茨城県常陸大宮市は、県内でも屈指の広さを持つ市町村です。2004年に1町3村が合併して誕生し、山あいの集落から市街地まで、地域ごとに空き家の事情が大きく異なります。この記事では、統計データと市の公式情報をもとに、常陸大宮市の空き家の現状とまちの変化を整理します。

常陸大宮市はどんな市町村か

常陸大宮市は茨城県の県北西部に位置し、面積は348.45平方キロメートル(令和8年1月1日現在、国土地理院「全国都道府県市区町村別面積調」)にのぼります。これは県内44市町村の中でも上位に入る広さで、久慈川と那珂川という二つの大きな川が市内を流れています。

常住人口は35,521人、世帯数は15,528世帯(いずれも令和8年4月1日現在、茨城県統計課「茨城県常住人口調査」)です。人口密度は1平方キロメートルあたり101.9人と、面積の広さもあって県内では低い部類に入ります。

2004年の合併で生まれた市

常陸大宮市は2004年(平成16年)10月16日、那珂郡の大宮町・山方町・美和村・緒川村と、東茨城郡御前山村の1町3村が合併して誕生しました。合併前の5つの町村は、それぞれ異なる地形と産業を持っており、その名残は今も地域ごとの暮らし方の違いとして残っています。

山林が57.6%を占める土地利用

市の土地利用の内訳(令和6年1月1日時点、茨城県市町村課「茨城県市町村概況」)を見ると、山林が57.6%と過半を占め、農地15.5%、宅地はわずか4.5%となっています。宅地が少なく山林が多いという土地利用の構成は、空き家が発生した際の活用方法にも影響する要素です。

人口はどう推移してきたか

国勢調査(総務省統計局)による常陸大宮市の人口推移を見ると、昭和60年(1985年)の50,226人から、令和2年(2020年)には39,267人まで減少しています。35年間で約21.8%の減少です。

人口
昭和60年 50,226人
平成2年 49,670人
平成7年 49,561人
平成12年 48,964人
平成17年 47,808人
平成22年 45,178人
平成27年 42,587人
令和2年 39,267人

減少のペースが緩やかだった平成初期に比べ、平成17年から令和2年にかけての15年間は8,541人の減少と、より速いペースで人口が減っています。

常陸大宮市 人口推移 国勢調査 解体Do
常陸大宮市の人口推移(国勢調査、昭和60年〜令和2年)

年齢別人口の割合

令和7年10月1日現在の年齢別人口割合(茨城県統計課)は、15歳未満が8.5%、15〜64歳が50.2%、65歳以上が41.3%です。市民の4割以上が65歳以上という数字は、茨城県内でも高齢化が進んでいる部類に入ります。

出生数と死亡数の差

令和6年の人口動態(茨城県医療政策課「茨城県人口動態統計」)では、出生数121人に対し死亡数771人と、年間で650人の自然減となっています。この自然減の規模は、今後の空き家発生数にも影響してくる要素です。

合併前の5つの町村、それぞれの成り立ち

常陸大宮市の中には、合併前の旧町村を単位とした5つの地域があります。それぞれの成り立ちと特色を見ていきます。

大宮地域(旧大宮町)――市の中心部

大宮地域は市の南東部に位置し、市役所や常陸大宮駅がある市の中心地です。江戸時代には水戸と奥州を結ぶ街道の宿場として、また久慈川の舟運の要衝として栄えた歴史を持ちます。大宮町は1889年(明治22年)に町制が施行され、1955年(昭和30年)に周辺の村を編入して現在の区域に近い形になりました。

山方地域(旧山方町)――酒造業の歴史

山方地域は市の北東部にあたり、奥久慈地方に位置します。山方村は昭和22年(1947年)の町制施行で山方町となり、昭和30年(1955年)に諸富野村・下小川村などが編入合併しました。地域内には四世紀にわたり続く造り酒屋があり、伝統的な酒造業が今も息づいています。

美和地域(旧美和村)――檜沢と嶐郷の合村

美和地域は市の北西部に位置し、昭和31年(1956年)に檜沢村と嶐郷村が合併して美和村が誕生した経緯を持ちます。市内でも特に山間部の割合が高いエリアです。

緒川地域(旧緒川村)――市の西部

緒川地域は市の西部にあたる農村地域です。緒川という地名は、地域を流れる川に由来するとされ、農業を中心とした暮らしが営まれてきました。

御前山地域(旧御前山村)――「関東の嵐山」

御前山地域は市の南西部、東茨城郡から編入された地域です。市内を流れる那珂川沿いに位置し、御前山・那珂川・那珂川大橋が織りなす景観が京都の嵐山に似ていることから「関東の嵐山」と呼ばれています。

常陸大宮市の空き家対策の枠組み

常陸大宮市は空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづき、空き家対策の制度を整えています。制度は大きく分けて「空き家バンク」「改修費補助」「解体費補助」の3本柱です。

空き家バンク制度

常陸大宮市空き家バンク制度は、空き家を売りたい・貸したい所有者と、空き家への居住を希望する人をマッチングする仕組みです(常陸大宮市公式ホームページ「常陸大宮市空き家バンク制度」)。登録された空き家バンク物件は市の公式ページで随時公開されており、空き家の利活用を進める入り口として位置づけられています。

空き家改修費補助制度

空き家バンクを通じて空き家を購入した人などが対象となる改修費補助制度もあります。改修工事費用の2分の1以内、上限50万円が補助される制度で、対象者の拡充や家財処分(ハウスクリーニング)費用の追加といった改定が行われてきました(常陸大宮市公式ホームページ「空き家改修費補助制度」)。

空き家等解体費補助制度――3段階の上限額

特定空家等または管理不全空家等に該当する危険な空き家を解体する際は、解体費補助制度が使えます(常陸大宮市公式ホームページ「空き家等解体費補助制度」)。補助額は解体工事費用の2分の1以内で、対象となる区域によって上限が3段階に分かれているのが特徴です。

区域区分 補助上限額
都市計画区域外 30万円
都市計画区域内 40万円
居住誘導区域内 50万円

市街地に近い居住誘導区域ほど補助上限が高く設定されている点は、市が中心部への居住集約を後押ししたい意図がうかがえる制度設計です。解体費補助の詳しい条件や申請の流れは、当サイトの常陸大宮市の解体補助金の記事で解説しています。

対象となる空き家の条件

解体費補助の対象は、市内に存在し構造上危険な状態にある空き家等で、個人が所有し主に居住用として使われていたものに限られます。所有権以外の権利が設定されていないこと、公共事業等の補償対象になっていないことも条件です。また、市内に本店・支店・営業所を持つ解体業者による施工であることも要件のひとつです。

空き家の発生と地域ごとの傾向

常陸大宮市は山林が多く、旧5町村それぞれが独立した集落構造を持っていたことから、空き家の発生要因も地域によって違いがあると考えられます。

中心部(大宮地域)と山間部の違い

大宮地域は駅や市役所に近く、市内でも人口の集積度が比較的高いエリアです。一方、山方・美和・緒川・御前山の各地域は山間部の集落を多く含み、高齢化や人口減少が進みやすい構造を持っています。市の年齢別人口割合で65歳以上が41.3%という数字は、こうした山間部の集落構成が影響している面があります。

解体後の跡地をどう使うか

市の土地利用は山林が57.6%を占め、宅地はわずか4.5%です。解体後の跡地利用を考える際、宅地として再活用するのか、農地や資材置き場として使うのか、地域の土地利用の傾向を踏まえた判断が必要になります。跡地活用の選択肢については、当サイトの田舎の土地活用アイデアの記事もあわせてご覧ください。

財政と生活インフラの現状

空き家問題は市の財政やインフラ整備の状況とも関係しています。常陸大宮市の財政力指数は0.43(令和6年度、県市町村課「市町村決算の概要」)で、県内の他市町村と比べても財政基盤に余力が大きいとはいえない水準です。

水道と汚水処理の普及率

水道普及率は98.6%(令和6年3月31日現在、県水政課「茨城県の水道」)とほぼ全域に行き渡っている一方、汚水処理人口普及率は80.8%(令和7年3月31日現在、県下水道課)にとどまります。山間部の集落では下水道や合併処理浄化槽の整備が進みにくい地域があることが背景です。

道路舗装率

市町村道舗装率は54.39%(令和6年3月31日現在、県道路維持課「茨城県道路現況調書」)です。県内の都市部と比べると低めの水準にあり、広い市域と山間集落を多く抱える地理的特性が影響しています。

産業構造から見る常陸大宮市

令和2年の産業別就業人口割合(国勢調査)は、第1次産業8.30%、第2次産業30.40%、第3次産業61.31%です。製造品出荷額等は令和5年で1,291億円と、直近数年は増加傾向で推移しています。

年間商品販売額の変化

年間商品販売額(総務省・経済産業省の経済センサス等)は平成19年の750億円をピークに、令和2年には515億円まで減少しています。商業面での縮小は、中心市街地である大宮地域の空き店舗・空き家の発生にもつながる要素です。

「関東の嵐山」御前山と観光資源

御前山地域の那珂川沿いの景観は「関東の嵐山」として知られ、市の観光資源のひとつになっています。山方地域の伝統的な酒造業とあわせ、観光と地場産業が地域経済を支える一面もあります。こうした観光資源のある地域では、空き家を宿泊施設や体験施設として活用する動きも全国的に広がっており、常陸大宮市でも空き家バンクを通じた利活用の選択肢として検討する価値があります。

空き家を放置するリスク

空き家を管理せず放置すると、特定空家等または管理不全空家等に指定される可能性があります。指定されると、市からの助言・指導・勧告といった段階的な措置の対象になり、固定資産税の住宅用地特例が解除されるリスクも生じます。特定空家等の段階と補助金の関係については、当サイトの特定空き家とは|4段階と補助金の関係の記事で詳しく解説しています。

早めの相談が選択肢を広げる

空き家バンクへの登録、改修して活用する、解体して更地にするなど、空き家の選択肢は複数あります。ただし、いずれの制度も予算の範囲内で実施されるため、申請時期によっては受付が終了している場合もあります。早めに市の窓口や解体業者へ相談することで、使える制度を逃さずに検討できます。

解体費用の目安

常陸大宮市エリアでの木造住宅の解体費用は、建物の構造・立地・搬出のしやすさによって幅があります。より詳しい坪単価の目安や業者選びのポイントは、当サイトの常陸大宮市の解体費用相場の記事で解説しています。山間部では重機やトラックの進入路が限られる現場もあり、現地調査を踏まえた見積もりが欠かせません。

まとめ

常陸大宮市は2004年の合併で誕生した広域の市で、旧5町村それぞれに異なる地形と産業の歴史があります。人口は35年間で約2割減少し、65歳以上が4割を超えるなど高齢化も進んでいます。市は空き家バンク・改修費補助・解体費補助という3つの制度で対策を進めていますが、いずれも予算の範囲内での実施です。

ご実家や所有する空き家について「このまま残すべきか」「解体すべきか」でお悩みの方は、まずは現地調査を含めた無料お見積りからご相談ください。

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よくある質問

Q. 常陸大宮市の空き家等解体費補助金はいくらもらえますか?

A. 解体工事費用の2分の1以内で、区域区分に応じて都市計画区域外30万円、都市計画区域内40万円、居住誘導区域内50万円が上限です。対象となるのは特定空家等または管理不全空家等に該当する空き家に限られます。

Q. 常陸大宮市の人口はどれくらい減っていますか?

A. 国勢調査によると、昭和60年(1985年)の50,226人から令和2年(2020年)の39,267人まで、35年間で約21.8%減少しています。令和8年4月1日現在の常住人口は35,521人です。

Q. 常陸大宮市はどの町村が合併してできましたか?

A. 2004年(平成16年)10月16日に、那珂郡の大宮町・山方町・美和村・緒川村と、東茨城郡御前山村の1町3村が合併して誕生しました。

Q. 空き家バンクに登録すればすぐに売却・賃貸できますか?

A. 空き家バンクは所有者と利用希望者をマッチングする制度で、登録すれば必ず成約するわけではありません。物件の状態や立地によって成約までの期間は変わります。特定空家等に指定された物件は登録が取り消される場合もあります。

Q. 空き家改修費補助と解体費補助は両方使えますか?

A. 改修費補助は空き家バンクを通じて購入した物件のリフォームが対象、解体費補助は特定空家等・管理不全空家等の解体が対象と、制度の目的が異なります。ご自身の空き家がどちらの制度に該当するかは、市の窓口や当社にご相談ください。

Q. 常陸大宮市で解体業者を選ぶときの注意点はありますか?

A. 解体費補助制度の対象工事は、市内に本店・支店・営業所のある解体業者による施工が条件です。補助金の利用を検討している場合は、対象業者かどうかを事前に確認してから契約することが重要です。

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