茨城空港を擁し、東京都心から水戸・つくばへほぼ等距離という立地にある小美玉市。かつての小川町・美野里町・玉里村が合併して誕生したこの街で、いま静かに空き家が増えています。この記事では、小美玉市公式ホームページと「第2次小美玉市空家等対策計画」(令和8年4月策定)などの一次情報にもとづき、市内の空き家の現状と、地区ごとの事情の違いをまとめます。

小川・美野里・玉里、3つの旧町村がひとつになった街

小美玉市は平成18年(2006年)3月27日、東茨城郡小川町・新治郡(現・かすみがうら市系)美野里町・東茨城郡玉里村の1町1町1村が新設合併して誕生しました。市公式サイトの「合併までの歩み」によると、平成13年11月の広域合併問題協議会設置から4年以上の協議を経て、平成17年2月の第4回協議会で新市の名称「小美玉市」が決定しています。市名は「小川」「美野里」「玉里」それぞれの頭文字を組み合わせたもので、3つの旧自治体が対等に合併したことを今に伝えています。

市の面積は144.74平方キロメートル(令和8年1月1日現在)。東京都心から北東へ約80km、北へ20kmに県都水戸市、南西へ20kmに筑波研究学園都市があるという、県のほぼ中央に位置する立地です。市の西部をJR常磐線・国道6号・常磐自動車道が貫き、東部には航空自衛隊百里基地(茨城空港)があります。地表は関東ローム層に覆われほぼ平坦で、南部は霞ヶ浦に接しています。

茨城空港の開港が地域に持ち込んだ変化

百里基地に併設する茨城空港は、自衛隊と民間が共用する空港として地域の交流拠点になっています。市公式サイトも「茨城空港が開港し国内外との新たな交流が生まれ、幅広い分野での地域振興が期待されています」としており、空港周辺の土地利用や物流関連の動きは、旧3町村時代にはなかった小美玉市固有の変化のひとつです。一方で、空港からやや離れた農村部の集落では、次に見るような人口減少と空き家の増加が同時に進んでいます。

小美玉市の人口は2000年をピークに減少局面へ

茨城県統計課「市町村のデータ(小美玉市)」によると、小美玉市の常住人口は令和8年4月1日現在46,175人、世帯数19,239世帯です。市公式サイトの毎月人口調査では、令和8年8月1日現在の常住人口46,116人・世帯数19,348世帯となっており、世帯数はゆるやかに増加している一方で人口はほぼ横ばい〜微減で推移しています。

国勢調査の結果を長期で見ると、人口のピークがどこにあったかがはっきり見えてきます。総務省統計局「国勢調査」による人口推移は、昭和60年46,520人→平成2年48,200人→平成7年52,041人→平成12年53,406人→平成17年53,265人→平成22年52,279人→平成27年50,911人→令和2年48,870人です。平成12年(2000年)前後をピークに、そこから20年余りで緩やかな減少局面に入っていることが読み取れます。「第2次小美玉市空家等対策計画」も同じ傾向を示しており、2050年には老年人口(65歳以上)の割合が42.5%に達すると推計しています。

小美玉市 人口と空き家数の推移グラフ

高齢化率は令和7年時点で32.4%

茨城県統計課の年齢別人口割合(令和7年10月1日現在)によると、小美玉市の年齢構成は15歳未満10.3%・15〜64歳57.3%・65歳以上32.4%です。「第2次小美玉市空家等対策計画」に掲載されたグラフでは、老年人口割合は2000年時点の16.90%から2020年30.31%、2025年32.72%と一貫して上昇しており、高齢者単身世帯数も2000年571世帯から2020年1,893世帯へと、20年で3倍以上に増えています。高齢の親が一人で暮らしていた家が、やがて空き家になっていく――という流れが、統計の裏付けとともに見えてきます。

小美玉市の空き家数は増加を続け2023年に過去最高を記録

「第2次小美玉市空家等対策計画」は、総務省が5年ごとに実施する「住宅・土地統計調査」の結果として、市内の空き家数(賃貸用・売却用を除く「その他の住宅」)の推移を公表しています。2008年2,190件→2013年2,250件→2018年2,920件→2023年3,630件と、15年間でおよそ1.7倍に増加し、2023年には過去最高の数値を記録しました。なお、この計画では市単体の空き家「率」(%)は明示されていないため、本記事でも空き家率の数値は使用せず、実数(件数)のみを一次情報のとおり紹介します。

市が独自に把握している空き家数は令和6年度で1,154件

住宅・土地統計調査は抽出調査による推定値ですが、小美玉市は平成29年度に市内全域を対象とした独自の空家等実態調査を実施し、その後もデータベースを更新し続けています。「第2次小美玉市空家等対策計画」の大字別一覧によると、市が把握している空き家数は平成29年時点で535件だったのに対し、令和6年時点では1,154件まで増えており、7年間で2倍以上に膨らんでいます。

小美玉市 地区別空き家数早見表

地区別に見ると小川・美野里で空き家が目立つ

令和6年時点の内訳は、小川地区413件・玉里地区276件・美野里地区465件です。大字単位で見ると、美野里地区の羽鳥が125件、小川地区の小川が107件、玉里地区にまたがる栗又四ケが120件と、いずれも三桁の空き家を抱えています。羽鳥・小川はいずれも古くからの集落で、旧町村の中心部に近いエリアです。人口が集中する市街地よりも、旧来からの農村集落のほうが空き家の絶対数が多いという、小美玉市らしい分布の特徴が見えてきます。

放置される空き家と、動き出さない「助言・指導」

空き家が増えるだけでなく、「管理されていない空き家」への対応も市の大きな課題になっています。「第2次小美玉市空家等対策計画」によると、周囲に悪影響を及ぼす空き家への助言・指導件数は、令和2年度44件→令和3年度61件→令和4年度64件→令和5年度79件→令和6年度56件で推移しています。しかし、この助言・指導が「改善」につながった件数は、令和6年度でみると56件中15件にとどまり、41件が「未解決」のまま残っています。年度をまたいで同じ空き家が繰り返しカウントされているケースもあるとはいえ、指導しても動かない空き家が一定数、市内に滞留している実態がうかがえます。

特定空家等は「勧告5件・命令8件」(令和6年度末時点)

より深刻な状態の空き家は「管理不全空家等」「特定空家等」に区分され、法にもとづく行政措置の対象になります。市の計画資料によると、令和6年度末時点での特定空家等の措置状況は、助言・指導13件・勧告5件(うち5件は解体補助金交付により解体済み)・命令8件です。勧告を受けた管理不全空家等は固定資産税の住宅用地特例からも外れるため、放置するほど所有者側の負担が重くなる仕組みになっています。

市はこうした状態の空き家に対して、令和5年度から解体撤去工事費用の補助制度(対象工事費の1/2・上限50万円)を設けています。この補助制度の詳細な条件や申請の流れについては、後述のとおり既存記事「小美玉市の空き家解体補助金|上限50万円の条件と申請」で解説していますので、あわせてご覧ください。

空き家バンク制度は登録33件・成約26件(令和7年3月末時点)

放置ではなく活用にまわす空き家も一定数あります。小美玉市は平成30年度から「小美玉市空き家バンク制度」を運営しており、市公式サイトによると令和7年3月末時点での登録物件数は33件、うち成約は26件です。成約率で見ると約8割弱の物件がバンクを通じて新たな所有者・利用者につながっている計算になり、県内の空き家バンクの中でも動きのある部類といえます。

制度の周知を強化するため、令和5年度からは固定資産税納税通知書(年間約25,000件)に啓発リーフレットを同封し、相続が発生したタイミングでも「お悔みデスク」の窓口でリーフレットを案内するなど、所有者が空き家を抱え込む前の段階からアプローチしています。また令和6年2月には、公益社団法人茨城県宅地建物取引業協会を「空家等管理活用支援法人」に指定し、空き家の所有者探索や管理・活用のマッチングを担ってもらう体制も整えました。

取得費・修繕費・家財処分費に補助あり

空き家バンク経由で物件を取得・賃借する人向けの助成制度もあります。市公式資料によると、購入費補助(取得対価の5%以内・上限50万円)、賃借費補助(家賃2カ月分・上限10万円)、修繕費補助(修繕費用の1/2以内・上限50万円)、家財道具等処分費補助(対象経費の1/2以内・上限10万円)の4種類です。令和5・6年度の支給実績は、取得費補助1件・修繕費補助3件・家財処分補助2件となっており、まだ利用件数自体は多くありませんが、制度としては整っています。

茨城町・城里町など近隣自治体との位置関係

小美玉市は水戸市・石岡市・かすみがうら市・茨城町・東茨城郡城里町・行方市と隣接しています。市西部を常磐自動車道と国道6号が貫いていることもあり、水戸方面・土浦方面のどちらにも移動しやすい立地です。旧小川町エリアは石岡市寄り、旧玉里村エリアは行方市・かすみがうら市寄り、旧美野里町エリアは水戸市寄りというように、同じ小美玉市内でも隣接する自治体によって生活圏の向きが異なるのも特徴です。

地価は坪5万円台前半が目安

民間の地価情報サイトの集計では、小美玉市の2026年(令和8年)の公示地価は平均で1平方メートルあたり1万6千円台・坪単価では5万円台前半(目安)とされています。用途別では住宅地が坪4万円台後半、商業地が坪8万円台という水準で、前年からの変動率はごく小幅(横ばい〜微増)です。出典によって数値の幅があるため、本記事では「坪5万円台前半が目安」という形で紹介するにとどめ、正確な取引額の相場観は個別の査定でご確認ください。

相続した空き家、まず何から考えればいいか

小美玉市のように「助言・指導をしても4割前後しか改善しない」という状況が続く背景には、相続した空き家をどう扱えばよいか所有者側が判断に迷っているケースが少なくありません。空き家バンクに登録して活用する道、修繕して自ら住む・貸す道、そして老朽化が進んで活用が難しい場合は解体して更地にする道と、選択肢は複数あります。

特定空家等・管理不全空家等に認定される前の段階であれば選択肢は広く残っていますが、認定後は勧告により固定資産税の住宅用地特例が外れ、負担が一気に重くなります。「まだ大丈夫だろう」と先送りにするほど、選べる道が狭くなっていく点は、市の統計が示すとおりです。

解体費用の目安は既存記事でも確認できます

実際に解体を検討する段階になったら、まず気になるのは費用感だと思います。小美玉市内での解体工事の費用相場や、業者選びのポイントについては「【2026年】小美玉市の解体費用相場と優良業者の選び方5つのポイント」で詳しく解説しています。あわせて、対象条件を満たせば解体費用の一部が戻ってくる「小美玉市空き家解体補助金」の制度内容は「小美玉市の空き家解体補助金|上限50万円の条件と申請」でご確認いただけます。

小美玉市の空き家・解体のご相談は解体Do!へ

解体Do!は茨城県内の解体工事に対応しています。小美玉市内の空き家について「まず何から手をつければいいかわからない」「解体すべきか、活用の道を探すべきか迷っている」という段階からのご相談も歓迎です。お電話・LINE・フォームのいずれからでも、無料でご相談いただけます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 小美玉市の空き家数はどのくらいありますか?

A. 総務省「住宅・土地統計調査」の推定値では2023年時点で3,630件、市が独自に把握している件数(令和6年度)では1,154件です。調査の方法が異なるため件数に差がありますが、いずれも増加傾向にあります。

Q2. 小美玉市の空き家率は何%ですか?

A. 市単体の空き家率(%)を示す一次情報は確認できていないため、本記事では数値を使用していません。空き家の実数(件数)の推移は本文でご紹介しているとおりです。

Q3. 市内のどのエリアに空き家が多いですか?

A. 「第2次小美玉市空家等対策計画」の大字別データによると、美野里地区の羽鳥(125件)、小川地区の小川(107件)、玉里地区にまたがる栗又四ケ(120件)など、旧町村の中心的な集落に空き家が多く分布しています。

Q4. 空き家を放置するとどうなりますか?

A. 適切な管理が行われていないと市から助言・指導を受け、それでも改善されない場合は「管理不全空家等」として勧告の対象になります。勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例が外れ、税負担が増える可能性があります。さらに状態が深刻な「特定空家等」に該当すると、命令や行政代執行の対象になることもあります。

Q5. 空き家バンクと解体、どちらを検討すればいいですか?

A. 建物の状態や立地によって適した選択肢は異なります。まだ活用できる状態であれば空き家バンクへの登録、老朽化が進み活用が難しい場合は解体が現実的な選択肢になります。判断に迷う場合は、解体Do!への無料相談もご活用ください。

Q6. 小美玉市の解体補助金はいくらもらえますか?

A. 特定空家等の解体撤去工事を対象に、対象工事費の1/2(上限50万円)の補助制度があります。詳しい対象条件や申請の流れは「小美玉市の空き家解体補助金|上限50万円の条件と申請」で解説しています。

まとめ|小美玉市の空き家は「増加」と「地区差」が特徴

小美玉市は、旧小川町・美野里町・玉里村という3つの異なる歴史を持つ地域が合併して誕生した街です。人口は2000年前後をピークに減少局面にある一方、空き家数は総務省調査・市独自調査のいずれで見ても一貫して増加を続け、特に旧町村の中心的な大字に集中しています。空き家バンクや各種補助制度は整っていますが、助言・指導をしても改善に至らないケースも一定数残っているのが実情です。

小美玉市の解体費用の目安は「小美玉市の解体費用相場と優良業者の選び方5つのポイント」、解体補助金の条件は「小美玉市の空き家解体補助金|上限50万円の条件と申請」でご確認いただき、実際のご相談は解体Do!までお気軽にどうぞ。

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