡市の空き家の実態(一次情報にもとづく整理)

石岡市は「第2次石岡市空家等対策計画」の策定にあたり、市独自の空家等実態把握調査を実施しています。この調査結果(骨子案)によると、平成28年度からの5年間で約5割弱にあたる633件の空家等が解消された一方、新たに891件の空家等が発生し、全体としては約2割増となったことが分かっています(石岡市公式ホームページ「第2次石岡市空家等対策計画」)。除却や利活用が進んでも、それを上回るペースで新しい空き家が生まれている、というのが石岡市の実態です。

なお、総務省統計局が5年ごとに実施する「住宅・土地統計調査」による市区町村単位の空き家率(総住宅数に占める空き家数の割合)については、石岡市単体の一次情報を確認できなかったため、本記事では断定的な数値としては使用しません。参考として、茨城県全体では約1,390,900戸のうち196,200戸が空き家で、県全体の空き家率は14.1%です(茨城県公式ホームページ「県内の空家の状況」)。これはあくまで県全体の数値であり、石岡市単体の値ではない点にご注意ください。

なぜ「解消」より「発生」が上回るのか

石岡市の調査が示す「633件解消・891件新規発生」という構図は、多くの地方都市に共通する構造です。相続をきっかけに空き家になった実家が、次の世代に活用も処分もされないまま放置されるケースが典型例です。石岡市に限らず、除却・売却・利活用のいずれかで「出口」に向かう空き家より、新たに「入口」に入ってくる空き家のほうが多い状態が続くと、空き家の総数は増え続けることになります。

空家等対策計画が目指すもの

石岡市は平成29年度に最初の「石岡市空家等対策計画」を策定し、その継続計画として令和4年度に「第2次石岡市空家等対策計画」を策定しました。計画の柱は、空家等の発生抑制、管理不全状態の空家等の抑制・解消、そして利活用可能な空家等の積極的な活用の3本です。特に石岡市の計画で特徴的なのは、空き家対策と並んで「石岡地区の看板建築」「八郷地区の茅葺き民家」といった伝統的な建築物の保全も政策の対象に含めている点です(石岡市公式ホームページ「第2次石岡市空家等対策計画を策定しました」)。

古い家が多いエリアの特徴

石岡市内で「古い家が多いエリア」として一次情報から確認できるのは、大きく2つの性格の異なる地域です。

石岡地区の看板建築(旧市街)

石岡地区の中心市街地には、大正から昭和初期にかけて建てられた「看板建築」と呼ばれる商家建築が数多く残っています。これは店舗の正面(ファサード)に銅板やモルタルで装飾を施した独特の建築様式で、全国的にも保存例が少ない貴重な町並みとされています(石岡市公式資料「石岡地区の看板建築」)。旧市街の商家は、店舗兼住宅として使われてきた建物が多く、後継者不在や商店の廃業とともに空き家化が進みやすい構造を持っています。

八郷地区の茅葺き民家(里山集落)

八郷地区には、筑波山麓を中心に茅葺き屋根の古民家が残っています。茨城県の資料によれば八郷地区には50数棟の茅葺き民家が残されており、地域の茅葺き職人による「筑波流茅手」と呼ばれる屋根の意匠は全国屈指ともいわれます(茨城県公式ホームページ「秋・八郷地区の茅葺民家」)。筑波大学の研究室などとも連携した保存・再生活動が続けられていますが、茅葺き屋根の維持には専門の職人技術と相応の費用がかかるため、所有者の高齢化とともに維持が難しくなり、空き家化・老朽化が進みやすい地域でもあります。

まちの変化(新旧住宅地の対比)

石岡地区の駅周辺は、常磐線沿線の宅地として比較的新しい住宅地(南台・若松・府中など)と、江戸期からの旧市街(看板建築が並ぶエリア)が同居しているのが特徴です。中古住宅情報サイトの物件掲載を見ても、南台・若松・府中といった住宅地の中古戸建てが多く流通している一方、旧市街エリアはより築年数の古い店舗兼住宅の割合が高い傾向にあります。八郷地区は対照的に、農地と集落が広がる里山の景観が保たれており、都市化の影響を受けにくい代わりに、人口減少がそのまま空き家化につながりやすい構造です。

空き家対策計画・空き家バンクなど市の取り組み

石岡市は空き家対策として複数の制度を用意しています。

石岡市空家・空地バンク

市が運営する「空家・空地バンク」では、登録された空き家・空き地の物件情報を随時公開しています(石岡市公式ホームページ「空家バンク」)。移住・定住や田舎暮らしを希望する人向けに、民間の不動産ポータルサイトとも連携して物件を紹介する仕組みです。

空家バンク活用促進補助金

空家・空地バンクを通じて成約した場合、不動産仲介手数料の一部を補助する「令和8年度石岡市空家バンク活用促進補助金」があります(石岡市公式ホームページ)。対象者・対象経費・申請期間などの要件が細かく定められているため、利用を検討する場合は必ず市の最新の要綱を確認することが必要です。

空き家解体補助金(既存記事で解説)

特定空家等・不良住宅の判定を受けた建物の解体には、上限30万円(経費の1/2以内)の補助金制度があります。対象要件や必要書類、解体業者が市内事業者に限られる点など詳しい条件は、当サイトの別記事「石岡市の空き家解体補助金30万円|条件と落とし穴【2026】」で解説しています。

石岡市の空き家対策の取り組み早見図

解体・建て替え・売却という選択肢の比較

空き家になった実家や古い家をどうするかを考えるとき、選択肢は大きく3つに整理できます。

選択肢1|そのまま売却する(仲介・買取)

建物を活かせる状態であれば、中古住宅としてそのまま売却する方法があります。特に石岡地区の看板建築のように歴史的価値のある建物は、リノベーション需要が見込める場合もあります。

選択肢2|解体して土地として売却する

老朽化が進み建物としての価値が見込めない場合は、解体して更地にしてから売却する方法があります。買主にとって「すぐに建て替えられる土地」として選びやすくなる一方、解体費用は事前に見積りを取っておく必要があります。

選択肢3|空き家バンクへの登録や賃貸活用

売却を急がない場合は、空家・空地バンクへの登録や、リフォームしての賃貸活用という選択肢もあります。空き家バンク経由の成約であれば、前述の仲介手数料補助金の対象になる場合があります。

どの選択肢が合っているかは、建物の状態・立地・相続人の意向によって異なります。石岡市内の解体費用の目安については、当サイトの別記事「石岡市の解体費用、2026年最新相場は?坪単価と5つの節約術」で詳しく解説しています。

地価と住宅事情(2026年・目安)

石岡市の2026年(令和8年)の公示地価(住宅地)については、集計する情報源によって数値に幅があります。ある民間の地価データサイトでは平均18,214円/㎡(対前年比+1.72%)、別のサイトでは平均20,757円/㎡(対前年比+0.1%)、また別の集計では坪単価6.1万円(対前年比-3.5%)という下落傾向の数値も見られました。集計方法や対象地点の違いによって数値が異なるため、本記事では「坪5万円台後半〜6万円台前半程度が目安」という幅のある表現にとどめます。正確な数値が必要な場合は、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で個別の標準地の地価公示価格を確認することをおすすめします。

石岡地区の駅周辺市街地と、八郷地区の農村部とでは地価水準にも差があると考えられますが、地区別の公示地価は本記事執筆時点で確度の高い一次情報を確認できなかったため、断定的な記載は避けています。

防災・浸水想定について

石岡市は「石岡市防災ハザードマップ」を公開しており、恋瀬川・霞ヶ浦の氾濫を想定した洪水浸水想定区域図が含まれています。想定最大規模降雨(24時間総雨量631mm、ピーク時1時間186mm)を基準に、恋瀬川沿いを中心とした区域が浸水想定区域に指定されています(石岡市公式ホームページ「石岡市防災ハザードマップ」)。空き家・古い家の売却や解体を検討する際は、こうした浸水想定区域に該当するかどうかも、事前に市のハザードマップで確認しておくと安心です。

解体を検討するときに知っておきたいこと

空き家や古い家を「解体する」と決めた場合、押さえておきたいポイントがいくつかあります。まず、解体前には建物の登記状況や相続人全員の合意を確認する必要があります。相続登記が済んでいない古い家では、解体そのものより名義の整理に時間がかかることも珍しくありません。また、石岡地区の看板建築のように歴史的価値がある建物の場合は、解体前に記録・保存の観点から市や専門家に相談する余地がないかも検討する価値があります。実際の解体費用や工事の流れについては、当サイトの解体費用相場記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 石岡市の空き家は増えていますか、減っていますか?

A. 石岡市の実態調査では、平成28年度からの5年間で633件の空家等が解消された一方、新たに891件が発生し、全体では約2割増となったことが分かっています。解消のペースより発生のペースが上回っている状況です。

Q2. 石岡市の空き家率は何%ですか?

A. 石岡市単体の空き家率について、確度の高い一次情報を確認できなかったため、本記事では具体的な数値を記載していません。参考として茨城県全体の空き家率は14.1%(総務省「住宅・土地統計調査」等にもとづく県公表値)ですが、これは県全体の数値であり石岡市の値ではない点にご注意ください。

Q3. 石岡市の空き家バンクはどうやって利用しますか?

A. 石岡市公式ホームページの「空家バンク」ページから登録物件一覧を確認できます。利用登録はインターネットから行うことができ、仲介手数料の一部を補助する制度も用意されています。

Q4. 看板建築や茅葺き民家も解体できますか?

A. 建物としての解体自体は可能ですが、石岡地区の看板建築や八郷地区の茅葺き民家は市の空家等対策計画でも保全の対象とされている地域資源です。解体を検討する前に、保存や活用の可能性について市や専門家に相談することをおすすめします。

Q5. 石岡市に住宅の解体補助金はありますか?

A. 特定空家等・不良住宅の判定を受けた建物を対象に、上限30万円(経費の1/2以内)の補助金制度があります。対象要件や必要書類などの詳細は、当サイトの解体補助金の記事で解説しています。

Q6. 石岡市の公示地価はいくらくらいですか?

A. 情報源によって数値に幅があり、坪5万円台後半〜6万円台前半程度が目安です。正確な数値は国土交通省「不動産情報ライブラリ」で個別地点の公示地価を確認することをおすすめします。

まとめ

石岡市は、石岡地区の看板建築と八郷地区の茅葺き民家という2つの伝統的な町並みを持つ一方、人口減少と空き家の増加という全国共通の課題にも直面しています。市の実態調査では、空き家の解消件数を新規発生件数が上回っており、今後も空き家対策計画にもとづく取り組みが続けられる見込みです。ご自宅や実家の空き家について「解体」「売却」「バンクへの登録」のどれが合っているか迷ったときは、まずは現状を整理するところから始めてみてください。